見つかっちまったよ?
「そうか? では何の用があって近付いて来た、一晩泊めて欲しいのか?」
魔法使いは、目を細め。
暗闇に立っている怪しい二人組である、アレリオとシャリル達を問い質してきた。
「はいっそうです、私達は疲れてまして申し訳ありませんが、一晩だけ泊めて貰えませんか?」
「俺達は疲れきって、もう疲労が溜まって体がクタクタなんだよ・・・だから頼むぜ、一晩だけ泊めてくれ」
一晩だけ泊めて欲しいと魔法使いに頼む、アレリオとシャリル達。
二人は、如何にも疲れたと言う表情と仕草を、わざとらしく大袈裟に見せつける。
「ああ、分かった泊めてやろう、正し・・・物言わぬ死体としてなっ! フレイムボール」
そう言い出すと、魔法使いは突如右手をかざし。
二人を狙った、火炎魔法を放ってきた。
「お前らの正体は分かっているぞっ! 最近各地で暴れ回っている、アンデッドの一団の仲間だろうっ! エアーカッター」
「なら遠慮はいらないな、頭を撃ち抜いて殺るぜ、アンデッド野郎どもがっ!」
『バンッ!』
その後ろからは中年の僧侶が風魔法を放ち。
鎧を着た銃兵がフリントロック銃を撃ってきた。
「しまった!? 正体がバレていたか!」
「!? アレリオ逃げるわよっ!」
アレリオは、シャリルの前に立ち。
モンタンテを自らの体の前に構え。
シャリル庇う楯となり、魔法使いの火炎魔法を防いだ。
それを見てシャリルは、彼に逃げようと声を掛けて、走り出しながら雷撃魔法を放つ。
「サンダーショットッ! サンダーショットッ!」
敵の魔法攻撃と銃弾を避け。
走り抜けて行く、アレリオとシャリル達に対して、援護射撃が飛んできた。
『バンッ』
『ヒュッ』
「二人ともっ! 後方から援護するぞっ」
「早く逃げてっ! あいつらは私達がっ」
「支援感謝するぜっ! カブラル、シニッカ」
「カブラルさん、シニッカさん、援護に感謝しますっ!」
カブラルとシニッカ達が、後方から援護射撃を開始し。
人間達の注意を、引いてくれた。
おかで、アレリオとシャリル達は無事に逃げ出す事が出来た。
「アレリオ、シャリル、無事だったか? 怪我はないか?」
「二人共、無事で良かったもう心配したんだから」
後方から駆け付けて来たジョージとミリカ達。
二人は、無事に逃げ延びたアレリオとシャリル達を心配した。
「リーダー、ミリカ様、俺達は無事です」
「はいっ! 私達に怪我は有りません」
「なら良い・・・それより戦列を立て直して再び前進するぞ」
無事ですと答えたアレリオとシャリル達に対し。
ジョージは、再び前進すると指示を出し。
スティックパンの巨岩に向かって、駆け出して行く。
「あっこらっ! 待ってよ、馬鹿ジョージぃ~~」
ミリカも、慌てて先に敵を目掛けて飛び出して行ったバカ男。
ジョージの後を追い掛けて行く。
「シャルッ! 俺達もグズグズしてないでリーダーに続くぞっ!」
「そうねっ! 早くリーダーを追い掛けないといけないわねっ!」
アレリオとシャリル達も、それに続いて先程逃げ出して来た。
スティックパンの巨岩の元へと再び駆け出して行った。
一方、ビョルンとニウ達はスティックパンの巨岩を左回りに移動し。
側面から、援護攻撃を仕掛けようとしていた。
「アタシは、アイツ等の元に突撃してくるわビョルンは援護してっ!」
「ニウ、分かった援護するよっ!」
『ドドドドドドドドドドーー』
三人の人間達へ向けて、音波魔法を連射するビョルンの援護射撃の元。
人間達に見つかる前に、一気に距離を詰め。
白兵戦へ持ち込もうと、素早く駆け出して行く、ニウ。
「あっちからも攻撃がっ!?」
「くっ! 撃ち返せっ!」
魔法使い、僧侶、銃兵。
三人の人間達は左側から撃ち込まれた魔法攻撃に驚き。
混乱するかと思われたが、そこに援軍が現れた。
「何だっ!?」
「戦闘かっ!?」
アンデッドの奇襲攻撃による戦闘音を聞き付け。
慌てて、スティックパンの巨岩から人間達がワラワラと出できた。
「あそこだっ! 撃てぇーー」
援軍に現れた人間達。
連中は、ビョルンを見つけ次第、彼に狙いを定めて魔法と銃撃を加える。
『バァンッ!』
「サンダーショット」
人間達の一斉攻撃を受けたビョルン。
彼は、体中に小さい穴や火傷を負い、酷い怪我を負ってしまう。
「攻撃がっ!? あがっ!」
負傷したビョルンに対して、更に多数の魔法と銃弾が撃ち込まれていき。
彼は満身創痍に成り、その場に倒れる。
「ビョルンッ!!」
ニウは小さな声を出すが。
人間達が陣取る、スティックパン型巨岩の根本。
そこに位置する、丘のように成っている下部に隠れて居たため。
連中に見付からずに遣り過ごす事が出来た。