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穴堀作業は継続中・・・


「面倒だな~~」


 穴堀作業に飽きて来たジョージは、そう文句を言いながらも地道に穴を堀続ける。

 彼も流石に、地味な作業に嫌気が差してきたのだ。



「リーダーこれも、ミリカ様やシャル達が穴蔵で安心して眠る為に必要な仕事ですよ」


「左様ですじゃ、リーダー殿・・・穴を掘らねば、明日の朝にはワシ等は灰に成って風で何処かへと飛ばされてしまいます」


 アレリオとリュージン達は、文句を垂れるジョージを嗜める。


 因みに、ジョージは様付けで貴族のように呼ばれるのは、恥ずかしいと思い。

 やはり照れ臭いので、リーダーと呼んでくれと仲間には頼んで有る。



「まあ、二人の言う事も分かるから穴堀は続けるけどさ・・・」


 ジョージはそう言うと、再び穴堀作業を始め土を退かし続けながら考える。

 彼方の世界の便利な道具が有ればと。



(・・・はぁ・・・此処にパワーショベルやブルドーザーが有ればな・・・って有る訳が無いか? ・・・)


「はぁ~~向こうの世界に帰ってゲームやりてぇ~~! グールに、シンスを早くぶっ殺してえーー!?」


 頭の中で無い物ねだりをするジョージ。

 彼は家に帰りゲームがしたいっと大声で叫ぶ。

 そして、突然の大声に驚き、ビックリするアレリオとリュージン達。



「りっリーダー・・・」


「リーダー殿・・・」

 

 アレリオとリュージン達は驚き、揃って頭にビックリマークを浮かべる。

 二人とも、ジョージが乱心したのかと思ったのだ。



「あっ・・・悪い悪い・・・ついつい向こうの世界の物語を思い出してな」


「向こうの世界の物語ですか・・・」


「いったい?どの様な物語で?」


 ジョージの物語にアレリオとリュージン達は食い付いて来た。

 そして三人共、先程から行っている穴堀作業を続けながら話しをする。 

 早く物語の内容が気になる二人に対しジョージは語る。  



「まあ・・・って訳でグールと呼ばれるゾンビ達が、見た目が醜いからって街から追い出されて・・・」 


 ジョージは物語の内容を二人に語る。

 彼はオタクなので沢山の物語りに精通していた。



「その後は自分達でも、なにかしら出来るって人間に認められたくて、農場経営して頑張ったり、軍に入って活躍したり・・・」


 ジョージは更に物語を語り続ける。

 大好きな物語りの内容と。

 苦難の道を歩みながらも、希望を決して棄てない人々の物語りを。



「だから・・・俺はグールの姿こそ人のあるべき姿だと思うんだ・・・例え醜い姿に成って人から、蔑まれたり罵声を浴びせられても、諦めずに努力を続ける・・・二人とも、それが素晴らしい事だと思わないか?」


 ジョージが長い物語りを語り終えると。

 黙って聞いていた二人は、彼の語った物語りに感動して思想に共感する。



「はいっ! 大変に素晴らしい御話しでしたっ」


「リーダー殿、感動しましたぞっ!」

 

 そう言って、アレリオとリュージン達は、ジョージの考えを理解した。



「おおっ! 二人共、分かってくれたか?」


「はい・・醜い姿のグール、つまりアンデッドこそ人間の有るべき姿で有るとリーダーは仰有るのですね・・・」


「リーダー・・・ワシらも貴方の理想の実現の為に沢山の人間をアンデッドに変化させるのを御手伝いします」


 ジョージが二人も俺の考えを理解してくれたのかと喜ぶと。

 アレリオとリュージン達は、笑顔で物騒な事を言い出し始めた。



「は? ・・・いや? ・・・おいアンデッドに変えるんじゃなくて・・・」 

 

 ジョージは全ての人間をアンデッドに変えて欲しいのではなく。

 希望を棄てずに努力する人々を尊敬して欲しかっただけなのである。

 


「分かっています、愚劣な人間共はアンデッドに変えるのではなく、リーダーの忠実な下僕に変えて我々の軍勢に加えろと言うのですね」


「男は洗脳してリーダーの軍団の兵隊に、女は血族化させてミリカ殿の奴隷にして皇宮に加える・・・と言う訳で御座いますな?」


「いや・・・まあ・・・んん・・・そうだよ」


 アレリオとリュージン達は、ジョージの考えを曲解していた。

 そして、彼はもう面倒臭く成って来たので、そう言う事にして置いた。


 うっかり、フォールアウトの内容を語り。

 とんでもない誤解を招いたジョージに対し。

 二人は、更にとんでもない事を言ってしまう。



「ジョージ様、理想の為に我々をお選びに成ったのですね、」


「アンデッドとして、これ程の悦びは御座いません」 


 リーダーであるジョージ。


 サブリーダー的な立場に有るミリカ。


 二人に対する忠誠心の強い、アレリオとリュージン達。

 二人は、更にその高い忠誠心を持つが故の誤解を続ける。



「シャルもミリカ様の奴隷に加えて頂いて、さぞや喜んでいるでしょう」


「キャロルの奴もミリカ殿に可愛がって頂き、本当に幸せに御座いましょう」


 アレリオとリュージン達が、ジョージに対して言い出すと。

 彼は返答に、何と答えれば良いのかと困ってしまう。



「あっ? ・・・ああ、そうだろうな・・・」


(・・・マジか? コイツら正気か・・・自分達の愛する人が・・・この世で一番大事な最愛の恋人と本当の孫の様に可愛がっている愛弟子が女吸血鬼の性奴隷に成ってんだぞ・・・いやまあ・・・女同士だし一応間男に取られるよりはマシなのか? それとも忠誠を誓った君主の愛人にして貰えたから良いのか? ・・・)


 ジョージは二人に対して、そうだろうなと答えながらも。

 心の中では、マジかコイツらとそう思った。

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