包囲殲滅・・・いやっ! 回り込んで側面から斬り込んで殲滅だっ!?
「アンデッドめっ! もう一回死ねぇっ」
「死ぬのは、あんたよっ・・・」
スナップハンスロック銃を構え。
ジョージ達に狙いを定める、一人の男に背後からニウは飛び掛かる。
「はっ? 何だって! ぶぅっ!?」
男がニウの声に反応して振り返ると。
そこには、直ぐ目と鼻の先に、鉄の棒があった。
そして、棒は男の眉間と鼻の間に力強く打ち込まれ。
男の体は、後方に吹き飛ばされて、丘の下へと落下していく。
「どう? 痛かったでしょう・・・」
殴られて、落下していく男を見下ろし。
ニウは呟きつつ、次の敵に突っ込んで行った。
幸い他の人間達は、まだニウの奇襲に気付いておらず。
ジョージ達に遠距離攻撃を行っていた。
「急がなきゃっ! リーダー達が殺られてしまうわっ」
その様子を確認したニウは、一人呟くと。
他の人間達に向かって駆け出して行ってしまった。
一方、同時刻・・・ミリカ達は。
「前進しようにも、敵の攻撃が激し過ぎるわねっ!」
「お姉さま・・・敵の注意を引きつつ一旦、後方へと退きますか?」
激しい敵の攻撃に晒され続けるミリカ達。
ミリカは、人間達の激し過ぎる攻撃で前進が困難だと判断し。
シャリルは彼女に一旦安全な後方へ注意を引きつつ後退しようと進言した。
「んん~~? それも良いけど、ジョージ達がまだ敵の元にたどり着いて居ないのよーー?」
「お姉さま、リーダー達も敵に大分苦戦している様ですか?」
ミリカとシャリル達は、話し合いながら魔法を敵に向けて、ずっと放ち続ける。
人間達と二人が、互いに放つ魔法や銃弾は、相手を撃ち殺さんと夜空に舞う。
だが、夜の暗闇による視界の悪さと飛距離の長さにより。
互いに攻撃を当てる事も、攻撃を相手に届ける事も出来ず。
双方ともに、只魔力と弾を消費して牽制し合うだけ出合った。
「では? ワシらが、もう少しだけ敵の注意を引き付けて置きましょう、その間にカブラル殿とシニッカ殿には敵の背後に回り込んで人間達を殲滅して貰いましょうぞっ!」
リュージンは、ミリカに対して進言した。
自らは狙い飛んでくる火炎魔法を偃月刀を縦に振るい。
刃で勢い良く燃える炎の玉を弾いて消してしまった。
「下手な鉄砲数撃ちゃ当たるですかな?」
リュージンは呟くと人間達の方向を睨みながら連続で魔法を放つ。
人間達の元へと向けられた怒りと共に、風魔法は素早く飛んで行く。
しかし、その攻撃は外れたのか。
それとも射程距離が足りずに届かなかったのか。
人間達には、一発も当たらなかった。
「やはり、この距離では当たりませんな・・・」
「ですねぇ~~リュージンさんっ! 取り合えずカブラルとシニッカちゃん達に命令をだしますよっ!」
リュージンが放った風魔法が外れたのを見届けると。
ミリカは、カブラルとシニッカ達に次の命令をだす。
「カブラル、シニッカちゃん! 二人は敵の背後に側面から回り込んで殲滅して来て頂戴っ!」
ミリカは自分達の右側面に位置する、カブラルとシニッカ達に命令を伝えた。
「ミリカ様っ! 御命令通りに俺達は敵の背後に回り込みますっ」
「お姉さま、お任せくださいっ! 全ての人間の首を取ってきます」
カブラルとシニッカ達は手を振って、そう返事をすると。
ラッパ銃と弓による射撃を停止して、右側面から背後へと走って行く。
「シニッカっ! 安全圏に退避するぞっ!」
「でっ・・・その後は背後から奇襲ねっ」
カブラルとシニッカ達は、戦場から大分離れた場所まで素早く走って行き。
更に、そこから弧を描く様に走り。
スティックパンの根本の丘の上に陣取る人間達の背後へと向かっていった。
そして、ジョージ達は魔法や銃弾を回避しながら人間達の陣取る丘の下を目指し。
魔法や銃弾で時折、灰色の地面が、明るく光ったり小さな土煙を上げる中。
猛烈な勢いで素早く走り抜ける。
「よっしゃあーーこのまま押しきったれっ! アレリオ、キャロル、暴れるぞっ!」
「了解っ! 人間共は軽く斬り裂いて皆殺しだっ」
「はいっ! 人間達は楽しく殺しまくりですねーー」
ジョージ、アレリオ、キャロル達。
彼等スティックパンの根本の丘に向かって走って行き。
ようやく丘の下に着いた。
「やっと着いたか? ここまでの攻撃は激しかったな」
「リーダー、次はどうします?」
「ん? 何か聞こえますよっ!?」
丘の下にたどり着いたジョージ達。
彼等は、丘の下の壁の様に成っている部分に張り付いて身を潜めた。
アレリオは、ジョージに次の指示を求め。
キャロルは、何かの音を察知したと言い出した。