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女格闘家と棘槍狼の戦い


「喰らえっ! トゲトゲワンコッ!」


「ギャッ!!」


 ニウの渾身の一撃を、右頬に叩き込まれたニードルランサーウルフ。

 奴は、体勢を崩して灰色の地面に横向きに倒れてしまう。

 彼女は、その隙を逃さずに再び攻撃を仕掛ける。



「ギャウ! ギャウ! ギャウ!!」


「五月蝿いわよっ! 貴方は大人しく寝てなさいっ!」



 対峙するニウと、口から涎を垂らして隙を伺うニードルランサーウルフ。

 静かに夜風が吹くなか、格闘家と魔獣は命を賭けて激しくぶつかり合う。



「ガウッ!! ガウッ! ガウッ!」


「しつこいっ!」


 いよいよ本気を出したのか、ニードルランサーウルフは、ニウの喉元を狙い飛び掛かってきた。

 その攻撃に押し倒された彼女は、喉元を食いちぎられないように必死で抵抗する。

 涎が垂れる狼の顎を両腕で押さえ、彼女は何とか踏ん張る。



「このっ! しつこい犬ねぇーー? これでも食べてなさいっ!?」


 体の上にのし掛かられたニウはふと横を見る。

 自らの掌の三倍位の大きさの石を見つけた。

 それを、ニードルランサーウルフの顎に突っ込んで、噛まれ無いように口を封じる。



「フガフガフガ・・・!?」


「ええいっ! やっぱり五月蝿い!?」


 口を開けなくなって、フガフガ言い出したニードルランサーウルフ。

 奴の左側の脇腹に、自らの棘が刺さるのを気にせずにダンを打ち込んで体の上から退かすニウ。

 そして、追い討ちを掛けて横に飛ばされてしまう、ニードルランサーウルフ。

 その眉間は、硬い地面にドンッと鈍い音を立てて当たった。



「・・・・・・」


「はぁーー終わったわ・・・」


 バタリと倒れたニードルランサーウルフ。

 奴は、脳震盪を起こしたのか、それとも頭蓋骨が陥没して死んだのかは分からない。

 だが、奴が動く気配はない。

 その様子を見て、取り合えず戦いに勝利した事に、ニウは安堵の息を吐いた。

 それから彼女は、ジョージ達の方へと視線を合わせる。



 今から約十五分前。

 ジョージとミリカとビョルン達。

 三人は、ニードルランサーウルフの群れと衝突していた・・・。



「ミリカ! ビョルン! 今そっちに行くぞっ! ダークボール、ダークボール」


 ジョージはニウと別れた後、暗黒魔法を放ちながら走る。

 数匹のニードルランサーウルフの群れに魔法を放ち、応戦を続けるミリカとビョルン達。

 彼は二人を援護しに、騎兵隊の如く救援に向かっていた。



「何匹居るのかしら、コイツらは!?」


「ミリカ様っ! 何匹居ようと打ちのめすだけですっ!」


『ドドドドドドドドドーー!』


 ミリカは火炎魔法の火球を数発連続で放つ。

 ビョルンも音波魔法を撃ち放って、ニードルランサーウルフの群れに制圧射撃を加える。

 連続で放たれる二人の魔法攻撃により、群れの中から二匹の脱落者が出るが。

 他のランサーニードルウルフ達は、運悪く負傷した二匹の仲間には目もくれず、こちらに走る。

 彼等は一心不乱にミリカとビョルン達を噛み殺さんと迫り来る。

 そのまま、両目のヘーゼルカラーの瞳の中に捉えた二人へ突っ込んで来た。



「ガウッ! ガウッ!」


「ガウッ! ガウッ!! ガウッ!」


「ガウッ! ガウゥーーーー!!」


 七匹のニードルランサーウルフ達。

 彼等は、ミリカとビョルン達の周りまで来る。

 そして、円を描く様に二人を取り囲んで次々と襲い掛かる。



「くっ・・・囲まれたのね?」


「うわぁっ!」


『ドドドドドドドドドドドドドーー』


 包囲され、次々と襲い来るニードルランサーウルフ達に翻弄されるミリカとビョルン達。

 二人は攻撃を交わしつつ、レイピアや魔法で反撃する。

 互いの背中を合わせて何とか持ちこたえ様とする。



「ガウッ! ガウゥゥーー!」


「くっうぅ~~? 邪魔よっ!!」


「ミリカ様あっーー! あっ!? コイツ等ぁ!! どけっ!」


 一匹のランサーニードルウルフが、ミリカの肩に飛び掛かって噛み付く。

 ビョルンの両腕にも、二匹のランサーニードルウルフが噛み付いた。

 更に、他の四匹が攻撃してくる。

 彼等は、全身棘だらけの体で、二人の背中を狙って体当たり攻撃を敢行してきた。



「後ろからも!?」


「卑怯な奴等だ」


「ガウッ! ガウッ! ガウッ! ガウッ!」


「ガウゥーー!!」


「ガウッガウーー!」


 遂に、ミリカとビョルン達の背中に、ニードルランサーウルフの硬い棘が深々と刺さる。

 そして、背中が穴だらけに成るのかと思いきや。



「ダークボール、ダークボール!」


「ガウッ!?」 


「ガウッ!! ガウッ!」


 二人の窮地に慌てて現れたジョージ。

 四匹のニードルランサーウルフ達を、側面から暗黒魔法を放って追い払う。



「ミリカ、ビョルン、大丈夫か!?」


「もうっ! 遅いわよっ!!」


「リーダーー助かりましたぁっ!」


 やっと援軍に来てくれた、ジョージのお陰で、窮地を脱したミリカとビョルン達。

 そして、体から噛み付いて放れようとしない、ニードルランサーウルフ。

 それを彼女は、レイピアの切っ先を目から突き刺して殺す。



「形勢逆転よっ!!」


 ビョルンの右腕に噛みついていた二匹。

 その内の一匹も、ミリカはレイピアで顔面を斬りつけ、両目を潰してから腹を切り裂く。

 残るもう一匹も、背中からレイピアを突き刺して串刺しにして倒す。



「ミリカ様・・・助かりましっ!?」


『ドドドドドドドドドドーー』


 ミリカに礼を言おうとしたビョルン。

 彼は、背後から彼女に襲い掛かろうとしたニードルランサーウルフに狙いを定める。

 そして即座に、ニッケルハルパを即座に構えて音波魔法を撃ち込んだ。



「ギャフンッ!」


 音波魔法を顔面にくらったニードルランサーウルフ。

 奴はその場に倒れ、両目を前足で覆い、苦しそうに呻きながら地面の上でのたうち回る。



「ガルルッ」


「ガルルッ・・・ガルルル」


「ガルルルルルッ!」


 しかし、両目を覆っていたニードルランサーウルフは眼球が無事だったらしい。

 だが、暫くは間は苦しそうにして、のたうち回っていた。

 しかし、他の三匹が、ジョージ達と対峙すると、再び自らも戦列に加わるのだった。

カクヨム先行公開中ですんで。


向こうは、数十話も先を行っているんで。

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