一方・・・先に飯を食ってた男アンデッド達は?
「なっ!? 嫌ぁーーーーーー!!!!」
「ペロペロペロッ」
「レロレロ?」
「あむっ♥ 皆ぁ~~? 今回はここまでっ」
五人のアンデッドに体を傷付けられたヌル。
彼女は、手足や胸元を舐め回され余りの擽ったさに頬を紅潮させて嫌がる。
流れ出る真っ赤な血液を啜る五人の女アンデッド達。
そのリーダーであるミリカは命令を下し、皆に今回はコレだけで我満と告げる。
「後は晩の楽しみに残しておきましょう?」
ミリカは豊満な肉体のヌルに絡み付く自らの僕達である四人の女アンデッド達。
彼女等に血液を舐めるのを止める様に命令を下した。
一方その頃、肉を焼き上げた男アンデッド達。
彼等は、待てど待てど戻って来ない女アンデッド達に痺れを切らしていた。
彼女等が戻るよりも先に、ニードルランサーウルフの肉に噛じりついていた。
「いっただっきまーーす!!」
『ガブリッ』
ニードルランサーウルフの股肉を噛み千切りモグモグと噛む。
塩と粉チーズをまぶしただけのロースト肉を美味しく味わうジョージ。
その周りの樽に座る、仲間達も肉を味わう。
「ああ・・・肉は旨い?」
「まったくですな?」
アレリオとリュージン達も肉を差した串を右手に持つ。
二人も、ニードルランサーウルフの肉に噛ぶりついて油と肉の味を噛み締める。
「ふぅ・・・こうして複数人の人? いや・・・皆様はアンデッドでしたね? 兎に角、また誰かと再び食卓につく事が出来るとは」
「そうか? お前は仲間と飯を食うのは久し振りになるのか・・・前の仲間達とまた飯を食いたいとは思わないのか?」
ポツリと呟いたファレドに対して、ジョージが質問すると。
彼は肉を食べるのを一旦止め、テーブルの上の皿に串を置いて自分の心情を吐露する。
「いや彼等は一時仲間として商売人同士で、行動していただけです? しかし、やはり誰かと食卓を囲むのは良い・・・」
そう話したファレドの顔は安堵の表情を浮かべていた。
彼はアンデッドと化してからヌルを捕虜にするまでは、ずっと一人だった。
お供の駱駝以外は、ジョージ達を追跡して孤独な旅を続けていたのだ。
「それで・・・ファレド、しんみりとした話はここまでにして何か有益な情報は無いのか?」
「それでしたら・・・」
しんみりした空気を変えようとジョージが話題を変える。
すると、有益な情報を掴んでいたのか、ファレドは何かを語ろうとする。
「この山の上方には、中規模な探検隊や傭兵部隊の拠点が構築されており?」
「ファレド、悪いが・・・その情報はもう既に知っているんだ」
既に知っている情報を得意気な顔で話すファレドに対して、ジョージは悪いがと言って話を遮ろうとするが。
「そうですか? しかし、そこまで伸びる山道を拠点へ訪れる傭兵隊や行商人が、昼夜を問わずに通ると言う事は御存じでしたか?」
「んっ!! それは知らなかったな? じゃあそのルートを通る連中を襲えば物資の調達は楽になるなぁ~~?」
ジョージ達が知らなかった山道と言う場所の事を詳しく話したファレド。
その話しの内容を聞いたジョージ。
彼は、そこを通過する人間達を盗賊の様に襲えば物資の調達が楽になると考える。
「そこを襲撃するよりも、行商人達との取引や情報収集を行った方が良いと思うのですが?」
「うぅん・・・確かに返り討ちに合うかも知れない危険性を考慮したら、魔物を倒して手に入れた毛皮や骨を売った金で、チーズとか弾薬を買う方が良いか・・・」
襲撃よりも取引を行った方が得策だと考えるファレド。
その考えを聞いたジョージも襲撃はリスクが高くとても危険だ。
だが、取引なら比較的に簡単に物資の調達が出来ると言う事を理解した。
「んん~~? その行商人達には誰か、人間に近い見た目の奴か? 変装させた奴を取引に向かわせるとするかな?」
ジョージは誰を行かせるのかと思案する。
その前に見張りに立つ二人。
まだ昼飯を食べていないビョルンとカブラル達の事を彼は思い出す。
それから、彼はお肉を届け様かと思い席代わりの樽から立ち上がる。
「よっと! ビョルン、カブラル達にこんがりと焼けた美味しいお肉を届けて上げますか?」
「リーダー、自らが行かなくてもっ!」
ジョージは重い腰を上げる。
それから螺旋状の岩柱と崩れ掛けた石橋まで、彼は向かおうとする。
彼は、お肉が山盛りに盛り付けられた大皿を、木製のトレーに二皿乗せる。
それを見ていた、アレリオは自分が持って行きますよと言った。
「有り難う? でも俺が肉は持って行くから、お前はエールとリンゴジュースを頼むわ? 彼奴等も腹は空いてるし? 喉は渇いているだろうし?」
「リーダーの言う通り、奴等もきっとつまらない見張りをしている上に腹もペコペコでしょうから?」
ジョージはトレーを持ち、アレリオは四本の瓶を持ち、見張りに立つ仲間達の所を目指して向かって行った。