戻って来た仲間達の報告会
「やっと、拠点に戻ってきたな・・・」
「ええ・・・ふぅ~~ぅっ! 行きましょう」
自分達アンデッドの拠点として活用している、遺跡。
それが存在する洞窟まで、人間達の拠点から無事に帰還したシニッカとカブラル達。
精神的に疲れたのか、肩を落として天を仰ぐカブラル。
彼が仰いだ天には月は無く分厚い雲が夜空を覆い隠していた。
その隣りで、シニッカも溜め息を一息つくと、洞窟内に向かって歩を進ませる。
その後、二人は洞窟内の拠点まで遂に無事たどり着く。
彼等は、拠点の前の川に架かった所々崩れた石橋を渡る。
リーダーである、ジョージとミリカ達が待つ遺跡。
その端に有る、食事用のテーブル代わりに置かれた木箱の場所まで歩いて向かう。
「おっ! 二人共遅かったわねぇ~~? 洞窟内の探検組は先に戻って来ているわよーー?」
「ああっ! 少し厄介な物を見つけてな?」
「それで時間が掛かったのよ?」
二人を出迎えたのは、橋の向こう側に保哨として見張りに立つ、ニウであった。
彼女から声を掛けられた、カブラルとシニッカ達。
二人は、厄介な物を見つけて時間が掛かってしまったのだと話す。
「何か有ったのね・・・分かったわっ! ビョルン見張りは終わりよっ!! リーダー達の所で会議をするから私達二人も行くわよっ!?」
「ニウ? 分かったよ、僕も下りて行く」
二人の話を聞いた、ニウ。
彼女は詳しい内容は聞かずとも、重要な案件だと思う。
そして、背後の螺旋状の岩柱の穴の中に見張りに立つ、ビョルンに声を掛けた。
彼は、岩壁に背を凭れ掛けて居たが、彼女の声が聞こえると。
返事を返して、両手に持つニッケルハルパを持ち直して、早足で螺旋状の道を下りて行く。
「でさあっ! いったい何を見つけて来たのよ? 魔物? お宝? 人間?」
「そうよ・・・それも人間が沢山居る中規模の拠点を発見したのよっ!」
ニウの質問に対し、シニッカは発見した山の上の遺跡に作られた中規模の拠点の事を話す。
「その人間達の中規模な拠点には、遺跡の上にキャンプ用の天幕や見張り台が置かれていて・・・」
「小屋とか、見張りに着いた人間達が大勢居てな? 篝火を焚いていて厳重な警戒態勢を取っていたな・・・」
シニッカとカブラル達は、歩きながら獲物を仕留めた後。
人間達の拠点を偵察して、目にした建物や見張り台の話をする。
「ふんふん? それはリーダーと、お姉さま達に話さなきゃ駄目ね・・・」
「そんな大きな拠点が、この近くに有るとはねぇ~~?」
両腕を組ながら目を瞑って頷いて話を聞いていた、ニウ。
その横で、他人事の様に呑気な言葉を吐くビョルン。
そんな会話をしながら歩いていた一行の前に、ジョージとミリカ達。
先に帰還していた、探検組の面々が食事用のテーブルの席に座っていた。
「おっ? 帰って来たのか、シニッカ、カブラル、無事で何よりだ」
「お帰りなさい、疲れたでしょう? それでぇ~~獲物は獲れたの?」
獲物の確保と偵察任務から帰還したばかりのカブラルとシニッカ達の疲れ切った姿。
その様子に、ジョージとミリカ達は二人とも獲物を仕留めるのに、かなり苦労をしたのだろう。
と思って、労いの言葉をかけた。
「はいっ! 仕留めた獲物は、筋肉と脂肪が体中にたっぷり詰まった牛や山羊の様な獣の魔物、グレーランスホーンの雄でして・・・」
「ローストにして良しっ! ベーコンにして良しっ! 塩漬けハムにして良しの上質な食肉となる魔物に御座います」
仕留めた獲物の名前や特徴を二人に報告する、カブラル。
そして、獲物の調理法を詳しく説明する、シニッカ達。
二人が、グレーランスホーンの説明が終えると、重要な案件である人間達の拠点の話を始めた。
「リーダー、それよりも重要な案件が御座いまして・・・」
「それは・・・人間達の中規模な拠点の話です・・・」
発見した、人間達が大勢控えているであろう中規模の拠点の事を報告をする、カブラルとシニッカ達。
二人の報告を聞いた、ジョージとミリカ達の反応は。
「はぁ・・・・・・人間の?」
「拠点ですって、????」
ジョージとミリカ達は、二人揃ってまた面倒な物が見つかったと思う。
それから、短く溜め息を吐きつつ発見された人間達の拠点をどうしようかと思案する。
「まあ・・・今考えても仕方ないや」
「そうねぇ~~? お腹も減ったしぃ~~二人も帰って来た事だし、ご飯にしましょう」
と、考えてついたジョージとミリカ達の提案で、皆でご飯にする事と成った。
その後は、彼等アンデッド達は旨い飯をたらふく食うのだった。
済まん、寝落ちしてた。