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あれ? あの色惚け女は何処へ行った・・・


 ジョージは、二つの遺跡前の石橋の所まで歩いて来る。

 そこには、ミリカとシャリル達女性アンデッドが居ない事に気が付いた。



(・・・あれ? ミリカ達は何処行った・・・まあ? どうせ捕虜を彼処に連れて行ったんだろうけど・・・)


「リーダー、我々はこの後どうします?」


 ミリカ達は、監獄まで歩いて行ったのだろうと考えた、ジョージ。

 そして、側にアレリオが近付き、今後の指示を求めた。



「取り合えずは、フローシェス・ワイルドホースの肉でも焼いて食おうか」


「そうですねっ! 皆も腹が減ってますしね」


 鎧の上から腹を擦る、ジョージとアレリオ達は他の仲間達の所に歩いて行った。

 彼等は、その後、フローシェス・ワイルドホースの肉を切り分ける。

 それを、ローストにして塩をまぶして食べ始めた。



「ビョルン、カブラル? 二人は見張りに立つ、リュージンとファレドの所に肉を持って行ってくれないか?」


「リーダー、分かりましたよっ! 早速届けて来ますっ!」


「アイツらも腹を空かしているから、早く肉を食いたいでしょうからね?」


 ジョージは、見張りに立つ仲間達への食事を届けて上げて欲しいと、二人に頼む。

 そう言われた、ビョルンとカブラル達は素直に依頼を引き受ける。

 二人は、螺旋状の岩柱まで肉の乗った皿をトレーに乗せて向かった。



「しかし、ミリカの奴? どうせ捕まえた女性に悪戯してるんだろうな・・・あっ!? そう言えば? キャロルの奴、何か成長してたような・・・」


 食卓の席に座る、ジョージはロースト馬肉を食べ終える。

 ミリカ達が、今頃捕虜にした女性と楽しんでいるだろうと思っていた。

 そして、急にキャロルがいつの間にか、成人女性に成長していたという衝撃の事実に気付いた。



「あいつ! 進化したのか・・・?」


 キャロルはきっと進化して、ミリカ達と同じ年齢くらいの容姿と成ったのかと考察する、ジョージ。

 幼かった彼女は進化により美しい女性へと成長した。

 それはつまり、ホーント系アンデッドとしても、戦闘力や魔力を上げたに違いないと彼は思った。



「後で、キャロルのステータスを確認しておこう・・・それと、アレリオ?」


「何ですか、リーダー?」


 ジョージは傍らに控えていた、アレリオに話し掛けて明日の予定を伝えた。

 彼は、これまでに貯めた魔物の皮や骨を、行商人達と取引して売り払おうと考えていた。



「アレリオ、明日は行商人達に魔物の骨を売りに、ファレドやリュージン達に行って貰おうかと考えたんだけど?」


「それで得た、お金で武器や食料を買おうって訳ですね?」


 二人は、テーブルに隣同士で座り会話を続ける。


 ジョージの考えを察した、アレリオ。

 彼は、明日は残り少ない、爆弾や食料を買いに行って貰うのだと理解していた。



「そうだな、チーズや弾や矢も買って置かないと、カブラルとシニッカ達もいざと言う時に弾が無いよって成ったら困るもんな?」


「それと? 行商人達からは、もっと沢山の情報も仕入れたいですね・・・彼等なら山の上の拠点の事も知っているでしょうし?」


 ジョージとアレリオ達は、様々な道具や情報を行商人達から手に入れようと話し合う。

 そんな、彼等の明日の予定の話し合いは暫く続いた。



「肉を届けて来たけど、次は何をする?」


「う~~ん、そうだな、骨を洗うか?」


 見張りに立つ仲間達に、ロースト馬肉を届け終えた帰りのビョルンとカブラル達。

 彼等はリーダーである、ジョージの所には戻らず、ある場所に向かう。


 その場所とは川である。

 二人は、前もって頼まれていた馬と狼の骨を川で洗おうかと考えた。


 つまらなそうな顔をして歩く、ビョルンと両手を頭の後ろに組んで歩く、カブラル達。


 彼等は、別に面白くは無いが、他にやる事が酒を飲んで明日の晩まで就寝する事しか無い。

 なので骨を洗う為に、肉片のこびりついた骨が山の様に無造作に置いてある川の側まで来る。


 そこから、二人は靴を脱いで骨を洗い出した。



 一方、その頃・・・。



 人間達の拠点では、行方が分からない姉弟の事が話し合われていた。


 つい最近も、夜間に行方不明となる者が二名も出た。

 その為に大、きな天幕の中では各パーティーリーダー達による、会議が開かれていた。



「また二名行方不明者が出た、これは何かあると思う・・・」


「しかし、この辺には低レベルの魔物しか出ない筈だ、そう簡単に姉弟や剣士が殺られたとは考えられない」


「殺ったのが魔物じゃなくて人間? いや、アンデッド・・・それも知能が高い奴等なら?」


「まさか噂のアンデッドの一団かっ!? あの騎兵隊と傭兵達からなる集団をほぼ壊滅させた奴等がここに・・・」


 それぞれのパーティーを率いるリーダー達。


 集まった彼等は行方不明者が、もしや恐ろしいアンデッドに襲われたのではと考える。

 そう思い付くと、その場に居たリーダー達の背筋に戦慄が走る。



「先ずは、夜間の狩りを禁止にしようっ!」


「補給用の山道以外の道の使用禁止もっ!」


 話し合う、パーティーリーダー達。


 その結果。

 この遺跡の上に作られた拠点に、夜間に厳重な警戒体制を整え、不用意な外出の禁止を決定した。


 この時、彼等はまだ知らなかったのだ。


 大切な自分達の仲間、その中に・・・。


 ジョージとミリカ達が率いるアンデッドのパーティーに襲われて命を落とす者がいる事を。


 それを、今はまだ知る由も無かった。

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