現れた十一人目の新たな仲間と、やがて悪堕ちし12人目の仲間《アンデッド》にされる憐れな運命の髪の長い黒髪の美女
「お姉さまーーーー大変ですぅ~~~~!?」
洞窟内をシニッカが必死で走りながら近付いて来るのが三人の目に入る。
何をそんなに急いで居るのか、もしかして敵襲かと問い質すミリカ。
「シニッカちゃんっ!? まさか敵襲ぅーー!」
「ちっ! 違います? 駱駝に乗ったアンデッドの男が、皆に会いたいと?」
アンデッドの男が会いたいと言う、シニッカの報告を受けたミリカ達。
彼女等は、早速その人物の元へと向かおうとする。
「皆、行くわよっ!!」
「えっあ! はいっ?」
「はいっ! お姉さまっ!」
「では、お姉さま此方ですっ!」
ミリカを先頭に、左側にキャロル、右側にはニウとシニッカが並ぶ。
彼女等は、この拠点へと入場した謎の訪問者を出迎えに行く。
彼女達はドラマ、白い巨塔に登場する医師達の様に、四人並んでツカツカと音を立てて早歩きで進む。
洞窟内を出ると、洞窟の外に居たシャリルと合流する。
「お姉さま! 件の男と捕虜の女性は、こちらに御座いますっ!」
「捕虜? 女性も居るのね? その男が手土産に連れて来たのかしら? まあ取り合えずは有り難うシャリル・・・貴女も一緒にその男の元へ行きましょう」
こうして、洞窟の外に居たシャリルと合流したミリカ達。
彼女等は、男の正体とその男に捕らえられて連行されてきた女性を確かめに遺跡の方へと進み続ける。
その後、食卓用のテーブルとして設置した木箱と椅子として使っている樽の場所。
そこに、男アンデッド連中が集まって居るのが見えた。
なので急ぎ、そこまで五人の女アンデッド達は走る。
「おっ! お前さんは!?」
「おおっ!? お前はまさか・・・」
リュージンとアレリオ達の驚く声が木霊する。
その場に居たカブラルを除く五人の男アンデッド達は、皆全員が蒼衣の男性の正体に驚く。
「まさか・・・いや? その正体がお前だったとは・・・」
「あれから? 僕達をずっと追い掛けていたのかい・・・」
謎の蒼衣の男性に話し掛ける、ジョージとビョルン達。
その男性は頭に巻いたターバンの様な蒼色の布を顔の部分だけ外した。
二人が男性の顔を見て、その正体に驚く姿が見える。
しかし、ミリカ達の場所からは男性の顔を見ることは出来ない。
見えるのは、背中姿だけであったのだ。
なので、彼女達は再びツカツカと早歩きで男性の正面へと歩を進ませた。
「ん? 誰かが後ろから来ましたな?」
「あれれ! あ! あ! 貴方はっ!?」
「貴方は!? ファレド・・・!!」
足音が背後から聞こえて来たので、誰かが近付いて来るのに気づいた蒼衣の男性。
彼が背後に顔を向けると、そこに五人の美しい女性アンデッド達が居た。
その中の一人であるミリカは蒼衣の男性の顔を見て大変驚く。
シャリルに至っては思わず、正体の分かった蒼衣の男性の名前を叫んだ。
「お久しぶりですね!? シャリルさん・・・」
「えっ! ええ? そう? ですね? ・・・ファレドさん・・・」
ファレドの目は、後ろに立っていた五人の女性アンデッド達に向けられる。
更には、中に居たシャリルに視線を向ける。
少しばかりの沈黙の後に口から言葉を呟く様に出した。
そして、ファレドに声を掛けられ、咄嗟に名前を呼ばれたシャリル。
彼女は思ってもいなかった相手から話し掛けられた事により、只驚き慌てるしかなかった。
「貴方をアンデッドに変えた、私の事を怨んでいますか?」
「とんでもないっ!? 未来永劫に朽ちる事の無い肉体に、偉大なる不死生命体の配下に加えて頂いたのです、その栄光なる神の祝福を怨むなどっ!!」
表情を悲しそうにして視線をファレドに向けて、怨んでいますかと問うシャリル。
だが、ファレドは怨むどころか感謝すらしていると真剣に答える。
交易所、でジョージ達アンデッドのパーティーに騙され殺された時。
シャリルやジョージ達アンデッドを怨み、まだ生きたいと天に住まう神に願ったのだろう。
だが、命を落とした後にシャリルが彼の口へと垂らした水筒の水。
アンデッドの血液入りが、彼をアンデッドに変えてしまう。
それは、本来ならば、シャリルを含むアンデッド達を激しく憎み怨む筈の心をどす黒く塗り潰す。
更に、それを有り難いと思う、悪魔の僕へと堕落させてしまったのだ。
「シャリルさん・・・貴女に言われた通り、私は敵を倒しレベルを上げて来ました・・・そして今、私は皆に仲間に加えて頂きたいのです」
「分かりました、ファレドさん・・・ですがそれを決めるのは私ではなく? 我が主達で有られるリーダーとお姉さまが決めるのです・・・彼を仲間に加えても宜しいでしょうか、リーダー? お姉さま?」
ファレドは、仲間に加えて頂きたいと懇願するが、シャリルは私には決定権が無いと言う。
彼女は、ジョージとミリカ達の方へと視線を向ける。
それから二人に、ファレドを仲間に加えても良いかと許可を仰いだ。