前人未到の地へ・・・
ゴリラ・ゴーレムを中心にして、多用な魔物が棲息する危険地帯の山脈の反対側。
その麓まで下りたカマル達一向は正面に見える山々を眺める。
山は、今下りたばかりの山脈よりは低いが、人を寄せ付けぬ険しい雰囲気を纏っていた。
すると、他の一団は左右の山に向かっていたのが見えたので、カマル達は正面の山に向かった。
山の手前の巨岩の大量に転がる平原には、魔物が沢山棲息していた。
「あんなにいっぱい・・・クソッ! これじゃあ? ゴリラ・ゴーレムどころの話しじゃあ無いな」
「どうするんだい・・・こんな所で立ち止まっている暇は無いし?」
強い魔物の数の多さに悩む、カマル。
その横に立つ、ファビアンも魔物の姿を眺めて魔物の種類を確かめる。
二人の見つめる先には、多種多様な魔物が岩だらけの平原を闊歩していた。
ファイヤーリザード。
山岳石蛙。
ポイズン・シザーフライ。
洞穴山猫。
マンイーターフラワー。
これ等の凶悪な魔物が、犇めいていた。
「こりゃぁーー無理ですなぁ~~」
「だからって、このまま引き下がれる訳には行かないしな・・・」
スナップハンスロック式銃を構え、ファイヤーリザードの眉間を狙う、ファビアン。
その少し前で、平原の先を見つめ、次の行動を思案する、カマル。
彼は、予想だにしない敵の数の多さに焦る。
(・・・こんなに魔物の数が多いとは・・・しかし? ここで引き下がる訳には行かない・・・)
「ゴリラ・ゴーレムと戦う前に、我々は他の魔物の掃討を行いつつ、向かい側の山々を目指して進むっ!」
カマルは、仲間達に指示を出すと、魔物の平原の魔物の少ない場所を目指して歩く。
その後ろを、ファビアン達も続く。
「おっ? 移動する見たいだな」
「私達も行きましょうっ!」
カマル達が移動を開始すると後を追って、マルセルとチュリーナ達も動き出す。
その様子を見た、レアとルチアーノ達も動き出す。
「どうやら、皆は出発する様ね?」
「探索を強行するのか・・・」
レアとルチアーノ達も遅れない様に歩き出すと、背後から何者かが付かず離れずに後を追って来た。
その何者かは、姿をカマル達の前には見せず、平原の岩と土に体の色を変色させつつ紛れて進む。
この魔物が密かに迫る中、その存在には誰一人気付かずに平原を進む。
その魔物は、五十センチ程の大きさで、トカゲの様なカメレオンに近い姿をしていた。
そして、カマル達は平原の山脈と山々の中間地点まで辿り着いた。
彼等は遠目に見える強そうな魔物との戦いはなるべく避けて来たのだ。
しかし、ここで遂にトカゲ型の魔物が叫んだ。
「ギュオォォーーーーーーーー!?」
トカゲ型の魔物が大声で叫ぶ。
その周囲に身を隠していた、大小様々な大きさのトカゲ型魔物達が出現する。
奴等は、一斉にカマル達へと飛び掛かって襲い掛かってきた。
「敵襲っ!?」
「分かってた・・・」
驚く、カマルを余所に、ザリーンは高く飛び上がる。
次いで、周囲に居た体長五メートル程の二匹のトカゲ型の魔物を狙う。
彼女は、二匹の両目をスローイングナイフを素早く投げ付けて潰した。
「ギャアアアァ~~~~~~」
「ギァァァァォーーーーーー」
両目を潰された、トカゲ型の魔物は大きな声で泣き叫び暴れる。
それ以外のトカゲ型の魔物達は怯む事無く襲い掛かって来る。
「コイツ等は、カメレオン・リザードだっ!」
「カメレオンじゃないの? 何でリザード何よっ!」
トカゲ型魔物の名前を言った、マルセル。
彼に対して、チュリーナは文句を言いつつ自らの武器である四体の人形達を動かす。
「知るかっ! 出でよ狼達っ! あのリザードを攻撃してくれ」
「ウィザード、スナイパー、射てっ! ナイト、ランサー、二人は右から攻めてっ!」
マルセルは、大きな筆で空中に白い狼を三匹描いて、カメレオン・リザードと戦わせる。
その背後から、チュリーナは人形達に指示を出して攻撃を行う。
「ああっ! 鬱陶しいぜっ全くっ!」
『バンッ! バンッ!』
「敵の奇襲ですね・・・アイスブリザード!」
ザロモンは、ミリタリーフォークを地面に刺して固定する。
次に、二俣の部分へと二連ホイールロック式銃を載せてら二発銃弾を撃ち放つ。
そして、リリーは箒に魔力を込めて思いっきり振るい、全体攻撃用の氷結魔法を放った。
「ギァァァァォーー」
「ギイィ~~~~~~」
「ギイィィーーーー!?」
「ギァィィ~~~~!」
四人の強力な攻撃で、カメレオン・リザード達は次々と撃退されて行った。
しかし、敵であるカメレオン・リザードの数は多く、彼等十二人の人間達は苦戦を強いられた。