蜂の群れがやって来たぞっ!
『ブオォォ~~~~~~~~~~~~!!』
人間大の大きさの蜂から、普通の雀蜂程度の大きさの蜂まで。
様々な大きさの蜂が五月蝿い羽根音を鳴らし。
群れを成して四人のアンデッドに襲い掛かって来る。
「蜂じゃっ! 皆逃げろっ! エアーストーム」
「奴等に刺されたら大変ねっ! アイスビーム! アイスビーム!」
突然、空襲を仕掛けて来た敵。
連中に、リュージンとキャロル達は、驚いて固まっている暇も無く反撃に移る。
リュージンは、風魔法で土埃を起こし。
羽根音を響かせる蜂の群れを押し留め様とし。
キャロルは、氷結魔法で蜂の群れを凍らせて、地面に落とそうと必死で魔法を放つ。
魔法を放ち、応戦する二人に続き、ビョルンとシニッカ達も反撃するが。
「とにも、かくにも、撃たなきゃっ!?」
『ドドドドドドドドドドドドーードドドドーー』
「そうねぇっ! 反撃はしなきゃねっ!!」
ビョルンは、両手に構えるニッケルハルパを射ち。
その音を蜂の羽根音に負けない位大きな音を激しく鳴らし。
音波魔法を、対空機銃の様に連射しては、次々と蜂を撃ち落としていく。
シニッカも、人間大の大きさの蜂の胸や腹を狙い。
正確に、矢を命中させて地面に射ち落とす。
「エアーカッター! エアーカッター!」
「あたれっ! アイスビーム」
魔法を放ち、蜂の群れを牽制するリュージンとキャロル達。
次から次へと飛来する蜂の群れ。
それに、リュージンは風魔法の斬撃を連続で命中させて撃ち落としていき。
キャロルも、蜂の群れが近づいて来ないように氷結魔法を命中させ。
蜂の群れを凍らせて、地面に落とす。
『ガシャンッ!?』
『ガシャッ!』
凍り付けに成った蜂が地面に落下し。
激しくぶつかり砕ける音が辺りに響き渡る。
「ぐっ!? このままだと・・・」
「ワシ等は奴等に殺されてしまうな?」
段々と迫り来る蜂の群れに押されて下がって行き。
ジリジリと後退する四人のアンデッド達の内。
ビョルンとリュージン達は、何か策は無いかと考えるが。
「おわっ!? 何で蜂がこんなにっ?」
「良いから早く燃やさないとっ! フレイムボールッ! フレイムボールッ!」
そこに、ようやくジョージとミリカ達が帰ってきた。
彼等、探索組は、目の前で繰り広げられている光景を戦闘だと直ぐに理解し。
魔法を放って蜂の群れを攻撃し始める。
「リーダー! お姉さまっ! 来てくれたのっ!?」
「一旦戻ろうと思ってな? ってそれより逃げろ、皆も馬車に乗れっ!」
現れた援軍に笑顔で喜ぶキャロル。
そして、ジョージは皆に指示を出すと。
自らも馬車に乗って洞窟の奥へと急いで向かう。
「ニウッ!? 早く乗ってくれっ」
「分かってるわよっと!」
「カブラル! 援護するわっ!」
「ああっ! 運転は任せろっ!」
アンデッド達は、皆それぞれの馬車に乗ると。
洞窟の暗闇の中へと、馬車を駆け出させて行く。
「皆居るなっ? 出発するぞっ!」
「アレリオ、馬車を出してっ! サンダーショット、サンダーショット」
五台の馬車は洞窟の奥へと入り、蜂の群れから、辛くも逃れる事が出来た。
「で・・・奥を目指すしか無いのね?」
「そうするしか無いだろう・・・」
ジョージとミリカ達はそう言い合いながら、洞窟のかなり奥深くまで進んで行く。
この洞窟はいったい何処まで続くのだろうと。
アンデッドの仲間達が思い始めた頃。
暗闇の向こう側に急に明りが見えた。
「あれは・・・明り? 人間か?」
「あの光りは洞窟ヒカリダケでは?・・」
ジョージは、向かう側で光る淡い緑色の明りを凝視して見つめていると。
リュージンがそう言った。
「リーダー殿? あのキノコが生えていると言う事はあそこから先はジメジメと湿っているか・・・水辺なのかのどちらかになります・・・」
リュージンは、緑色に淡く光るキノコを指差して丁寧に説明すると。
ジョージに、キノコの元まで調査しに行っても良いか許可を求める。
「リーダー殿、あのキノコの場所までワシとキャロルの二人で斥候に向かっても良いですかな?」
「無茶はするなよ・・・それに何か有ったら直ぐに呼んでくれよな」
リュージンはそう頼むと。
ジョージは願いを許可して、キノコの生えている付近一帯の調査を指示する。
「では指示も頂いた事ですし・・・キャロル行くぞ調査じゃ・・・」
「うんっ! 師匠、行こっ♥」
そして、リュージンとキャロル達は、馬車の上から地面に飛び降りると。
緑色のキノコの淡い光りにゆっくりと近づいて行く。
「これはっ! リーダー! ミリカ殿っ!」
「これは凄いっ!」
リュージンとキャロル達は、何かを発見したのか。
キノコの辺りで立ち止まり。
ずっと、洞窟の横壁の奥の方を見て固まって居た。