害虫の駆除完了・・・
爆炎に包まれるオケラケラ達。
その間をすり抜ける様に、後続のオケラケラ達。
連中が、ジョージ達に噛み付き。
仲間の仇を打とうと、六本の足をばたつかせて颯爽と走り近付いて来る。
「次は、アタシのこれを喰らいなさいっ!」
ニウは、火炎瓶の口に詰められている丸められた紙に火を着けると。
次々と迫る、オケラケラ達に向かって投げつける。
『ガシャンッ!』
「きいぃーーーー!?」
「きいぃぃぃ!!!」
宙を舞い、弧を描きながら飛んでいった瓶。
それは灰色の地面に落ちた衝撃で、瓶がガシャンと音を立て割れ。
中から、火の付いた油が流れ出し、オケラケラ達を火の海へと呑み込む。
「きぃーー!?」
「きぃっ!?」
勢い良く炸裂した爆弾による爆炎と。
火炎瓶から流れ出た火の付いた油が起こした地獄の業火。
この二人による火災で、こんがりと燃え上がる、オケラケラ達。
やがて、全ての昆虫達が焼き尽くされると。
その後、ジョージ達アンデッドのパーティーは、悠々と馬車を走らせ。
全員、座席の上で安堵の溜め息を吐いた。
「ようやっと終わったのか・・・」
「そう・・・見たいね? はぁ~~」
並走する、二台のバギー型馬車の座席。
そこで、ジョージは元から傷付いたゾンビ顔を疲労で更に歪ませ。
ミリカも疲れ切った表情をしながら溜め息を短く吐き。
二人して、後方に目を向ける。
その方向では燃え盛る昆虫達の亡骸が小さく成り。
やがて、遠くの風景に埋もれるまで燃える亡骸の灯りを見つめていた。
「虫達も何とか撃退したし、今夜は後少し行った所で飯食って就寝するぞ」
「そうしましょう~~今夜は疲れたわぁーー」
仲間達に元気良く声を掛けるジョージと、精神的に疲れ果ててしまい。
だらりと力無く項垂れるミリカ。
「もう、今晩は敵とか勘弁してくれよ?」
「本当に出ないで欲しいよね・・・」
アレリオは馬車の座席に背を凭れ掛けさせて愚痴り。
キャロルは目を瞑り、天に顔を向けながら肩をだらりと落として。
まるで、疲れたとでも言う様に愚痴った。
それぞれの馬車を走らせる他の仲間達。
彼等も、皆先程の戦闘で体力と気力を使い切り消耗してしまい。
ジョージとミリカ達と同様に、疲れ切った表情で有った。
「何か見えて来たな? 皆、あそこに行くぞっ!」
ジョージは目に入って来た、緩やかな丘を指差すと。
そこを目指そうと、仲間達に指示を出した。
「頂上まで何も無くたどり着いたな? 今日はここまでだな・・・」
「そうね・・・さあ、ご飯を食べて穴の中で寝ましょう・・・ふぅあ~~欠伸が出るわぁーー」
ジョージとミリカと仲間達、は緩やかな丘の頂上まで馬車を走らせ。
やがて、丘の頂上にたどり着き、料理は疲れた為に女子チームは作らず。
ペコペコのお腹をチーズとワイン等で満たして満足すると。
さっさと、穴を堀り中で就寝した。
「あ~~良く寝たぜっ!」
「ふぁーー!? リーダー御早う御座いますっ」
眠りから目覚めて穴の外へ出たジョージと。
穴から出てきたシャリルは、バッタリと出会した。
「何だっ! シャリルか・・・お前も早く起きたのか?」
「はいっ! 昨晩はぐっすり眠る事が出来ましたのでっ!」
ジョージとシャリル達は、二人して何と無く会話を始める。
それは、自分達に必要な拠点の事であった。
「所でリーダー・・・前にも話ましたが私達には拠点が必要だと思われるのですが?」
「ああ? その話か・・・」
シャリルがそう告げると、ジョージも拠点の事を考え始めるが。
そこに新たな人物達が現れる。
「あら? リーダー・・・」
「リーダー、早いですねっ!」
シニッカとカブラル達も、眠りから目覚めたのか。
二人並んで、穴から這い出てきたのであった。
「二人で何を話して居たのでしょうか?」
「何か問題でも有りましたか?」
シニッカとカブラル達は、何らかの問題が発生したのかと思い。
不思議そうな顔を向けながら二人にそう聞いて来た。
「あっいや? そろそろ拠点を構築しないと思って、シャリルと話して居たんだよ・・・屋根の下でミリカも寝たいって言っていただろう?」
「はい・・・私達はアンデッドで朝の光を浴びる訳には参りません、しかし何時までも一々穴を掘っていては面倒なので・・・拠点が有れば穴を掘る必要も無いかと?」
ジョージとシャリル達は、二人に説明し。
今の自分達アンデッドのパーティーには、拠点が必要だと話した。
「まあ・・・そうですねぇ~~拠点かぁ・・・遺跡を居住地にするか? キャンプ地でも襲って、人間どもを皆殺しにして、仲間に変えてキャンプ地を乗っ取りますか?」
「拠点が欲しいなら、この島に有る山や崖に開いてある洞窟なんていいんじゃ無いですか? 天然の要塞に成りますし・・・」
シニッカは顎に手を添え。
斜め下に視線を向けて考える仕草をしたが。
マトモな意見を言うかと思ったら真顔で物騒な事を言い出した。
一方、カブラルの方は上を向き。
腕を組ながら、少々考える仕草をすると、率直でマトモな意見を述べた。
「うーーん? そうだなあ~~拠点を手に入れるには二人の意見の通り、何か遺跡か洞窟が無いとな?」
ジョージは、二人の意見を聞き入れつつ一人考える。
だが、彼は今考えるより、行動する方が先だと思い立った。
「まっ! それは山岳地帯についてから、また考えよう・・・今は出発共に飯の準備だっ!」
「そうですね、リーダー、山岳地帯についてから考えるか、何か拠点に出来そうな場所を探しましょう」
そう言うと、ジョージとシャリル達は荷物を纏め始め。
馬車に積まれている沢山の食料を取りだす準備に取り掛かり。
シニッカとカブラル達もそれを手伝う。
「さっさとしないと、大食らいのバカ吸血鬼女が目を覚ましちまうぜ・・・」
ジョージは、ミリカの悪口を呟きながら荷物を纏めたり、食料を取りだしたりし。
後から起きて来るで有ろう、仲間達の為に準備を忙しそうに行った。