勝てるか? いや勝つ! 絶対に勝ってやるっ!?
「んんっ? キャロルの言う様に何かの音が聞こえてくるっ」
「何の音だっ? これは打撃音っ! って事は戦闘かっ!」
「ひょっとして、ニウ姉ちゃんが戦っているのっ!」
ジョージ、アレリオ、キャロル達。
彼等のは、頭上から聞こえてきた戦闘音に反応し。
近くの坂から丘の上へと掛け上がって行く。
「急げっ! 早く行かないとニウが殺られてしまうっ!」
ジョージは、丘の上で孤軍奮闘しているであろう、ニウの救援に駆け付けるため。
急ぎ、小石だらけの坂道を走り上って行く。
ジョージ達の予想通り。
丘の上では、ニウがたった一人で人間達と戦い。孤軍奮闘していた。
「ふぅっ!? くっ・・・」
ニウは多数の人間を相手に戦っていた。
敵の人間達は、彼女向けて銃撃を行い。
彼女は、肩と脇を負傷してしまうが、気にせずに敵の人間達へと掛かって行く。
「このっ刺青小娘がっ!!」
数人の人間達の中から、一人の無精髭を生やした大男が飛び出る。
奴は、グレイブを両手に構えて、一直線に突進してきた。
「どけぇっ! デブに用は無いのよっ!」
ニウは、顔を怒りで真っ赤にしながら走る大男を罵倒し。
突進してきた、奴のグレイブによる突きをひらりと交わし。
隙のできた、奴の太ももの裏に回し蹴りを打ち込んだ。
「うがあっ!?」
大男が悲鳴を上げて、太ももを押さえていると。
仲間の仇を打とうと、銃兵と弓兵が攻撃してきた。
「くそっーー死ね死ね死ねーー!」
『バーンッ!』
『バンッバンッ』
「撃てっ! 相手は一人だぁ~~」
『ビュッ!』
『シュッシュッ』
銃兵はフリントロック銃を一発撃つと。
腰から二丁のフリントロック拳銃を取りだし、両手に構えて銃撃して来る。
弓兵も、弓を引いて矢を一本射つと。
次々と小型のスローイングナイフを投げ飛ばして来た。
「ヤバイっ! 避けなきゃっ!?」
ニウは、即座に左側に跳び跳ねて、二人の人間の攻撃を回避する。
しかし、ニウの左腕には弾痕による穴が開き。
そこから血が流れ落ちて、足の爪先には小型ナイフが刺さり。
負傷が更に溜まっていく。
「チッ! しくったわねっ・・・」
いくら痛みを感じないアンデッドと言えど。
負傷し肉体に負荷が掛かり過ぎてしまうと、やがて動けなく成ってしまう。
ビョルンも負傷し過ぎてしまった為に動けなく成ってしまったのだ。
ニウも、これ以上人間達に攻撃されると何れ体が動かなく成り。
首を跳ねられてしまうかも知れないのだ。
「もっと撃ってやれっ!?」
攻撃して来た、二人の人間。
その他の仲間の銃兵と弓兵。
音を聞き付けてやって来た魔法使い達。
連中が、一斉射撃を始め様とそれぞれの武器を構える。
(・・・もう駄目ね・・・ビョルンっ先に天国に? いえ? アンデッドに成ってしまったんだから地獄に堕ちるのよね・・・地獄で待っているわよ・・・)
ニウは二度目の死を覚悟して、両腕のダンで顔を隠す様に構えて防御態勢を取る。
「撃てっ!!」
(・・・嫌だっ死にたくない・・・)
『ヒューンッ!?』
無情にも、ニウに対する銃撃命令が下り。
人間達は攻撃を始めて、彼女を目掛けた魔法が飛んで来た。
「・・・あれ?・・・」
筈だったのだが、飛んで来た魔法は氷結魔法のアイスビームであり。
人間達の一人の鎧を着た銃兵に当たると。
銃兵の右手とペトロネル騎兵銃を凍らせてくっ付けてしまった。
「何だっ!? 誰が攻撃してっ!」
「さっき、突撃して来た奴等がもう上がって来たのか!?」
突然の魔法攻撃に慌てふためく人間達。
連中に、更なる魔法攻撃が何処か遠くから飛んでくる。
「ダークボール」
「うわーー!」
暗闇から暗黒球が飛んで来て弓兵の溝内に大穴を開ける。
暗黒魔法の攻撃を受けた弓兵。
奴は、穴の空いた溝内を両手で押さえながら後ろに倒れた。
「よくもぉ・・・俺達の大事な仲間を痛め付けてくれたなぁ・・・」
暗闇から人間達の前にうっすらと姿を表した骸骨。
否スケルトンの剣士は、長剣を両手で自らの頭上に高く掲げると。
直ぐに走り出して、勢い良く宙へ跳び跳ね人間達に襲い掛かった。
「来るっ! うわぁーーがげぇっ!?」
「・・・一人くたばったか? ・・・」
アレリオは、魔法使いの頭を斜めに叩き割って着地すると。
モンタンテを構え直し、再び人間達に向き直る。
「リーダー、皆っ!!」
ニウは負傷した左腕を右手で押さえ。
援軍に現れたジョージ達の姿を見て喜ぶ。
「はんっ! 援軍が現れたっ!? つっても四人だけだ、気にせず撃ち殺してやれっ」
数人の人間達と、たった四人のジョージ達アンデッドの至近距離での乱戦が始まった。