洞窟の奥の探検組
洞窟奥へと探検に向かった、四人組は鍾乳洞だらけの暗く湿った道を進む。
「この場所には何かいそうだな・・・」
「こういった場所を好む魔物とか、かしら・・・」
アレリオとシャリル達は、四人パーティーの先頭を、鍾乳洞や岩の陰に注意しながら歩く。
「どうやら? その魔物はすぐ側で襲い掛かろうとしている様ですぞ・・・」
「師匠・・・後ろにも三匹居るよ」
その後ろには、リュージンとキャロル達が続き、暗闇に紛れる魔物の気配を察知して臨戦態勢を取る。
『・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・」
四人が四方を警戒すると、一斉に色とりどりのスライムが襲い掛かってきた。
赤。
桃。
青。
緑。
紫。
黄。
橙。
水。
~~と沢山の粘液状の捕食者達は、その酸性の体液で四人を溶かそうと迫る。
「アレリオ殿っ! シャリル殿っ! 二人共退いてくだされっ! エアーカッター、エアーカッター!」
「いっくよーー!? アイスビームッ!!」
リュージンが風魔法でスライムを切り裂き、それを、キャロルは氷結魔法で次々と凍結させる。
「ワシの風魔法では、足止め程度にしか成りませぬな?」
「だったら、私の雷撃魔法でぇ~~!? サンダーショット」
液状の体を持つスライムに対しては、リュージンの風魔法は余り効かない。
それは、風魔法の斬撃で体を斬られたスライムが直ぐに体を接合するからだ。
戦いに不利な彼に代わって、シャリルは右手をかざして、大小様々なスライムに魔法を放ち感電死させる。
どうやら、このスライム達は、魔法攻撃に弱く、物理攻撃に強い耐性が有るようだ。
「このまま感電死させるわよっ!!」
「私も氷結魔法で凍らせるっ!!」
シャリルとキャロル達のコンビネーション攻撃は、迫り来る大量のスライムの群れを死滅させる。
だが、一部の黄色と青や水色のスライム達は魔法が効かず。
直も四人を体の粘液で覆い尽くさんと、しつこく襲い掛かって来る。
「効かない、スライムが居るっ!?」
「何でっ!! あっ! 属性効果・・・」
自分達の放った魔法が効かないスライムに対して、シャリルとキャロル達は焦る。
「大丈夫だっ! 魔法が効かない奴は俺達が弾くぜっ!!」
「そうですじゃ、シャリル殿、キャロル」
アレリオは焦る女子アンデッド二人の前に、一歩出ると。
腰の鞘からモンタンテを抜き取り、下から構える。
それから彼は、津波のように襲い来るスライムの群れを刃で斬るのではなく。
ゴルフクラブの様に、地面からスイングさせてスライム達を吹き飛ばして行く。
一方のリュージンも、張り付いて体中を覆い尽くさんと飛び掛かってきたす、スライムを睨み。
両手に力を込めると、偃月刀を振り回しては、その刃でどんどん弾き返して行く。
「コイツ等、数に切りがないぜ?」
「失敗したっ! 火焔瓶を持ってくるんだったわっ!」
アレリオは、目の前のスライムの山に視線を向け、モンタンテで吹き飛ばしながら。
その直ぐ後ろに居るキャロルは、服のポケット等を探りながら二人して呟く。
「二人共っ! 愚痴ったって仕方ないわよっ!!」
「左様ですじゃ、今は目の前のスライムの山に集中を」
シャリルは、雷撃魔法をスライムの山に向けて連続で放ち続け。
リュージンも偃月刀を振り回して、スライム達を斬りつけながら周囲に弾き返し続ける。
「まだまだ居ますな・・・」
「何匹、居ようと殺るだけだっ!」
「狩り尽くすわよっ!!」
「全部、殲滅させるっ!?」
リュージンとアレリオ達が前衛に立ち、その後ろに、シャリルとキャロル達が並びスライム達と対峙する。
「・・・・・・!」
『・・・・・・!』
『・・・・・・!』
「・・・・・・!」
スライム達は襲い掛かって来るのかと見せ掛けて、合体し始め。
沢山の色が混ざりあった、巨大で醜悪な極彩色の粘液の塊と成る。
その巨塊は四人を押し潰して、同化吸収しようと、巨大な体をバウンドさせて飛び掛かってきた。
「不味いっ!! 合体しやがったっ!?」
「みんなっ!? 一旦撤退するわよっ!」
「言われなくとも、分かっておりますじゃ」
「あんなのに潰されたらっ!」
アレリオとシャリル達は叫び、リュージンとキャロル達は振り返り、四人は踵を返して元来た道を走る。
彼等アンデッドの探検組を、その巨体で飲み込まんと、バウンドしながら追い掛けて来る巨大スライム。
「逃げるが勝ちだああぁ~~~~~~!?」
「逃げなきゃ溶かされるぅーーーー!!」
アレリオとキャロル達は、叫びながら洞窟の暗闇をひたすら走り抜け。
いつの間にか、巨大スライムが追って来ない事を確認すると、四人はホッと溜め息をついたのだった。
今日明日は10話投稿します。
前回の・・・あの世からの迎えを呼びに・・・これは間違いでした・・・仲間達は自由に・・・が正しい話でした。
いや、また、作者が間違えてしまいました。
住みません。