逃げ場を失った彼等は?
「奴等に囲まれて逃げる事すら出来ないっ!?」
「包囲網を突破するぞっ! 行けぇーー!」
数人程度まで、数を減らした人間達は、再び逃走を図るが。
後ろの丘の上からは、多数のアンデッド達。
ジョージ。
キャロル。
アレリオ。
ニウ。
カブラル。
シニッカ。
と言った面々が襲い掛かる。
その反対側からは。
ミリカ、シャリル、リュージン達が魔法を放って、残りの人間達の命を狩る。
「突撃だっ! みんなっ! 行くぞぉっーーーー!!」
ジョージが叫ぶと。
アンデッド達は雄叫びを上げて丘を掛け降りて行き。
人間達に素早く接近し、白兵戦を挑んで襲い掛かる。
「ペルケレッ! ペルケレッ! ハッカパーーレッ! ハッカパーレッ!」
シニッカは腰の鞘から小型ナイフを抜き取ると。
一人の剣を構えた人間に襲い掛かり。
小型ナイフと剣のぶつかり合いが行われるが。
彼女は人間の隙を見て、身を大きく踏み込み。
人間の首を小型ナイフでかっ切った。
因みに、ペルケレ・ハッカパーーレとは、彼女の故郷の罵倒語である。
「ーー!?」
首を切られて、血をブシャッと傷口から飛ばし。
一言も言わずに倒れ始める人間を蹴飛ばす、シニッカ。
「くたばりやがれっ! 雑魚人間っ!」
カブラルは、ラッパ銃の上部に備え付けられたバヨネットを開閉させると。
魔法を放とうとしている魔法使いに狙いを定め。
身を低くして走って行き。
魔法使いが魔法を放つ前に、ラッパ銃の銃床で殴り。
体勢が崩れた所を狙い。
二撃目にバヨネットを腹に突き刺す。
「ぐおぇ・・・」
バヨネットを突き刺されて、苦しみながら地面に仰向けに崩れた魔法使い。
彼は、カブラルに何度も体をバヨネットで突つかれ。
体中を穴だらけにされてしまい。
そこから大量に出血し、やがて事切れてしまった。
「じゃあ~~お次は私が串刺しにしちゃうぞっ!」
「お姉様っ! 私達も人間を狩るとしますか?」
ミリカは、腰の鞘からレイピアを抜き取り。
シャリルは、メイスを構えて人間達に白兵戦を挑む。
ミリカは腕を切られ様が、腹を剣で貫かれようが気にせずに敵を斬り殺して行く。
一方、シャリルはメイスを振り回して敵である人間の頭を潰す。
「私が最後の獲物を頂くとしますか?」
「がぁっ!? ・・・や・・・られ・・・」
リュージンはそう呟くと、最後まで残って居た人間に向かい、走り出して行き。
高く飛び上がり、偃月刀を斜めに振るい。
最後の人間の首を撥ね飛ばしてしまった。
「終わったか? 何か最後は呆気無かったな・・・」
ジョージは、丘の下に転がる人間達の死体を見下ろし。
そう呟いて、地面に腰をゆっくりと下ろした。
「リーダー、死体はどう処分なされますか?」
「後で穴を開けて、そこに俺達の血を傷口に、二・三滴ほど垂らした後で死体を放り込んで、土を被せて置いてやろう・・・」
キャロルに、そう聞かれたジョージ。
彼は、前と同じ様に地面に穴を掘り、死体を埋めて置こうと指示を出した。
「それは俺とリュージンとアレリオの三人でやっておくとして・・・シャリルにはニウの怪我の手当てをして貰って・・・」
「その後はビョルンを探さないとねぇっ? そして、人間達の荷物から使える物を物色してぇーー」
ジョージが、キャロルに指示を出していると。
急に横から、ミリカが喋りだして来たので、彼は驚いてしまう。
「うわっ! ビックリした・・・」
「何を驚いて居るのよっ! アクロバットスキルを使えば坂から回って来ても早く着くわよ?」
驚いてドキっとしたジョージ。
彼に対して、ミリカはアクロバットスキルを使い。
跳び跳ねながら、素早く坂を登り、ここまで辿り着いた事を説明した。
「そうだったな? 脅かすなよ~~まあ、俺はリュージンとアレリオと穴を掘り起こして死体を埋めているから、ミリカ達はニウの怪我とビョルンの事を頼む」
「分かったわ、こっちは任せてねっ・・・じゃあカブラル、シニッカ、キャロル、行くわよっ! シャリルちゃんはニウちゃんの怪我を治して上げてね?」
相談し合う、ジョージとミリカ達はそう決め。
お互いの仕事に向かって行く。
そして、穴を掘り始めるジョージ達。
ビョルンを探して丘を下りていくミリカ達。
「お姉様っ! ビョルンは向こうで倒れて居ますっ!」
「分かったわ、ニウちゃん、言われた場所まで行って見るわっ!」
シャリルから回復魔法で手当てを受けているニウ。
彼女は、大きな声で伝えると。
ミリカも、大きな声で返事を返して、再び捜索に向かった。
「皆・・・早く助けてくれ・・・」
ビョルンは数分後。
ミリカ達に発見されるまで、体中に重傷を負ったまま一人倒れて居た。