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目指せっ! 山岳地帯


 翌日、全員目覚めたジョージ達は次の目標に定めた山岳地帯を目指して出発を始めた。



「山岳地帯には何があるのかな?」


「魔物か人間達がいるんじゃない?」


 ジョージとミリカ達は、並走する馬車の座席の上から言い合つつ。

 山岳地帯に視線を向けてボンヤリと眺める。

 その二人の頬と髪を、削る様に強く吹きすさぶ、冷たい風が通り過ぎて行く。



「拠点かっ? もしも、あの山岳地帯に洞窟とかが有ったら暫くの間は穴も掘らずに腰を落ち着けられるな・・・」


「そうよねぇ、拠点は欲しいよね・・・また、サウナかお風呂に入って体にこびりついた垢を落として、サッパリしたいわ」


 カブラルとシニッカ達は、座席の上で周囲の警戒を怠らず、拠点の事を話し合い。

 チャリオットを軽快に走らせて行く。



 暫くすると。

 ジョージ達アンデッドのパーティーの前方に、何かが現れた。

 それは、灯台のように天高く聳え立つ、三つ程のスティックパンだ。

 いや、よく見れば、パンの形をした赤茶色の巨岩が見えて来た。



「何だ? あそこは・・・」


「みんなっ! 馬車を止めてっ!」


 ジョージは目を細めて、スティックパンの巨岩を凝視して首を傾げる。

 ミリカは突然、仲間達に馬車を停車させる様に命令を下す。



「ジョージっ! あそこに誰か居るわよっ!」


 ミリカは、人指し指をスティックパンの巨岩の根元に見える部分に向ける。

 そこは、丘のように盛り上がっているが。

 更に、彼女はその上で灯る小さな明かりを指差し。

 ジョージに、何物かが居ることを教えた。



「あれは? 人間が居る様だな」


 ジョージは、スティックパンの巨岩の元に灯る小さな明かりを見て。

 そう言うと、次の指示を出した。



「シャリル、アレリオ行ってくれるか?」


「了解ですリーダー、行って様子を探って来ます」


「はいっ! リーダー、では・・・行って参ります、アレリオっ! 近づいているのが悟られた時の為に頭に包帯を」


 ジョージの指示を聞いたアレリオとシャリル達。

 二人は、キャリッジ馬車の荷物から変装道具を取りだすと。

 指示通り、スティックパンの巨岩の元の明かりに背中を屈め。

 小走りで向かって行く。



「シャル・・・いつも済まないな」


「いいから、少しきつく巻くわよっ」


 ジョージ達アンデッドのパーティーと。

 スティックパンの巨岩の間まで、小走りで来た二人。


 彼等は一端立ち止まり、屈んで、シャリルが僧衣と帽子を脱ぎ変え。

 人間の僧侶に変装すると、今度はアレリオの顔に包帯を巻いていく。



「これでよしっ! 出来たわよ」


「終わったか? じゃあ行こう」


 そう言うと、アレリオとシャリル達はまたスティックパンまで歩こうとするが。



「ようっ! お二人さんっ?」


「うわっ!」


「きゃっ!」


 背後から突然何者かに声を掛けられ。

 既に動いていない心臓が口から飛び出るかと驚いたアレリオとシャリル達。

 しかし、その正体は。



「リーダーから俺達も行ってくれってな?」


「二人の援護を頼まれたの・・・」


 後ろから突如現れた何者かの正体は何と、カブラルとシニッカ達だった。

 二人もリーダーたるジョージに命令されて、様子を確認しに来たのであった。



「何だ? カブラルと・・・」


「シニッカさん、でしたか?」


 アレリオとシャリル達は後ろから声を掛けて来たのが。

 同じ不死者仲間であるカブラルとシニッカだと分かり、肩の力を抜いて安堵した。



「イザという時に、俺達は右後方からお前ら二人を援護してやるからな」


「後・・・私達より更に後方にリーダー達が、左側面にはビョルンとニウが回り込んでいるからね」


 そう説明すると。

 カブラルとシニッカ達は、スティックパンの巨岩の右側面へと走って行く。



「じゃあなっ! 上手くやれよ」


 右側面へと走りながら、カブラルはそう言った。

 その直ぐ後ろには、シニッカがスティックパンの巨岩に注意を向けつつ。

 素早く走って行くのが見えた。



「俺達も、あの巨岩に行こうか?」


「そうしましょうね」


 アレリオとシャリル達も、目的のスティックパンの巨岩に見える明かりを目指し。

 二人並んで、再び駆け出した。

 スティックパンの巨岩の側まで近づいた二人。

 彼等は、明かりの灯る場所に視線を向けると。

 そこには、人間達らしき人影が三人程見えた。



「あいつらは? いったい何処の誰何だろうな?」


「きっと、探検家や学術調査隊か何かでしょう?」


 スティックパンの巨岩に向かうアレリオとシャリル達。

 二人は、そう言って明かりの灯る場所に居る人間達に見付からないよう。

 背中を屈めて、暗闇の中を静かに近付いて行く。



「はっ!? そこに居るのは誰だっ!」


 三人の人間達の内。

 一人の黄色のフード付きのローブを着た魔法使いらしき人物が。

 何か異変を感じ取り、突如暗闇に向かって声を上げる。



「すみません、私達二人は明かりが見えたので人が居ると思い此方へと来たのですが・・・」


「俺達は、只の旅の途中の僧侶と、その護衛の剣士だっ!」


 突然、魔法使いに声を掛けられたシャリルとアレリオ達。

 二人は、冷静に僧侶と剣士の振りをして応えた。

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