表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

213/645

これで街までの道中が楽に成ったよな?


「蘇って役立ってくれよ・・・」


 ジョージがスキル、死体変化を馬の死体に掛けると。

 たちまち馬の死体達は、人間の遺体同様に変化する。


 緑色の卵。

 赤い玉。

 とぐろを巻いた黒い煙。

 モワモワとした青い霧。


 等々に包まれて行く。



 やがて、その中から変化した馬が二頭が現れる。


 一頭は、緑色の卵の殻から。

 もう一頭は、赤い玉から現れて姿をジョージ達に晒す。



「ブルルルッ」


「ヒヒイィーーンッ」  


 姿を晒す二頭の馬は、異形の姿に変貌していた。

 緑色の殻から姿を現した灰色の馬は、身体中が傷付いており。

 負傷した身体の部分はそのままの状態で、傷だらけの顔から泣き声を上げており。


 もう一頭の体色が黒鳶色の馬は、瞳を血のような紅色に輝かせ。

 猛々しく、咆哮を上げる。



「ジョージ、この子達はアンデッドの馬に成ったのよね・・・」


「まあな、この姿から察するに、ゾンビホースとヴァンパイアホースに変化したんだな・・・」


 ミリカとジョージ達はそう言いつつ、アンデッド化した馬二頭に視線を向ける。

 すると他の馬達も。



「ヒヒーーンッ!?」


「ヒヒィーーンッ!」


「リーダー、ミリカ様っ! 馬がスケルトンとゴーストに変わりましたっ!?」


 別の方向から馬の泣き声が聞こえて来た。

 その方向を見たアレリオは、変化した馬の姿に驚きの声を上げる。   

 全身が白い骨のみと言う、身軽そうな身体に変貌を遂げた馬。

 この馬は、スケルトンホースと呼んで良いであろう。


 全身が淡く白みがかったターコイズグリーン色。

 薄透明な煙のような身体で、足の膝から下が四本とも無く。

 そこから、白みがかったターコイズグリーンの煙を、モワモワと揺らしている馬。

 この馬は、ゴーストホースと呼んだ方が良さそうである。



「リーダー、お姉さま・・・この馬達は?」


「アンデッド化が終了したのさ」


 シャリルが驚いた表情を見せるが、ジョージは驚いている彼女にそう告げる。



「みんなで、この馬に乗って街まで行こう」


「でもさあ~~ジョージ、どうするのよ? 乗って行くったって・・・馬具も無ければ馬車も壊れているし・・・」


 乗馬して、街まで行こうと言うジョージに対し。

 ミリカは困った様な表情をする。

 彼女は、アンデッド化した馬と壊れた馬車の残骸に目を向ける。



「馬の背中に乗るには馬具が無いと素人には無理よ、股が擦れて痛くなるし・・・幾らジョージがゾンビで痛く無いからって乗馬した時に馬具が無いとバランスも悪くなるし・・・」


「馬具か・・・馬車も壊れていて乗れないしな・・・さてさて、どうするかな? 馬車を修理出来ないかな? ・・・」


 ミリカはそう言いながら、ジョージに忠告すると。

 彼は、馬車を修理出来ないかと、馬車の残骸から大工道具を探したり。

 損傷の少ない馬車の残骸を探して、辺りを見回すが。


 どの馬車も酷い壊れ方をしていて、とても修理出来る状態の物は一台も無かった。

 仕方なく大工道具を探して馬車の物資を物色するジョージ。



「みんな、大工道具を探して見てくれないか?」


「次いでに食べ物とかね」


 ジョージとミリカ達はそう言って、馬車に積み込まれた積み荷や物資を物色する。



「ニウ? そっちは何か見つかったかい? 僕の方は薬草や傷薬ばかりだよ・・・」


「ビョルン、大工道具なんて無いわよ・・・こっちはビスケットにマカロン、お菓子と銃弾がぎっしり詰まった箱ばかりよ」


 ビョルンとニウ達は、馬車の荷台から大量のアイテムと食料品等を見つける。



「師匠・・・ワインとブランデーとコーヒーが見つかったよー」


「キャロル、そんなものよりも大工道具を探しなさい」

 

 キャロルとリュージン達は、馬車の中からワイン等の飲み物と生活雑貨を見つける。

 だが、ここにも大工道具は無かった。



「おっ! 有ったぞっ!?」  


 カブラルは、馬車の中から大工道具の詰まった工具箱を見つけて大きな声で叫んだ。



「やったっ!? 遂に見つかったかっ!!」 


 やっと目当ての大工道具が見つかり、喜ぶジョージは早速カブラルの元へ行く。



「これで馬車を修理・・・・・・出来ないか・・・」


 ジョージはそう言ったが。

 自分では大工道具が有っても、馬車を修理出来ないと言う事実に気付いて落胆する。



「リーダー、そう気を落とさなくても大丈夫ですよ、俺が何とかしますからっ!」


「カブラル・・・お前は馬車を修理出来るのか?」

  

 自信満々に声を掛けて来たカブラルに対し、ジョージは本当かと聞き返すと。



「勿論っ! ・・・修理は出来ません」


「出来ないのかよっ!」


 やっぱり無理でしたと答えたカブラルに、激しい突っ込みを入れるジョージ。



「が・・・しかし、修理は出来ませんが、小型化して改造する事なら出来ますよ」


「本当かっ? なら良かった・・・」


 カブラルはそう言い出すと、馬車の改造を始めた。

 ジョージはそれを見てやっと馬で街に向かえると思い安堵した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ