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地中から奇襲を仕掛けて来た蟻達との戦闘


 三方から奇襲を仕掛けてきた、キラーアント。

 奴の頭に一発、氷結魔法を浴びせて凍らせる、キャロル。

 彼女が早速一匹仕留めると、他の二人も次々と、無慈悲に蟻達の命を刈り取る。



「黒蟻の殻はうれますかね?」


「さあ~~珍しがって行商人が買うかも知れませぬな?」


『パン』


 リュージンは勢い良く高く飛び上がる。

 それから、偃月刀を頭上に掲げて一振りし、キラーアントの頭を撥ね飛ばす。


 ファレドは、フリントロックピストルを発砲して、キラーアントの右目を撃ち抜く。

 その黒く丸い弾丸は、蟻の脳内を貫通して後頭部から脳髄と共に飛び出る。



「終わりましたな・・・」


「だねぇ~~?」


「さあ、死骸を回収しましょう」


 リュージンとキャロル達は辺りに他の敵が居ない事を確認する。

 そして、武器を下げて、二人共ほっと胸を撫で下ろす。

 ファレドは駱駝の背から下りて、蟻の死骸を袋に入れて持ち帰ろうとする。



「んんっ! あ? ああっ」


 突如キャロルの体に異変が起こる。

 彼女は瞳を、ブルブルと震わせて見開き、寒そうに両腕を抱え込んで体を屈める。



「どうしたんじゃ、キャロルっ!?」


「いったい何が起きたんだっ!?」


 その不審な様子を見た、リュージンとファレド達だが。

 二人は先程倒した敵が、目に見えない毒をキャロルに浴びせていたのではと思う。


 そして、何とか治療出来ないかと慌てる。



「ああ・・・あ?」


 淡く光る白みがかった青い霧がキャロルの体全体からボワッと噴射される。


 それは、一瞬にして、キャロル本人の体を包み込んでしまう。



「あっ何じゃ? 進化か・・・脅かしおって」


「進化ですか? いやはや驚きましたよ」


 キャロルの身に起きた異変が進化であった事に安堵する、リュージン。

 その隣で、進化であることを知らされた、ファレドも興味深く青い霧を観察する。



「さて、どんな姿に進化するのか」


「とても、気になりますね?」


 リュージンとファレド達が喋っている間、霧の中に包み込まれた、キャロル。

 彼女は、ふわふわと自らの体を包む、優しく冷たい霧の感覚を肌で感じる。



(・・・気持ちいい・・・はぁん・・・冷たい霧が私を包み込んで体を変える・・・私の体が作り変えられちゃうっ! はあぁん!! まるでこの霧は冷水の泡風呂に漬かっている見たあいぃ~~~~♥)


 霧の中で目を瞑り、体全体を包み込む霧に体を急速に成長させられる、キャロル。

 やがて、ゴーストとしての体を構成する全ての魔力を進化させられた彼女は霧の中から姿を現す。



 その様子を青い霧の周囲で観察していた、リュージンとファレド達。


 二人は霧の中に立つキャロルの姿を眺める。


 うっすらと見える彼女の影のシルエット。

 それが、子供の形状から大人の形状へと、膨らみつつ変化していくのを黙って見届けた。



「うっ・・・ううん? おはよう・・・師承、ファレド」


「おはよう、じゃないわいっ」


「大人のお嬢様に成長なされましたな」


 寝惚けた様子の二十歳にいくか、いかないか位の大人びたお嬢様の姿に進化した、キャロル。

 進化により、彼女が成長した姿が目に入った、リュージンは見た目だけは大人になったかと思う。

 ファレドは成長した彼女の姿を見て、成る程これが進化なのかと思った。



「うぅん?」


 二人の発言を不思議がり、自らの姿を、キャロルは足の爪先から胸元と両腕の指先までを見つめる。

 彼女は、二人の言葉通り自分の体が成長した事に気づく。



「えへへっ? 私、大人になっちゃった♥」


「外見だけじゃがな・・・」


「それよりも二人共、これ等を回収して下さい? こんなガラクタでも売り物になるかも知れませぬからな」


 大人の凛とした顔を、眩しい笑顔に変えて喜ぶキャロル。

 外見だけ変わっても、中身と実力が伴っていなければ意味がないと考える、リュージン。

 その二人、に蟻の死体の回収を手伝ってくれる様に頼む、ファレド。


 その後、彼等は蟻の死体を切り刻み、バラバラに解体する。

 それから、駱駝の背中に吊るされた袋に蟻の死骸を詰め込む。

 そして、自分達アンデッドの拠点までの帰路についた。

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