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リザード戦後、直ぐに山へ移動だ


「レアさん、かすり傷の手当てを行うので此方に・・・」


「あっ! え~~と・・・リリーさん、済みません私の為に治療をして頂いて」


 見張りを続けていた、レアに対して背後から声が掛けられる。

 その声に、彼女が振り向いた先には、リリーが立っていた。

 彼女は、治療用の薬草を右手に握り、包帯を左手に持ち、笑顔を浮かべていた。


 そして、リリーはレアを連れ、ちょうど腰掛けられそうな位の大きさの岩まで連れて行く。


 そこに、腰掛けらせて治療を行う。



「良いんですよ、困った時は御互い様ですから・・・ちょっと染みますよっ!」


「っ・・・!?」


 リリーは、薬草を絞った薬液をレアの頬に塗る。

 その治療を受けるレアは苦虫を噛み潰したような顔を一瞬だけ浮かべた。


 彼女は、顔中に染み渡る痛みに耐える。



「我慢して下さいね、直ぐに終わりますから・・・」


「は、はい・・・?」


 リリーに薬草の薬液を浸した、ガーゼで顔と両手両足のかすり傷を拭かれた、レア。

 彼女は、軽く肌を刺激する痛みに耐えると、声に成らない溜め息を吐いて緊張を解いた。



「さあ、終了です、これで無事に終わりました」


「有り難う御座います・・・リリーさん、貴女のお陰で傷が化膿しなくて済みそうだわ」


 無事にかすり傷の手当が終わった事を伝える、リリー。

 彼女に対して、感謝の意を示し丁寧に礼を述べる、レア。



「礼なら、彼に・・・自分よりも貴女の事を優先してくれと仰有っていましたので」


「彼が?」


 リリーの振り向いた先に居る、クロスボウを構えて周囲を見張る、ルチアーノに視線を向ける、レア。



(・・・貴方は優しいのね・・・)


 魔物に警戒して、凛々しい表情で遠くの岩場を睨む、ルチアーノ。


 彼を、瞳の中に映し、嬉しそうに微笑む、レア。

 彼女は、本の僅かだが女好きな遊び人のルチアーノに惚れ直した。



「そっちの肉は切り取ろう、リザードの皮は捨てるのは勿体無いが置いていこう」


「時間が余り無いしねぇ~~? 本当に勿体無いけど仕方が無いわ、時間さえあれば沢山のリザード肉を箱べるんだけどさっ!!」


 カメレオン・リザードの皮を剥ぎ取り、肉の切り取り作業を行う、ザロモン。


 その隣では、岩場に登った、ファビアンが愚痴を溢す。

 彼女は、両肘を岩に載せて、スナップハンスロック式銃を構えている。

 銃口を、遠くの美しい黄色い鳥類型の魔物に向け、照準を定める。



「まあ、そうだが、早く行かないと何の魔物に襲われるのか分からないからな」


「ん~~? それでも私はリザード肉が食いたいわよぉ・・・今の戦いでお腹が大分減ったしぃーー!」


 付近に生息する魔物の襲撃を心配する、ザロモン。

 彼は、早くリザード肉を回収して遠くに聳える山の方へと移動したいのだ。


 その考えに対して、腹が減ったと愚痴りまくるファビアンは銃を構え下ろして、左手で腹を擦る。



「お前は・・・どんだけ食いしん坊なんだよ・・・」


「それじゃあーー肉の回収は、この辺にして移動を開始しよう」


 底無しの食いしん坊な、ファビアン。

 彼女に対して、疲れた顔をして呆れ果てる、ザロモン。

 二人の耳に、移動開始を宣言した、カマルの大きな声が聞こえてきた。



「そろそろ移動か、皆準備は出来てるな?」


「マルセル、出来てるわよ!」


 見張りに立っていた、マルセルは仲間達に準備が出来ているかと問う。

 チュリーナは、出来ていると答えながら走って、彼の元に近付いて来た。



「そんな時間か・・・」


「・・・行きましょう・・・」


 ボソリと呟く、ダンとザリーン達。

 二人も歩いて、山を目指す仲間達の列の元に集まり合流する。

 二人は歩きながらも背後を警戒して気を張り隙を微塵も見せなかった。



 荷物を纏めて移動を開始する仲間達。

 見張りや肉の回収作業を行っていた彼等は山を目指して歩きだした。


 移動を開始した彼等の行く手には、広い平原に散乱する多少の岩と様々な魔物が居る。

 しかし、低い山までの道程に邪魔に成りそうな程では無かった。

 だが、何時なんどき敵が襲って来るのか分からないので、カマル達は警戒心を解かなかった。



「岩場は成るべく避けよう」


「魔物が隠れてるかも知れないからねっ」


 カマルとファビアン達は、後ろを歩く仲間達に岩場や大きな岩を避けて通るようにと伝える。


 その理由は、岩にカメレオン・リザードの様な擬態・同化した魔物の存在。

 此方からは見えない岩の裏側に魔物が潜み、奇襲を仕掛けて来るかも知れないからであった。



 それから、平原を歩いていく彼等十二人の人間達は暫くの間を山を目指して行軍する。

 漸く山の麓まで、魔物の襲撃に会う事も無く、皆全員無事に辿り着く事が出来た。

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