これからの事を決めなきゃな?
「リーダー殿、あのヴークとか言う餓鬼にはキャロルを着けたら如何ですかな? キャロルでしたら年が近いですし、奴も大人しくたべるのではないかと・・・」
(・・・あの生意気な餓鬼とキャロルが仲良く成れば・・・)
「そうか、じゃあ? ヴークには、キャロルが飯を運んでやってくれ」
キャロルとアンデッド化させたヴークを、くっつけ様と画策する、リュージン。
その提案に、思惑を知らないジョージは賛同する。
「えぇーー! 私があぁ~~?」
当のキャロルは、勿論そんな面倒な仕事はしたく無いので、あから様に渋い顔をして非常に嫌がった。
「リュージンの言う通り、お前ならば奴も口を開いてくれるかも知れないからな・・・だから嫌でも、この仕事を引き受けてくれ」
「キャロル・・・リーダーも、ああ仰有っているのじゃ、ワシからも頼む・・・」
「それってぇーー詰まり、あの子に私が色仕掛けをするって事?」
リーダーである、ジョージの頼みと、師匠であるリュージンの頼み。
それを捕虜である、ヴークに色仕掛けをしろと変に曲がった解釈をする、キャロル。
「いやな・・・誰も、そこまでしろ何て言って無いからな? ただ奴と仲良くしていれば良いだけだからな・・・」
「はーい、リーダーがそう言うなら、仲良くしてきま~~すっ!」
リーダーである、ジョージが柔らかく説明しつつ説得すると、キャロルは素直に元気な返事を返した。
「分かったのなら良い・・・食事後で少し冷めてるだろうが、牛肉を持って言ってやれ」
「はいはーい、分かりましたぁ~~って!私も牛肉を食べなきゃ、食べなきゃ」
ジョージの指示に答えた、キャロル。
彼女は自分が牛肉を食べている途中であった事を思いだし、急いで脂の乗った牛肉を次々口に運ぶ。
「うーーんっ! 美味ひいぃ~~♥」
「本当に分かっておるのかのぉ~~」
満面の笑み浮かべて無邪気に牛肉を頬張る、キャロル。
その横顔を見て、リュージンは本当に分かっているのかと思った。
その後朝食を食べ終えた仲間達は、それぞれ自分達の持ち場に戻る。
捕虜に食事を運ぶ者。
狩りに出掛ける者。
見張りに立つ者。
アンデッド仲間達は、今日も仕事に励む。
「んじゃあ? 俺とミリカ・・・他には・・・シャリル、アレリオ、ファレド、ビョルン、ニウが狩りに」
「そして、見張りには・・・リュージン、カブラル達が、捕虜の監視兼尋問にはシニッカちゃん、キャロルちゃん達が当たってねーー」
ジョージとミリカは、仲間達に役割を振る。
アンデッド達は、皆割り当てられた仕事に向かう。
リーダーである、彼に指示を出された出発組は、洞窟内から外へ出ようと馬車に乗り始めた。
ジョージ、ミリカ、アレリオ、シャリル達が、キャリッジ馬車に乗る。
その左隣に停車させている、チャリオットの席には、ニウとビョルン達が乗った。
そして、最後に駱駝の背中には、ファレドが飛び乗ると、一行は遺跡の石橋を渡り外へと進む。
「あーかったるい、だが狩りに行かなきゃなぁ~~」
「文句言わないっ!」
キャリッジ馬車の上で話し合う、ジョージとミリカ達。
彼等はやがて遺跡の空間から出て、洞窟からも出る。
キャンプ地への補給ルートである、山道の方面へと向かって行った。
月明かりすら無い、真っ暗な夜空の下を闇に紛れて進むアンデッドの一団。
彼等の向かう、進行方向の遥か前方。
そこには、街道のように使われている、キャンプ地への補給ルートである山道が見えた。
「ん?」
「何!」
ジョージとミリカ達は、左側の斜面の遥か下の方に見える灯りを見つけた。
それを見た、アンデッド達は焚き火の灯りだろうかと灯りを不審に思う。
灯りの正体を確かめようと、誰かが下の方まで行って様子を探る事にした。
「リーダー、私が行って確かめて参ります」
「ファレド、じゃあ頼んだぞ、盗賊で相手が少人数なら囲んで倒そう・・・行商人とかなら放って置こうか」
ジョージの乗った、キャリッジ馬車の右側。
そこに、ファレドは自らの騎乗する駱駝を横付けする。
近づいてきた、彼は自分が行ってきますと偵察に名乗りを上げた。
それを、ジョージは彼なら上手く見つからずに、偵察して来てくれるだろうと思い受諾した。




