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暗闇に居るのは誰なんだっ!?


 急ぎ仲間の元に戻ろうと坂を下る、カブラルとシニッカ達の前方に、謎の人影が現れた。



「しまったっ!?」


「見つかったかっ!!」


 謎の人物に見つかってしまった、シニッカとカブラル達は素早く行動に移る。



「悪いけど死んでね・・・」


 シニッカが弓を引き絞り、矢を暗闇に紛れる謎の人物に向かって発射する。

 放たれた矢は、一直線に謎人物の頭を目指して飛んでいく。



「うわっ!」


 しかし、謎の人物は二人の居る場所まで向かおうとして転んでしまい、運良く矢が頭部に命中しなかった。



「矢が刺さらなかった!?」


 シニッカの矢が命中せずに外れたのを確認すると、カブラルは駆け出すのを止めて相手にラッパ銃を発砲して散弾を浴びせた。



「ぐわっ!? な! 何で? だ・・・」


 数発もの散弾を浴びた謎の人物は物言わぬ死体と化し、カブラルはそれを背負い上げると再び駆け出し、その後にシニッカも続く。



「コイツは剣士ね? あの拠点の人間かしらね・・・」


「まあ・・・たぶん、そう何だろうが? 今は死体に成ったコイツを何処かに隠さないとな・・・」


 そそくさ~~と、その場から即座に立ち去るシニッカと死体を運ぶカブラル達。


 そして、二人が発見した拠点では、人間達が夜も交代で見張りを続け、あわただしく明日の準備に取り掛かり、大勢の人間が徹夜で仕事をしていた。



「で・・・行方不明者の女性は見つかったのか?」


「いいえ、魔物に殺られたのか? それとも奴隷商人に連れ去られたのか? 皆目検討も付きません」


 拠点の人間達はと言うと、天幕の中で、各パーティーのリーダー達が会議を行っていた。

 議題に上がって居るのは、数日前に消えた仲間の行方の捜索を続けるか、打ち切るかと言った話し合いであった。



「後三週間で我々も移動を開始する、他のパーティーも大体はその位の期間で別の目的地に向かう、その間だけ彼女を探そう」


「そうですね? 仕方ありませんが我々も予定が有りますからな・・・しかし出来る限りの手を尽くして彼女を探しましょう」


 天幕の中で各パーティーリーダー達はこれからの目標等を話し合い、行方不明の女性を、各パーティーが出来る限り捜索する事を決定して会議は終了と成った。



「それにしても彼女の薬品調合の腕は良かったのにな・・・」


「いったい何処に消えてしまったのだろうか?」


 天幕から出た各パーティーのリーダー達は、話し合いながら自分達のパーティーの元に向かう。



「道具製作者が居ないと、薬草や毒消し草で、回復薬や解毒薬が作れないからな」


「本当だぜ、彼女・・・ヌルは何処に行っちまったんだ・・・」


 各パーティのーリーダーがそう話し合いながら、遺跡の壁の間の真ん中を歩いて行く中、遺跡の壁際の端を歩く女性が居た。

 彼女はパーティーリーダー達の邪魔にならぬように歩き、深々と白みがかった灰色のフードマントを株って素顔を見せない。その正体は、カマルの仲間であるザリーンだ。



(・・・もう既に死んでいるわよ・・・・・・)


 ザリーンは心の中で、そう呟きながら自分達のパーティーリーダーであるカマルを探して遺跡の中を歩く。

 すると、遺跡の灰色の壁際で、誰かと話している当のリーダーの姿が見えた。



「ああ~~アレねっ! 有るよ、少しだけなら?」


「なぁ譲ってくれよ? 勿論代金は払うからさっ!」


「カマル・・・」


 その場に居るカマルと黄茶髪の男性に目を向けて、ザリーンが声を掛けると、二人が此方に気付いた。



「ザリーン? 来たんだ・・・こちらの男性はルチアーノさんだ、今は彼と商談中だから馬車で待機していてくれ」


「どうも始めまして、ルチアーノです、綺麗なお嬢さんっ!」


 ザリーンの存在に気付いたカマルが隣に居るルチアーノを紹介すると、彼は挨拶をしながら右手を差し出す。



「カマル、分かったわ・・・」


 ザリーンはそれを握らず、ルチアーノに対して頭を軽く下げると、そのまま後ろを向いて馬車の方まで返って行った。



「あれ? 冷たいなぁ~~」


「御免ねぇ? ザリーンは、ああいう子なんだよ」


 素っ気無い態度を取って、馬車へ帰ってしまったザリーンに対して、ルチアーノが冷たいと一言述べると、カマルは口数の少ない大人しい子なんだと釈明する。



「でも・・・ああいうクールでカッコいい子も良いなぁ~~~♥」


「はぁ・・・」


 そんな冷たいザリーンを気に入ってしまったルチアーノに、カマルは呆れて物も言えなく成ってしまった。

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