アンデッドのパーティーは洞窟を見つける
「迷路を抜けたと思ったらこれかよ?」
「この岩山はどこも穴だらけね・・・」
山岳地帯の中腹に到着したジョージ達アンデッドのパーティー。
彼等は、大小様々な洞窟の入り口を見つける。
その周囲には、灰色の煉瓦が転がっており。
洞窟の中に、迷宮や遺跡が有るのだろうと言う事を示していた。
「穴だらけか・・・」
「行って見る?」
ジョージとミリカ達は、洞窟の奥の何処までも続く暗闇を覗くと。
中に入ろうかと、二人して相談する。
「行くのは? 俺とお前に・・・アレリオ、シャリル、ニウ、カブラルの六人だな?」
「ここで待機して馬車が盗まれないように警戒して貰うのは、リュージン、キャロル、シニッカ、ビョルン達ね・・・」
洞窟内部を探索して、奥を調べる調査組を決めたジョージ。
馬車で待機して、敵の奇襲に警戒する歩哨組を決めるミリカ。
「じゃあ行くかっ! 皆、今聞いた通りだっ調査組に選ばれた奴は俺とミリカに着いてきてくれ・・・残りの者は待機して奇襲に備えてくれっ! 頼んだぞ」
ジョージは皆にそう告げると、先頭を歩き。
暗い洞窟内へと敵の奇襲を警戒しながら進んで行く。
「何か、宮川探検隊みたいだね?」
「そこは藤岡弘探検隊だろう・・・」
異世界の人間には分からないで有ろう会話をするアホ女とバカ男の二人組。
しかし、二人は会話をしながらも、気は抜いてないのだ。
仕掛けられているかも知れない罠。
奇襲攻撃を行おうと岩影に潜んでいるかも知れぬ敵。
これ等には、確りと注意する。
「リーダー達は何を話しているんだろうな? ミヤガワ隊長とかフジオカ探検隊とか・・・」
「きっと向こうの世界の偉大な探検家の名前よ? 探検隊に隊長って言う位何だし・・・」
アホ女とバカ男の会話を聞き。
いったい、何の話をしているのだろうと疑問に思うアレリオとシャリル達。
彼等は、自分達が知らない向こうの世界の人達の事だろうと話して納得する。
「それにしても結構な広さだな? 魔物の巣穴じゃ無ければ良いが・・・」
「この大きさじゃあ~~私達の馬車が二台並んで走らせても通れそうよね・・・」
岩影や天井に、散弾を込めたラッパ銃の銃口とバヨネットを向けるカブラル。
彼は、敵の奇襲を警戒しながら歩いてそう言う。
ニウも敵の出現が有れば、いつでもダンで殴り飛ばせるよう、両腕を構えて警戒し。
歩きながら大きな洞窟の事を話した。
「随分長いトンネルだな? 一度戻って皆で馬車に乗って来るか・・・」
「リーダー、そうした方が良いと思いますよ・・・ここは広い様ですし、日中も暗くて我々アンデッドにとっても快適な場所ですし・・・奥まで行かなくても皆と一所に寝泊まりは出来ますし・・・」
「私もそう思います・・・奥にどんな魔物が待ち構えて居るか分かりませんので、ここは一旦後方へ下がり皆と合流してから再び探索を行いましょう」
一度戻って、みんなと一所に探索しようと考えたジョージに対し。
アレリオとシャリル達は、自分達も同意見で、そうした方が良いと述べた。
「皆もああ言っているし、一旦戻りましょうよ?」
「はいっお姉さまっ♥ アタシもそう思いますよっ♥ 一旦戻りましょっ♥」
「俺も同意見ですよ・・・この先巨大な魔物が居るのか? はたまた人間達が待ち構えて居るのか? 危ないですから・・・」
ミリカも、そう言うと。
ニウは、まるで甘えるように彼女の方を後ろから抱き付き。
そして、カブラルも危険性を考慮して入り口に戻る事を賛成する。
「全員の意見が一致した所で戻るとしますか?」
ジョージはそう言うと、皆を率いて入り口まで戻って行く。
一方その頃、歩哨組の仲間達は。
「敵は居ないな・・・」
「敵影は無し・・・」
周囲の洞窟や岩場に目を向け。
警戒感を解かず、監視を続けるビョルンとシニッカ達。
そして、何時でも魔法を放てる様に待機して居るリュージンとキャロル達。
彼等は何が有ろうと、この場所と停車させている馬車を守らなければ成らない。
洞窟の中に入って行ったジョージ達、探索組が戻って来るまでは。
「リーダー達・・・遅いね?」
「キャロル・・・リーダー達は今に帰って来る、ワシらはそれまで待機するのみじゃ」
待ちきれないと言う言葉を吐く、凄く疲れた表情のキャロルに対し。
リュージンは、リーダー達の帰りを待つのみと言って宥める。
「まぁ、キャロルちゃんは、リーダー達と一所に行った方が良かったかな?」
「うん、ミリカお姉ちゃんと、一所に洞窟の中を探検したかった・・・」
『ブーーンッ!?』
『ブーーーー!?』
シニッカとキャロル達がそう話して居ると。
突如、ブ~~ンと言う奇妙な羽根音が聞こえて来た。
羽根音が聞こえて来る方向に四人は視線を向ける。
「あれはっ!? なっ何なんだっ!?」
ビョルンが飛んでくる昆虫を見て叫ぶ。
その昆虫は暗い夜空を埋め尽くすほどの数だ。
この昆虫は、黄色と黒い模様が目立つが。
正体は、大小様々な大きさの蜂の群れであった。