出発だっ! 洞窟の外に狩りに行こうか?
「ほいじゃあ・・・出発するぞ」
「狩りに出掛けまぁすっ!」
朝早くではなく。
夕方の太陽が沈み終わる晩方に気だるく、面倒くさそうな感じで出発を告げる、ジョージ。
狩りに出掛けられるのが、嬉しくて堪らなくて、元気な掛け声で出発する、ミリカ。
「リーダー、ミリカ様、お気をつけて」
「行ってらっしゃぁ~~いっ! リーダーー、お姉さまぁ~~!」
「お二方、御無事を祈ってますぞ・・・」
「二人共、頑張って獲物を仕留めて来てねっ?」
出発する二組を見送る、待機組のアレリオ、シャリル、リュージン、キャロル達。
彼等は、ジョージ達が洞窟から出発した後。
洞窟内の遺跡で待機して、見張りや昼食の準備をしなければ為らない。
「俺達は歩いて行くぞ・・・」
「また、お土産に獲物を仕留めて来るわ」
ジョージ達の脇に居た、カブラルとシニッカ達は武器を背負い直し、洞窟の外を目指して歩いて行く。
ジョージ達も、洞窟の外に出るまでは共に並んでに歩く。
「もうすぐ外だ・・・」
「カブラル、シニッカ達とは暫くの間はお別れになるわね?」
ビョルンとニウ達は、月明かりの差し込む洞窟の入り口を見て、カブラルとシニッカ達に向けて呟いた。
「まあ~~? また直ぐに戻って来るんだ?」
「御互いに、肉付きの良い獲物を仕留めて、戻って来ましょう」
カブラルとシニッカ達は、洞窟の入り口を出て、綺麗な月明かりの元で別れる際。
ニウとビョルン達へそう告げると、左側の斜面へと向かって駆け出して行った。
「これから、そっちも良い獲物を仕留められる様になっ!」
「私達も一杯、美味しいお肉を獲って来るんからねぇ~~♥」
そう言って、遠くの方へと向かい段々と姿の小さくなる、カブラルとシニッカ達。
やがて、何処かの岩影に隠れたのか、はたまた月の光の届かぬ場所の夜の暗闇に紛れたのか。
二人の姿が見えなくなると、ジョージとミリカ達も行動を開始する。
「俺達は右側を行く、まあ何か獣型の魔物とか鳥の魔物とかが居るだろうな?」
「それを仕留めて今日の昼ご飯にするのよ、二人共っ!!」
「はいっ! リーダぁーー、お姉さまぁ~~♥ アタシも全力で頑張りま~すっ!」
「僕も出来る限りの力を振り絞って、獲物を仕留めて見せますっ!!」
ジョージが夜空を眺めながら何か魔物が居るだろうと呟くと。
兎に角早く、魔物を昼ご飯にして食べたい、ミリカはそれを仕留めようと早足で歩く。
ニウとビョルン達は、美味しいご飯が欲しいと言う我が儘お姫さまである、ミリカの為。
全力を出して、獲物を探すと言って、やる気を見せる。
こうして、それぞれ別行動を取る三つの組に別れた、アンデッド達。
彼等は、獲物を探して夜の闇に紛れて山岳地帯を彷徨い歩く。
その後、ジョージとミリカ達の組は、暫く歩くと三匹の魔物を発見する。
魔物の名は、ドッペルホーンロッカーと呼ばれる、山岳地帯に生息する山羊の親類に当たる魔物であった。
ドッペルホーンロッカーの姿は山羊と言っても家畜として飼われている物ではなく。
どちらかと言えば、山に生息するレイヨウ等に近い容姿をしている。
その姿は色黒く、紫の横線模様が左右対称に脇腹から背中にかけて存在し、非常に美しい魔物であった。
「アイツ等は強そうだな?」
「昼のご飯の材料にするのは止める?」
ドッペルホーンロッカーを見た、ジョージとミリカ達は、獲物に定めるか止めておくかと迷う。
モタモタしていると。
ドッペルホーンロッカーに逃げられてしまう可能性も有るために、二人は直ぐに決断を迫られる。
「リーダー、どうしますか?」
「行きますか・・・」
今すぐにでも飛び出して行けるように、格闘武器のダンを構えて戦闘準備を万端に整えた、ニウ。
ニッケルハルパを、ドッペルホーンロッカーに向け。
何時でも音波魔法を放てる様に狙いを定める、ビョルン。
二人は武器を用意して、ジョージの命令が下るのを今か今かと待っている。
「よしっ!? やめた・・・」
ジョージは何を考えているのか、目の前の獲物を放ってしまおうと決めた。
それを聞いた、他の三人は何故と言って彼の言葉に驚く。
「えぇっ!! 止めるっ!?」
「止めにするんですか?」
「どうしてですか?」
ミリカ、ニウ、ビョルン達は、ジョージに対して思う。
何故あんな美味しそうな肉が、のうのうと呑気に岩肌を歩き回っている。
それなのに、獲物にするのを止めるのかと問い詰めるが。
「考えて見ろよ? アイツ等は脚が速そうだ、それに此処は岩山だぞ・・・アイツ等が逃げる回るのに適した場所だ・・・詰まりは俺達が下手に手を出せば直ぐに逃げられるだけだ、だからもっと脚の遅そうな奴を見つけよう・・・」
ジョージはそう語り、別の魔物を探そうと三人を説得した。
そうこうしている内に、此方の存在に気づいたのか。
ドッペルホーンロッカーは、走り出して何処かへと去って行ってしまった。