恐怖の実験か?
スケルトン達が死んだ人間の遺体を台に乗せる。
それで、怪しい緑色や紫色の光線を、人間の遺体に浴びせた。
すると、人間の遺体は徐々に腐って行き、やがて肉は削げ落ち骨だけになった。
「ジョージ何? 何なの? ここは変な緑色の障気見たいな霧もかかっているし・・・」
「さあな? こいつ等は何かの実験でもしてるんだろ」
その時、ガタッと後ろから妙な音がした。
急ぎ、二人は振り返って後ろを向く。
「うぉっ!」
「ひゃっ!」
二人はびっくりしながら背後の台に目を向ける。
すると、その台に横たわっていた人間の遺体の骸骨が動き出した。
そこから、ムクリっと起き上がるスケルトン。
「そうかっ! ここはスケルトン達の工場なんだっ」
「工場? なぁるほど、だからここに死んだ人間の死体を持って来ているのねえ」
ジョージとミリカ達が、それを見ていると。
スケルトン達は、生まれたばかりの新たなスケルトンを連れて出て行った。
「あっ待ってくれっ! 俺達の仲間にっ・・・」
「あららぁ? 行っちゃったわねぇ・・・」
仲間に勧誘しようと叫ぶジョージだったが。
それは失敗してしまい、ミリカも残念がるしかなかった。
「はあ勧誘失敗か・・・」
「ねぇ、ジョージ落ち込むことないわよ」
ため息を吐きながら呟くジョージと、それを何とかしようと励ますミリカ。
「でもなあーー」
「ジョージさっきの扉の時と同じ道の先に出口があるように、この装置を使えば人間を仲間にできるのよ? だからまだチャンスはあるわよっ!」
まだ俯いたまま、しょげこむジョージ。
彼に対して、ミリカは元気を出せと背中を叩いて励ましつつ笑顔を向ける。
「そうだな、ここの実験室を使えば、人間を俺達アンデッドの仲間入りさせる事ができるな?」
「そうよ、その意気よっ!」
ようやく、落ち込みから回復したジョージ。
そんな彼を、後ろから応援するミリカ。
「よし行くか」
「ええっ向かいましょっ!」
俺達は、スケルトンが出て行ったドアに向かう。
ドアを出ると、また石畳の通路が続く。
「そういえばさあっ? さっきの人間達の集団もここを通ったのよね」
「何だ、当然だろっ?」
急に人間達の事を語りだしたミリカに、ジョージは何を今さらと言う顔を向ける。
「じゃ、やっぱり、あのスケルトン達は壁の中に隠れていたのかな」
「だろうな・・・」
壁の中と言う、二人に取っては未知の通路に隠れていたスケルトン。
その事をミリカは語り、ジョージも呟く。
「じゃあ、この壁って奇襲や隠れて避難するのに使えるわね?」
「あーーそういう風にも使えるか?」
二人は話しをしながら歩む。
とそこへ、キンッカンッと妙な金属音が聴こえて来た。
二人はお互いの顔を見合わせて頷き、音のする前方に駈け走って行く。
音のする場所。
そこへたどり着いた二人が見た光景。
それは、二人の人間がスケルトン達と戦っている場だった。
その場所は広く円形の十字路だった。
スケルトン達は八本ある大きな柱やガレキの山を盾にしその陰に隠れて戦っている。
すると、スケルトンがこちらに気付き手招きをする。
「ミリカ、行こう」
「呼ばれたわね? 行きましょう」
二人とも、並んでスケルトン達へ近ずく。
スケルトンは、円形十字路の中心を骨だけの手で指差す。
二人は物陰から顔を出し、その中心を見る。
そこには、人間が二人居た。
濃い茶髪の癖毛の剣士。
と、明るい金髪の肩垂らしロングテールの女僧侶。
この二人が、戦っているのが見えた。
そして、剣士はハンマーを持った重鎧を着込んだスケルトンと戦い。
長剣とハンマー同士のぶつかる鈍い音を響かせる。
女僧侶は、メイスを振り回し、雷撃魔法を放ち、雷の轟音を周囲に轟かせる。
二人は果敢にも、多数のスケルトンの攻撃を交わしながら見事に撃退していた。
スケルトン達も、弓やスローイングナイフで攻撃するが。
剣士がそれを長剣で弾き。
女僧侶が攻撃してきたスケルトンに雷撃魔法を放って撃ち変えす。
そのせいで、スケルトン達は蹴散らされて、かなり数を減らしてゆく。
だが、二人のほうも体力の消耗が激しく疲労が溜まっているのが見てとれる。
「アレリオ、速くっ!」
「分かっているよ、シャル」
必死にスケルトン達と戦う二人組の僧侶と剣士。
その戦い振りを見て、ジョージは。
「アイツ等は前にどこかで・・・あっ! あの時の!?」
前に戦った事のある二人だと彼は気づき、あの時の仲間の仇を討とうと考えた。
「あの人達の事知っているの?」
「ああっ・・・まあ、ちょっとな? それより、スケルトン達に加勢するぞっ!」
ミリカの問いに返事を返したジョージ。
彼は、直ぐに行動に移れるように身構える。
「いいわよ、思いっきり、切り刻んで殺りましょうっ!」
「よし、ミリカやるぞっ!」
アンデッドの二人組であるミリカとジョージ達。
二人は、人間達の二人組に向けて気付かれないように動き出した。