棘だらけ狼と戦うぞっ!!
対、ニードルランサーウルフ用の作戦を思い付き、それを纏めたジョージは仲間達に指示を出す。
「ミリカは、ビョルンと一緒に魔法で奴の正面から奇襲を仕掛けてくれっ!」
「はぁいっ! はい?」
「リーダー、了解しましたっ!」
「アタシは・・・」
ジョージの出した指示に素直に従い、ミリカとビョルン達は魔法攻撃の準備を整える。
そして、アタシにはと言って、ニウはジョージから自分に下される指示を待つが。
「ニウは俺と一緒に、奴の背後から襲い掛かるぞ、そして奴との白兵戦だ!!」
「はいっ!! リーダー、アタシが彼奴の息の根を止めて見せますよっ!」
ニードルランサーウルフを、鋭い眼光で睨み付けるジョージ。
早く自慢の格闘技で、敵と戦いたくて堪らないニウ達。
二人は、ニードルランサーウルフに視線を合わせる。
そして、子供の様に瞳を輝かせ、口元をニヤリと歪ませて笑みを浮かべた。
「奴には四方向から同時に奇襲攻撃を仕掛ける」
「じゃあ今すぐに行きますかっ?」
「やりましょう! リーダー、お姉さま!」
「あの棘野郎を昼飯にっ!!」
ジョージ、ミリカ、ニウ、ビョルン達。
四人は、一匹の魔獣、ニードルランサーウルフに狙いを定めて攻撃行動に移る。
彼等四人は、それぞれ指定された位置まで音を立てず、ゆっくりと進む。
ニードルランサーウルフ目掛けて一斉に襲い掛かった。
「今よっ!! ビョルン、撃ちなさいっ!! フレイムボール、フレイムボール」
「はいっ! ミリカ様、行きますっ!」
『ドドドドドドドッ! ドドーードドッ! ドーー!』
ミリカは火球を二発放つ。
ビョルンは軽機関銃の様に音波魔法を、ニードルランサーウルフの正面へ向けて連続で放つ。
「ウガァッ!?」
突如正面から飛んできた火球と音波魔法。
その音に驚き、身を屈めて魔法攻撃を回避したニードルランサーウルフ。
そこに背後を狙って、ジョージとニウ達が、怯んだ隙を突いて襲い掛かって来た。
「首を切り取ってやるっ!」
「あんたはアタシ達のご飯にっ!!」
ショートソードを構えるジョージ。
そのまま彼は、ニードルランサーウルフへと、凄まじい勢いで突撃しながら斬りかかる。
そして、彼は敵の首を切り落とそうとする。
ニウは右手に装備したダンで、ニードルランサーウルフの左脇腹を狙って側面から殴り掛かる。
「ガウッ!? アオーーン!!!!」
ニードルランサーウルフは、二人の攻撃を軽く交わしてしまうと、遠吠えを上げた。
それは狼特有の高い声であり、仲間達に敵と交戦中、今直ぐ援軍に来てくれと伝える合図であった。
「はっ!?」
突如ニードルランサーウルフの口から発せられれた辺りに鳴り響く遠吠え。
ジョージを含むアンデッド達は、ハッと警戒して立ち止まってしまう。
「アオーーーーン!?」
「アオォーーーーンッ!!」
狼の遠吠えが山の上方から聞こえて来た。
やがて、その遠吠えと共に棘の様な体毛を生やした狼達の群れが現れる。
段々と現れた群れが、ジョージとミリカ達アンデッドの方へと迫ってきた。
「あっ!? 沢山の棘魔獣がっ!!」
「やばい! どうしようっ!!」
慌てふためく、ミリカとビョルン達は魔法を撃ち放って、群れを迎え撃つ。
魔法攻撃を避けつつ二人を目指して、弾丸の様に素早く迫る、ニードルランサーウルフ達。
「ミリカっ!! 援護してやらないとっ? ニウ・・・ここは頼む、ダークボール、ダークボール、ダークボール」
「リーダーー!! 任せて下さいっ! アイツはアタシが相手をしますっ!!」
ジョージは、危機に陥ったミリカ達を助けるために暗黒魔法を放ちながら走って行く。
此方に居る一匹のニードルランサーウルフの戦闘相手は、ニウ一人に任された。
「あんたの相手はアタシが務めて上げるからね・・・」
口元を笑みで歪めさせながら、ニウはそう言う。
彼女は、ニードルランサーウルフの頭部を目掛けて飛び上がる。
奴の拳骨を打ち込む様にダンを叩き込む。
「ギャウッ!?!?」
登頂部の中心に見事に、ダンの打撃を打ち込まれたニードルランサーウルフ。
奴は、足取りがふらりふらりと成りながらも、ニウに向き直り突進してきた。
「ガウッ! ガウッ!!」
ニウは突進してきた、ニードルランサーウルフが顎を開いて噛みつくのかと思ったが。
ニードルランサーウルフは大顎を開かず、ビッシリと生えた棘だらけの体で体当たりをしてきた。
「くっ! 棘が?」
咄嗟に両腕を交差させて、ニウは身を守った。
だが、ニードルランサーウルフの棘は両腕を貫通して無数の穴が開く。
「こんなの何の傷みも感じないわっ!」
ニウは再び頭部を目掛けて、ダンの一撃を叩き込もうと姿勢を低くした。
それから、足を力を込めて地面を力強く蹴る。
ニードルランサーウルフに前のめりに、倒れ込む様にして攻撃を仕掛けた。