今日は狩り&殲滅作戦の日だっ!
朝、七時頃の拠点には大勢の人間達が、慌ただしく魔物掃討の準備を整えていた。
そして、遺跡の上に設営された拠点の脇には数台の馬車が停車してあった。
それは、行商人の幌馬車から傭兵達のキャリッジ馬車までと。
小型・大型を問わず、様々な馬車が集まっていた。
「皆さん、今日はゴリラ・ゴーレムの掃討の日です・・・」
沢山の人間の前で、一人の肌の浅黒い商人の男が演説する。
その男は、商人であるカマルであった。
彼は護衛として雇った傭兵達の前で目標を掲げる。
「皆さんっ! 共に力を合わせ狂暴な奴等を倒して、山の反対側へ我々の進路を開きましょうっ!」
『おおぉ~~~~~~~~~~~~!!!!』
カマルの演説を聞いた皆は、一斉に雄叫びを上げて、早速我先に目標の方角を目指して走って行く。
彼等が目指しているのは、他の部隊とは別方向で、山の反対側である東に向かって徒歩で進むのだ。
「マルセルッ! 早くしてよっ!」
「五月蝿く騒がなくても、今行くってばっ!」
「御二人とも、静かにして下さい・・・」
「沢山の傭兵達が見ているんですよ」
四人一組のパーティーは進む。
彼等は、右側面に展開していた。
その中で、チュリーナとマルセル達は、五月蝿く騒ぐので御供の二人に呆れられる。
「リリー、ザロモン、二人も早くして!」
「御嬢様、余り急ぐと転んでしまいます」
「そんなに急がなくても、向こうから来ますよ」
チュリーナから、リリーと呼ばれたメイド服の女性と、ザロモンと呼ばれた派手な服の独国傭兵。
二人は急がずに山頂を目指して歩く。
一方、その反対側には瑞西傭兵のレア。
クロスボウ兵のルチアーノ達が展開する。
その後ろには、傭兵らしき男と、その連れの美しい女性が居た。
「貴方達もカマルに雇われたのね? 理由は金、それとも他の何か?」
「両方だな・・・こいつと朝から番まで遊んでいたら、銭が尽きちまってな? 銭が急遽必要だったから参加したんだ」
「それで金が必要だし、昨日と今日の飯代も奢って貰ったから、もう一つの理由は借金の返済を・・・って訳よ」
男の方は金髪で、オールバックにした髪をしていた。
額の両側から髪を少し垂らし、薄青い色の瞳を持ち、口には顎髭を生やしていた。
手には、非常に長い大剣を持ち、背中には鞘を背負い、黄緑色の服を着ている。
その上には鳥の彫刻模様の描かれた灰色の軽鎧を着ていた。
そして、足には黒いズボンと黒茶色のブーツを履いていた。
女性の方は、栗茶色の髪をかき上げヘアにしていた。
瞳の色は、青みがかった灰色の瞳で顔はふっくらとした感じの印象を与える。
服装はと言うと、明るいワインレッドの胸元の大きく開いた服と同色のスカートを履いていた。
黒い鉄の胸当てを装備し、フードの付いた袖のだらりと垂れた黄色いコートを羽織る。
足には、赤茶色のブーツを履いていた。
武器は牛追い用の鞭と、三連式のミュケレットロック式ピストルをベルトに填めていた。
「そう言う訳か・・・まあ皆、魔物を狩る理由は様々だな」
辺りに、ゴリラ・ゴーレムが出ないかと目を配るルチアーノは一言呟いた。
その四人のやや少し後方には、カマル達四人のパーティーが続く。
『・・・・・・・・・』
「・・・?」
「うぅん? 今のところは出てこないかぁ」
「そうだね~~そう簡単には現れてくれはしないかっ」
フードを深く被るザリーンは周囲に気を張って警戒しつつ、ゆっくりと歩を進ませる。
彼女の左を歩く、ダンも無言でトマホークを右手に構えて周囲に魔物が居ないか気を向ける。
その間、ファビアンも肩に、スナップハンスロック式銃を担ぐ。
彼女も、遠くに敵がいないかと手を額に添えて、左右の山の斜面を見渡しながら呟く。
そして、カマルも何時でも戦える様に身構えながら歩く。
四人一組のパーティーが三つ、狂暴な魔物ゴリラ・ゴーレムの首を刈り取ろうと捜索する。
やがて、何事も無く彼等十二人からなる一団は山頂を超える。
彼等の行くところ。
それは危険極まり無い、魔物の跳梁跋扈する土地だ。
そんな地獄のような未開の地を目指し、急斜面を何とか進めそうな坂道から下って行った。
⭐️ 瑞西の読み方は、スイスね。