スティックパンの巨岩の裂け目?
「何だっ? この裂け目は? ・・・」
穴掘り作業を終えたジョージ、リュージン、アレリオ。
この三人は、スティックパンの根元の丘の上まで坂を登ってくると。
巨岩の岩壁に謎の裂け目が開いてあり、そこをジョージは覗き込む。
「あいつ等は? この裂け目から出てきたんだな・・・アレリオ、リュージン来てくれっ?」
先程倒した人間達が、この裂け目から出てきたので有ろうと推測したジョージ。
彼は、夜の闇より深い洞窟の暗闇の中へと進み。
リュージンとアレリオ達を連れて共に内部を調査しようとする。
「リーダー、この洞窟は何ですか?」
「中には罠や敵は居りませんな? リーダー殿・・・」
ジョージの後ろを着いてきた、アレリオとリュージン達。
二人は、辺りを警戒してジョージの護衛をしながら洞窟内を進む。
「さあな? 少なくとも、この洞窟の中を人間達は仮の拠点にしていたらしいな? だから罠や敵は居ない様だしな? ・・・」
二人の質問にジョージは、辺りに散らばる木箱や樽、薬品瓶に酒瓶を見てそう答えた。
「どうやら、ここにはっ!? ・・・んんっ? ここから先は舗装されている? ・・・」
洞窟内の前方に石畳で舗装された通路を発見するジョージ。
彼等は、舗装された通路の先を目指して歩く。
「舗装されているって事は、奥には宝箱でも有るんでしょうかね?」
アレリオは、ジョージにそう質問するが。
「いや・・・行って見れば分かるし? 行くしか無いだろ? ・・・」
「左様ですな・・・リーダー殿」
ジョージとリュージン達は真っ暗い闇の中を歩きながらそう言うと。
更に奥へと向かってひたすら歩いて行く。
そして、通路の最奥へと辿り着いた彼等だが。
通路を塞ぐ、大岩の瓦礫に行く手を阻まれてしまった。
「あっ! ・・・行き止まりかよお~~?」
ジョージは、目の前の通路を塞ぐ邪魔な大岩を見ると。
これ以上は進めないのかと、愚痴を溢す。
「この岩の瓦礫の固さに重さ・・・」
「これでは砕く事も、退かす事もできませぬな? ・・・」
アレリオとリュージン達も、目の前の邪魔な瓦礫を見つめて、困ったように呟く。
彼等は、何か瓦礫を退かすのに使える物が他に道が無いかと辺りを見渡す。
「この通路は地下道何か? ・・・それとも? アレか? 地下シェルターって奴か?・ ・・」
ジョージは岩の瓦礫を右手で叩きながら、そう呟く。
そして、少しの間だけ沈黙して、一人で考えを纏める。
「リーダー、いかがされました? ・・・」
「リーダー殿? ・・・」
一人、洞窟の天井をずっと見ながら黙り続けるジョージ。
その様子に、アレリオとリュージン達は心配して声を掛ける。
「よしっ!? 決めたっ! ・・・この通路は山岳地帯の方角へと続いている・・・だから山岳地帯を目指して出発だっ!」
ジョージが勝手にそう決めると。
アレリオとリュージン達も、その指示に従って洞窟の外へと三人で戻って行く。
「俺達はリーダーの言う通りに・・・」
「今夜はまだ朝まで時間が有りますから、もう少し先の方まで馬車を走らせますかな?」
出口を目指して先頭を行く、ジョージ。
彼の後ろを歩いて行く、アレリオとリュージン。
やがて、彼等は出口から出ると、そこにはミリカ達が待っていた。
「遅~~いわよっ! ・・・あんたらが何かしている間に直ぐ出発できるように私達は馬車を用意していたんだからねっ!」
「悪いな・・・待たせてしまって、この岩壁の裂け目から中に入ったんだが行き止まりでさっ? ・・・」
暫くの間、馬車の座席で座りながら待機していたミリカ。
彼女は、痺れを切らして遅すぎると怒るが。
ジョージは、なぜ時間がかかったのか理由を説明する。
「で? ・・・中に舗装された通路があってそれがどうやら山岳地帯の方角まで続いている様なんだ・・・」
裂け目の中の通路が山岳地帯まで続いているようだとミリカに説明し。
それを調べていたから、時間がかかったのだと告げるジョージに、彼女は。
「そんな事は知らないわよっ! ・・・良いから早く乗りなさい、次の目的地まで行くわよっ!」
「あっ!? ああ分かったよ・・・じゃあ次の目的地である山岳地帯に行きますかっ!」
ミリカに怒られたジョージ。
彼は、バギータイプの馬車の座席に乗ると。
ゾンビホースの背中を手綱で軽く叩いて馬車を走らせ始める。
「みんなあぁっ! 俺達アンデッドのパーティーが目指す次なる目的地はあの山岳地帯だっ・・・」
ジョージは、遠く前方に聳え立つ赤茶色の峰々を指差し。
皆に聞こえる様に大声で指示を通達する。
そして、彼等は皆一様に、馬車を発進させ。
先頭を並走して走る、彼とミリカの馬車に続いて、自分達の馬車を走らせる。
「あれはっ!? ・・・もしかして? ・・・私がずっと探していた・・・」
ラクダに跨がる、頭を青色の布で覆い体を青装束に身を包んだ謎の人物。
彼は呟き、ジョージ達アンデッドのパーティーの後を見つめ。
ラクダを勢い良く走らせて、追跡を開始する。