町への潜入失敗・・・なら次なる目標は?
「ただ今戻って参りました・・・リーダー、お姉さま」
「ただ今帰投して参りましたぞ、リーダー殿、ミリカ殿」
シャリルとリュージン達は仲間達の所に戻って来た。
次いで、二人は早速、ジョージとミリカ達に帰還を告げる。
「で・・・街の様子はどうだったんだ?」
帰って来たばかりの二人に、町の様子が気になる、ジョージが問い質す。
すると、二人は非常に申し訳無さそうな顔で答える。
「残念ながら、その・・・言いにくいのですが、町の中には潜入出来ませんでした・・・」
「門番の話では最近アンデッドが夜に成ると現れて人を襲うので、通行証が無ければ、夜の町には何人足りとも入場させない決まりに成っているとか・・・」
シャリルは、困った様な表情で非常に申し訳なさそうに話し。
リュージンも、渋い表情で何故港町に潜入する事が出来なかったかを淡々と話した。
「そうか、仕方ない・・・なら町から離れた場所で今夜も穴蔵で寝泊まりするしかないな?」
「そうねぇ~~? 私達が暴れ回ったから、町とかキャンプ地の警戒を強めたのね・・・」
話しを聞いたジョージとミリカ達。
二人は、自分達が余りに暴れ過ぎたため。
人間達が警戒感を強めて警備を強化した事を反省した。
その事はもう仕方がない。
それで、彼等アンデッド達は、港町への潜入を諦め。
町から離れた場所で仕方なく寝泊まりする事を決めた。
「よし・・・皆行くぞーー」
「はっ!? どっちへ?」
突然叫んだジョージに対し。
隣に立つミリカは一瞬だけ驚き、どっちへ行くのか聞いたが。
「それは・・・あっちだっ!」
ジョージはそう言って港町から、かなり離れた場所に見える山岳地帯を指差し。
馬の背中を手綱で叩いて急発進させた。
「あっ!? もう勝ってに行かないでって、仕方無いわねぇ~~みんなっ! あのバカを追い掛けるわよっ!」
ジョージの後を追い掛けるミリカ。
彼女も、馬の背中を急いで手綱で叩き馬車を走らせて行く。
「リーダー、ミリカ様っ!?」
「待って下されっ!」
「二人ともっ! 早く乗れっ!」
「師匠ーー早くぅ~~!」
シャリルとリュージン達も、急いで馬車に乗ろうと走り。
中型馬車キャリッジの座席から、アレリオとキャロル達は慌てて走る二人を急かす。
「乗ったな? 行くぞっ!」
アレリオは、シャリルとリュージン達が馬車の座席に座ったのを確認すると。
手綱を操って馬の背中を軽く叩き。
キャリッジ馬車を発進させて、ジョージとミリカ達を追い掛ける。
「俺達も遅れる訳には行かないなっ!」
「お姉さまっ! 待って下さーーいっ!」
更に、カブラルとニウ達も続いてチャリオット戦車を発進させて行き。
次なる目標である、山岳地帯を目指す。
それから、時間は立ち・・・。
暫くの間、平坦な地面が続き。
何事もなく馬車を走らせていたジョージ達アンデッドのパーティー。
彼等は、月と星に明るく照らされた、夜空の下を無言で進んで行く。
『ボゴォッ!?』
『ボゴボゴッ! ガッ!』
突如、ジョージ達の周囲に昆虫系の魔物オケラケラが地面から現れる。
連中は、奇襲攻撃を仕掛けて来たのだ。
「なっ何だっ! コイツらは!?」
「リーダー、危ないですっ!」
『ドーーンッ』
今正に、オケラケラに襲われようとしているジョージの危機を救わんと。
カブラルは左手で手綱を持ち。
その左腕の上に、ラッパ銃を載せて固定させ。
オケラケラに向けて散弾を放ち。
左側の胴体から、腹にかけて複数の丸い散弾を叩き込む。
「ぎきぃーーーー!?」
カブラルから横っ腹に散弾を叩き込まれたオケラケラ。
奴は、力無く後ろに倒れ込んでいき。
自らが開けた、地面の穴に落ちて行った。
「きぃーーーー」
「きききぃィィゥーー」
奇妙な鳴き声を発しながら、バタバタと複数の足を動かし。
十数匹のオケラケラの群れは、ジョージ達の馬車を追い掛けて行く。
「死ねっ! ・・・」
『ヒュッ』
チャリオットの背後から迫る、オケラケラに対し。
シニッカは弓を構え、素早く矢を射ち放ち。
一匹の眉間に、矢を正確に命中させて仕留める。
矢が眉間に突き刺さった、オケラケラは地面にドサリとうつ伏せに崩れ。
落ちて動かなく成った。
「皆っ! まだまだ来るわよっ!」
「ニウっ! もっと速度を上げてえーー!」
『ドドドドドドドドドドドドドドーー』
ニウが手綱を操り、チャリオットを運転しながら叫ぶと。
後方から追い掛けて来た、三匹のオケラケラに向け。
ビョルンは機関銃を撃つようにニッケルハルパの音波魔法を放ち。
彼女へ速度を上げてと、悲鳴を上げる。
「きききぃーーーー」
「きーー!!」
「きぃぃ・・・」
三匹のオケラケラの内。
二匹はビョルンの音波魔法が、幾らか体に命中して転倒しながら絶命する。
それを見ている隙も無く、彼に言われた通り。
ニウは、チャリオットの速度をさらに加速させて行く。
「奴等・・・しつこいわねっ!」
ニウは手綱を操りながら呟く。
オケラケラは段々と数を増やし。
執拗に、ジョージ達アンデッドの馬車を追い掛ける。
「切りがねえな?・・・」
ジョージは追い掛けて来るオケラケラの群れを見ながら呟く。
オケラケラの数は、ざっと二十匹程に増え。
倒しても、倒しても、暫くは全滅させられそうに無かった。