狩りに出掛けた、二人
洞窟を出たカブラルとシニッカ達は、周囲に敵が居ないか確認する。
当たりは静まり返り、空は満天の星空であった。
「軍隊蜂は居ないな?」
「大丈夫ね・・・」
カブラルとシニッカ達は、そう一言呟くと。
獲物を求めて、洞窟の右手の坂を登り、山岳地帯の上部を目指す。
彼等の獲物は、ベーコンやローストの材料となる魔物であり。
また、茸や山菜等の野草を採集するのも目的の一つで有った。
そして、彼等は険しい崖を登りながらも、次々と岩場に生えた茸を採集する。
黄色いツルツル滑り茸。
堅くて茶色い、ロック・マッシュルーム。
更に、その近縁種の黒色の小石茸。
白くて凄く柔らかい、マシュマロ・マッシュルーム。
これ等、沢山の茸を取っては、カブラルとシニッカ達は袋に入れつつ坂を登って行く。
そして、遠い場所に魔物を見つけた。
体長二メートル程の大きさの魔獣、グレーランスホーンだ。
この魔物は、牛や山羊に似た魔物だ。
肉は豊富な脂肪を蓄え、栄養満点で味も美味しく。
冒険者や魔物猟師の間で、食料確保の為に、狩りの対象となっている魔物である。
「あの間抜けを狩りましょう?」
「ああ、決まりだな・・・」
弓で狙いを定め、静かに獲物を仕留める為にじっと動かず、待機するシニッカ。
右側からラッパ銃を構えて、突撃の準備体勢を取るカブラル。
(・・・私のフィン・ウゴルノで・・・)
『ヒュッ』
シニッカは弓を引き絞り、矢を発射し。
遠くの斜面に居る、グレーランスホーンの右足に矢を命中させる。
「矢が刺さったか? なら次は俺が行くぞ」
シニッカの射ち放った矢が暗闇を飛んでいき。
グレーランスホーンに命中したのを見届けると。
カブラルは、素早く駆け出していく。
それから彼は、痛みに悶えるグレーランスホーンの頭に近寄り。
至近距離からラッパ銃を発砲し、散弾で額を撃ち抜く。
その一撃で、グレーランスホーンは、あっという間に二人に殺られてしまい。
腹の肉や胸の肉を、削ぎ取られる。
「プッコで切り取って、みんなに美味しいお肉を届けなきゃっ!!」
シニッカは、小型ナイフのプッコで、グレーランスホーンの柔肉を切り取ると。
それを袋に入れる。
カブラルは、その間にラッパ銃に火薬と散弾を詰め。
獲物を横取りしようと、襲い掛かる魔物が居ないか警戒する。
「終わったか?」
「肉削ぎは完了よっ!」
カブラルが周囲を見渡し。
背後に居るシニッカに肉の削ぎ落としの作業が終わったかと言うと。
最後の肉を袋に詰め終えたシニッカは、作業は完了したと答える。
「じゃあ? 帰るか・・・」
「待ってっ!? 今何か光ったわっ!」
リーダー達が、腹を空かして帰りを待ちわびて居るで有ろう拠点を目指し。
カブラルは、戻ろうかと言うが。
グレーランスホーンの肉を詰め終え。
立ち上がった、シニッカの目に、キラリと光る何かが移った。
「上の方ね・・・行って見ましょう」
「念の為、軽く偵察して見るか?」
シニッカは、山の上方で光った何かを確かめる事を決め。
そこまで、向かおうと提案する。
人間達の拠点や魔物の住みかが存在するかも知れない。
なので、念の為にも偵察に行く事にカブラルも賛成して、二人は坂を登って行く。
急な斜面を避けて、緩やかな小道を進む、二人が坂を登り終えると。
そこには斜面ではなく、広い平地と遺跡を見付ける。
その場所には、中規模な拠点が構築されており。
二人は、その拠点の規模と人間の数の多さに驚く。
これは、リーダー達に報告せねばと。
二人は、急いで自分達の拠点に戻る事を決意して坂を下り始める。
「遺跡を利用した拠点・・・見張り台の矢倉が六つに遺跡と丸太のバリケード・・・」
「更に周囲を囲む溝と大勢の警備・・・ざっと数えても六十人もの人間が居るのは確実だな・・・」
急いで坂を下って行く、シニッカとカブラル達の顔つきは険しく。
暗夜の山肌を慌てて走る、二人は一刻も早くこの場から離れ。
仲間達の待つ、洞窟の拠点まで戻ろうとする。
「あっ!? 見つけたぞ、おーいっ!!」
しかし、二人が坂を下った先に謎の人影が見え。
その人物は声をかけてきたたのだった。
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