馬で町に行こう・・・
「カブラル・・・俺は乗馬した経験がほとんど無いから馬に乗れないんだ・・・だから馬車を小型化させたら、頼むから俺に一台くれよ」
「リーダーの頼みと有らば、その願い・・・承りましたよっと・・・」
ジョージの頼みを聞き入れたカブラル。
彼は、工具箱から様々な大工道具を取り出して馬車の改造作業を続ける。
ノコギリで馬車の板と角材を切り。
釘をトンカチで打ち付け。
切り分けた板と角材を張り合わせていく。
「ジョージ? って、乗馬経験が全く無いの?」
「いや、有るには有るんだけど・・・小さい頃に・・・遊園地で両親に無理矢理ポニーの背中に乗せられた位しか・・・」
不意に、ミリカから話し掛けられたジョージはそう答えた。
普通の日本人は、馬に乗る機会等は滅多に無いのだ。
「ふぅ~~んっ! 乗れないんだあーー!!」
「そう言う、お前はどうなんだよ?」
小馬鹿にしたように笑いながら、そう言ってきたミリカに対し。
ジョージは、逆に質問を返した。
「私、乗れるわよっ! だってっ! 貴族のお嬢様だもんっ! ・・・乗馬位、出来無くてどうするのよっ!」
「はぁ? 貴族ぅ~~? 金持ちのワガママあほレズ、お嬢様の間違いだろうっ」
ジョージとミリカ達は、もといバカボーイ&アホガールは仲良く口喧嘩を始める。
バカアホ二人は、喧嘩する程仲が良いのだ。
「あ~~んたねぇ・・・私は本当の貴族なのっ! 父はドイツ・ハンガリー系ルーマニア人の代々由緒ある家柄の貴族で、母はアイルランド系イギリス人の貴族でかなり裕福な資産家なのよっ!」
「知るかぁっ? んな事っ! お前の家系なんざ知ったこっちゃねぇんだよっ! 何が貴族の家系ですだっ!」
「貴族っ!? やはりっ! そうでしたかっ!」
「薄々勘づいておりましたが、お姉さまが貴族の家系に列なるお方とはっ」
ジョージとミリカ達は、口喧嘩を続けるが。
二人の会話を聞いたアレリオとシャリル達は非常に驚く。
「ミリカ殿、いや? ミリカ様は貴族で御座ったか・・・」
「貴族って、ミリカお姉ちゃん偉い人だったのっ!!」
「通りでお姉さまから貴族らしい気品が漂って来る訳ですね、まさか本当の貴族だったとは・・・」
ミリカが貴族の血筋だと聞いて驚く、リュージン、キャロル、ニウ達三人。
カブラルは馬車の改造作業に集中して当たっており。
ビョルン、シニッカの二人は辺りを警戒する為に出向いており。
その場には居なかった。
「あら、みんなには言わなかったけ?」
「言ってねぇだろう・・・」
「と、言う事はリーダー・・・いえ、ジョージ様も貴族の家系何でしょうか?」
「ジョージ様も実はかなりの爵位を持つ貴族の家系何では?」
ミリカとジョージ達は、皆に言って無かったかと頭に?マークを浮かべる。
シャリルとアレリオ達は、リーダーである彼も貴族なのではと質問する。
「ああ、実は・・・って、俺は別にそう言う家系じゃっ!?」
「勿論っ特別な家系よっ!」
ジョージは貴族の家系じゃ無いと否定しようとするが。
ミリカは、それを遮って出鱈目を言い出した。
「ジョージ様もっ! 特別な家系っ!?」
「ジョージ様も向こうの世界では名の有る家系の貴族で・・・」
アレリオとシャリル達を始めとした仲間達は、ざわめき。
ジョージにも驚きと尊敬の眼差しを向けるが。
「いやっ! みんなっ! 違っ!・・」
「そうなのよっ! ジョージは故郷の国では神で有られる太陽の皇帝に仕える侍って言う特別な戦士・・・いえ騎士の家系何よ・・・」
またもや、ジョージはミリカに否定を邪魔されてしまう。
ミリカは好き勝手に、ジョージの家系の事をあれこれと語る。
実際には、彼は一般ピープルで有り。
特別な家系では無く、また只の日本国民と言うだけなので有る。
「ミリカ・・・お前は良く口から出任せが出るな・・・」
「あら、嘘は言って無いわよ~~私は本当の貴族なのは確かだし、ジョージだって家系を遡れば侍のご先祖様が居るでしょう?」
ジョージとミリカはそう言い合う。
ミリカが向こうの世界では正真正銘の貴族の家系で有るのは事実だ。
それは、ジョージも昔から知っていた事であった。
「まあ・・・お前の家系が貴族なのは本当の事だけど、それより俺のご先祖様に、もしお侍様が居たとしても、どんだけ家系を遡れば良いんだよ・・・」
ジョージは出鱈目な事を言うミリカに軽くツッコミを入れる。
彼も、段々と悪フザケに付き合い切れずに疲れてきたのだ。
対するジョージも一般人の家系だが。
日本人は明治の時代から、皇族等の一部の人達以外の身分、侍や豪族は無くなり。
従って、誰だって家系を遡れば侍や豪族に行き着くので有る。
そうこう仲間達が無駄話をしている内に。
「出来たぞっ! はぁ~~?」
作業を完了させたカブラル。
彼は、集中し過ぎて精神的に疲れたのか深い溜め息を吐いた。