悪い薬は廃棄処分はしないで私が没収して預からせて頂きます♥
「オジさん達は薬の商人でしょう?」
「ああっ! そ、そうだよ」
「お嬢さんは傷薬が欲しいのかい?」
ミリカの問いに対して、丸々と太った行商人と痩せこけた行商人は答える。
二人は、自分達の聞かれたら不味い会話を、まだ目の前に立つ女性には聞かれていないと思う。
なので、そうだよと作り笑を顔に浮かべて嘘を言ったのだ。
「ふーーん、じゃあさっ! 私達に傷薬と疲れを癒す薬を頂戴っ!」
「私達?」
「他にも誰か要りますのでしょうか?」
ミリカが仲間の為に傷薬と疲れを癒す薬が欲しいと頼む。
すると、何処に居るのかとアチコチに目を配り、ミリカの仲間を探す行商人達。
「居るわよっ! ほらっ! アソコに?」
「どうも、私達は魔物との戦闘で仲間が負傷しまして、薬が欲しいのです」
「そうなの、丁度私の身体に巻いている途中で包帯も切れちゃったし」
ミリカの指差した、暗闇の中からスゥ~~と二つの人影が姿を現した。
行商人達は、新たに現れた、二人を見つめる。
一人は、噂に聞いていた女僧侶の様である。
もう一人は、体中に包帯を巻いている東洋系の女性らしかった。
「はい、はい、只今御用意致します」
「それと、疲れを癒す薬も此方に・・・」
新たに現れた二人に対して、丸々と太った行商人と痩せこけた行商人等は、ワゴン馬車に向かう。
商品を持って来ると言って。
彼等は、ワゴン馬車の中でコソコソしながら、見つけた箱を持って来て傷薬や包帯を取り出す。
勿論、二人は疲れを癒す薬だと偽り、イケない道具も忘れずに出す。
それは、無味無臭の睡眠薬、即効性の超強力な催淫作用の有る媚薬入りの茶だ。
その様子を見守っていた護衛の傭兵達は、何処からか現れた三人の女性達へ視線を向ける。
自分達傭兵が見張る中、暗闇から突如姿を現した、この女性達は何者だろうと彼等は思う。
(・・・コイツ等は只者ではないな・・・)
(・・・俺達の見張りを掻い潜る何て・・・いったい何者だ・・・)
薬を飲ませるまで並みの冒険者。
或いは傭兵ではないので有ろう三人に気を脱かず、警戒を怠らない剣士と銃兵。
「さぁ~~疲れた身体を癒す、お茶をどうぞっ!」
「貴女も回復薬を染み込ませた包帯を、少々傷口が染みるかも知れませんが、我慢を」
丸々と太った行商人は薬入りの茶を出す。
痩せこけた行商人は、密かに催淫剤と麻痺毒を染み込ませた包帯を、ニウへ差し出す。
「有り難う、オジさん達、じゃっ早速飲ませて頂きくわ♥」
「それでは、お茶を遠慮無く頂きます」
「私の為に包帯を分けて下さり感謝致します」
丸々と太った行商人から薬入りの茶を受け取り早速飲もうとする、ミリカ、シャリル、ニウ達。
そして、薬漬けにした包帯を巻き付けようとする、痩せこけた行商人。
(・・・ぐふふ・・・間抜けな女達め・・・)
(・・・さぁ・・・早く薬入りの茶を飲め・・・)
丸々と太った行商人と痩せこけた行商人達。
そして、護衛の傭兵達。
連中は、イヤらしい笑みを浮かべて、三人が茶を飲もうとする様子を伺う。
『ジョボボボォ~~~~』
「はぁ~~? お芝居はもう終わりっ! あんた達は私等を騙して、媚薬でレ⭕️プする気だったんでしょうがっ!!」
お茶を地面に垂らして、急に怒鳴る、ミリカ。
そして、二人の行商人と護衛の傭兵達は武器を構えようとする。
「なっ!? やっぱり聞いていたのかっ!」
「クソが・・・折角もう少しで美女を物に出来たのに『シュッ!』 !?」
懐からナイフを取り出す、丸々と太った行商人。
腰のポケットからフリントロック式ピストルを抜き取る、痩せこけた行商人であったが。
痩せこけた、行商人の首は喋り終える前に、ミリカのレイピアに撥ね飛ばされた。
『ドンッ! コロンコロン』
「ひぃぃぃっ! お前達何をしているっ! 早くコイツ等を殺せぇっ!!!!」
「今直ぐにっ!」
「殺してやりますよっ!」
撥ね飛ばされた、痩せこけた行商人の首が、地面に落ちて転がる様を見た、丸々と太った行商人。
彼は、護衛の傭兵達に命令を下すと弓兵と魔法使いが攻撃してきた。
「ファイアボール、ファイアボール」
『スゥッ!』
魔法使いは、火炎魔法をシャリルに向けて放ち、弓兵はニウに狙いを定めて矢を放った。
「この程度っ!」
「くっ!」
メイスを振るって、シャリルは火炎球を弾き消す。
自らを狙って飛んできた矢を、ニウも左側へ軽く、ステップして避けた。




