アイツはBTRかよっ!? だから何なのよ! それはっ!!
「くそーーBTRめぇ~~?」
「そんな事言って無いで、何とかしなさいってのっ!」
フローシェス・ワイルドホースの背中から発射される雷撃を交わしつつ、ジョージはバカを言う。
そんな、ロシア製の装甲車の名前を出すオタク・ゾンビに突っ込みを入れる女吸血鬼ミリカ。
「御二人ともっ!? 奴が来ますっ!!」
「奴が突進してきたっ! 回避をっ!」
シャリルとアレリオ達が叫ぶ。
騒いでいた二人は、フローシェス・ワイルドホースに目を向ける。
すると、奴が背中に電気を貯めて此方に突っ込んで来るのが目に入った。
「奴の背中が黄色く光っている!?」
「分かってるわよっ!! それより早く回避してっ!」
四人目掛けて突進してきたフローシェス・ワイルドホース。
奴は、避けきれなかったマヌケなジョージを足で蹴飛ばす。
蹴り飛ばされた彼は、前方の灰色の地面に勢いよく吹き飛ばす。
「べぶっ!!」
フローシェス・ワイルドホースはジョージを蹴飛ばすと、次の攻撃に移る。
背中の両側から、溜め込んだ雷撃を残る三人のアンデッド達に放つ。
「うわっ!? 雷撃がこっちにっ!」
「不味いっ! 交わさなきゃっ!」
「ちょっ! 今は止めっ!!」
アレリオとシャリル達は横にステップして雷撃を回避する。
ミリカも後ろに飛んで回避に成功した。
そして、彼女は吹き飛ばされたジョージを心配して声を掛けるが。
「何よっ!! べぶってぇーーふざけているのっ?」
「ふざけている訳じゃあーーねえよって?」
ミリカに怒鳴られた、ジョージは再度自分に突進して来る敵を見た。
そして、彼はフローシェス・ワイルドホースが眼前に迫る中で咄嗟に身構える。
「ヒヒーンッ!!」
『ガッガッ!』
「うがっ!? がっ!?」
疾走してきたフローシェス・ワイルドホースはジョージの体を踏みつける。
彼は腹と胸を踏まれたが、ゾンビなので体自体には、大ダメージを受けても大した痛みは無い。
衝撃が多少体全体に伝わる位だ。
フローシェス・ワイルドホースが素早く去って行く。
それを見た、ジョージは即座に立ち上がり、暗黒魔法を放って反撃する。
「ダークボール! ダークボール!」
ジョージの放った二発の暗黒球の内一発は命中した。
走り去っていく、フローシェス・ワイルドホース。
その背中をかすり、真っ黒い皮膚に軽傷を負わせる。
「ヒヒーイィッ!?!!!」
突然、自らの背中を走る鋭い痛みに驚いたフローシェス・ワイルドホース。
奴は驚きの余り周囲に響き渡る叫び声を上げる。
始めは痛みに苦しんでいたが、徐々に落ち着いた様子を見せる。
今度は鼻息を荒げて、背中の両側からメチャクチャに雷撃を放出して突進してきた。
「うわっ! あれを交わすのはキツそうだ」
「何か? 凄まじくヤバい状況ねっ!!」
「あれを何とかしなきゃ?」
「私達は全滅するっ・・・」
ジョージとミリカ達は、此方に迫るフローシェス・ワイルドホースへと手をかざす。
二人は魔法を放とうと構えたのだ。
それを見て、アレリオとシャリル達は雷撃と突進攻撃を回避しようと身構える。
「ヒヒーン!!!!」
『ゴロゴロッガラッ!』
背中に溜めた雷撃を放電しながら突進するフローシェス・ワイルドホース。
奴の雷撃に巻き込まれまいと、ジョージ達は、一斉に左右に飛んで回避行動をとる。
「負けて堪るかっ! 馬野郎」
「喰らえーー馬刺しにして上げるーー」
右側にとんだジョージとミリカ達は魔法を連続で至近距離から撃ち放つ。
フローシェス・ワイルドホースの左脇腹に、それぞれ一発ずつ魔法を命中させた。
「ヒヒーン!!」
「私達もお前を倒すわっワイルドホース」
「俺達の攻撃を喰らえぇーーー!」
両前足を上げて痛みに悶え首を激しく振るうフローシェス・ワイルドホース。
奴に武器を構えて接近し近接攻撃を仕掛ける二人。
アレリオはモンタンテを振り上げ、右斜め上から勢いをつけてフローシェス・ワイルドホースに振り下ろす。
シャリルは、メイスを横から素早く振るい右前足に打撃を与える。
「ヒヒィィーンッッ!!!」
「今だっ俺達の攻撃ターンだっ!」
「やって殺ってやるわよ」
アレリオとシャリル達の近接攻撃に遠くから走って来て加勢するジョージとミリカ達。
フローシェス・ワイルドホースの柔らかい脇腹に、ショートソードで二回縦横に切り着けるジョージ。
そして、ミリカは右手のレイピアを何度も体に突き刺し、至近距離で何発も火炎魔法を当てる。
「ヒヒイーィィーーーーーーーー!? ・・・」
大声で凄まじい悲鳴を上げて激しく暴れるフローシェス・ワイルドホース。
だが、攻撃を続けるジョージ達は、暴れ狂う奴の足による踏み潰しや蹴り飛ばし攻撃を上手く回避してしまう。
ジョージ達に雷撃を放とうにも、フローシェス・ワイルドホースにそれは出来ない。
何故なら、魔法攻撃による負傷で雷撃を放つ事が無理だからだ。
そして、遂にフローシェス・ワイルドホースは遂に力尽き前のめりに倒れた。