ゴースト少女の進化!? 彼女はゴースト女子に~~
服装は然程変わって無いが、その身に纏う雰囲気が、何処と無く大人びた雰囲気へと変わったキャロル。
彼女自身もその変化には気づいた。
「私、何か白く光らなく成った?」
キャロルの服装は進化した体と同様に、マントが成長した体つきに合わせたサイズに変化していた。
デザインは、変わっていなかったが、ブレザーは、テーラードジャケットに変わる。
スカートは、脹ら脛が隠れる位の長さのミディスカートに変化しいた。
そして、彼女の体からは儚げな印象を与える白くて薄透明な肌色。
明るく健康的なベージュ肌色。
その中間位の白い肌色に変わり、綺麗な若い人間の女性の姿と成った、キャロル。
「まあ・・・変わってしまったな?」
「大人に成長するとは、アンデッドの進化とは凄い物なのですね?」
キャロルの一歩先を歩く、リュージンと駱駝の背に乗ったファレド達。
三人は、足場の悪い灰色の山肌を進む。
彼等の足元には、小石と砂利の混ざった凸凹な地面がある。
なだらかな丘のように連なった斜面の上を、三人は歩くのに苦戦しつつ帰路を辿る。
「ひょっとして・・・リュージンさんも進化して若返ったのですか?」
「そうですじゃ・・・ファレド殿、私も進化した影響で、肉体が若返る事に因って、生前よりも数段上の力を得ることが出来たのです」
小石と砂利をザクザクと音を立て踏み締めながら歩く三人。
駱駝の背に乗る、ファレドは不意に、リュージンに質問をする。
それに、彼もその通りだと答える。
「それもこれも皆、リーダーとミリカ殿のお陰です・・・あの二人のお力添えでワシは人間と言う、萎小な存在からアンデッドと言う至高の生命体と成り、我が主達のパーティーの末端に加えて頂く事となりました」
一人、延々と己の主達への感謝と忠義の念を語る、リュージン。
その横顔を黙って見ていた、ファレド。
「羨ましいですな、主達に早くに忠誠を尽くす事が出来て・・・」
ジョージ達アンデッドのパーティーが交易所を襲撃した際、只一人だけゾンビと化した、ファレド。
彼は夜の広野を駱駝の背に乗って、さ迷い・・・。
自らを、アンデッドに変えた主である、ジョージ達を探して、島の彼方此方へと移動していた。
ジョージ達アンデッドのパーティーを懸命に探す目的は、勿論あの時にシャリルが言った言葉である。
(・・・貴方はこれから腐肉の塊に成りますが・・・もし我々の仲間に入りたいのならばレベルを上げて進化してから追い掛けて来てくださいね・・・)
ファレドは事切れる前に発した、この言葉と。
上から口の中に落ちてきた、ドロリとした血の味を確りと覚えていた、
そして、シャリルの言葉通りレベルを上げた。
それにより、腐肉の塊から、ズアーブソルジャー・ゾンビへと進化を果たした、ファレド。
彼は、仲間として迎え入れて貰う為に、交易所から旅に出たのであった。
その後、暫くは無言で足場の悪い斜面を下る三人のアンデッド達。
彼等は、辺りへの警戒を怠らず、目に見える景色の中に不審な物は無いかと目を凝らす。
更に、どんな小さな音も聞き逃すまいと神経を研ぎ澄ます。
静寂に包まれた山岳地帯には強い冷たい風のみが、ヒュウゥと小さな音を立てて四方から吹いてくる。
そんな中、キャロルは斜面の下方に誰かが魔物と戦っているらしき姿を確認する。
「・・・あれは誰かな?」
彼女の目には、眼下の斜面のかなり下の方でら二人の人間が魔物相手に善戦しているのが見えた。
人間は、一人は赤い僧侶か、魔法使いのような格好だ。
もう一人は、緑色の農民服を着た、男の子のようであった。
「あの二人、魔物に囲まれているな」
「助けに行ってみましょうか?」
戦闘の光景をキャロルの背後から見つめる、リュージンとファレド達。
彼等は、眼下の二人の人間達を助けに行くか相談する。
「師承、ファレドさん、助けに行こうよ」
「ふむ? 情報が欲しいところですし、助けに参りましょうか」
「そうしましょうっ!」
キャロルは人間達を助けに行きたがる。
この付近の情報が欲しいと思う、リュージン。
彼は、あの戦っている二人の人間達から何か聞き出せるかも知れないと思う。
そして、今行われている戦闘に加勢する事を決意を決める。
ファレドは駱駝の背中の棒に胡座を組む。
そして、眼下で行われる戦闘に加勢する為、駱駝と共に緩やかな斜面を一気に掛け下った。
(・・・あの魔物はキラーアントか・・・)
ファレドは駱駝の背から眼下の敵の姿を確かめる。
その姿は夜の暗闇に紛れて、余り良くは見えない。
だが、先程戦ったキラーアントに酷似していた。