あの男が持ってきた物は・・・
「おーーい、みんなぁ~~? 大量のドジョウを捕まえて来たぞーー!!」
あの男ジョージは帰って来た。
その両腕の中には何本もの瓶を抱えていた。
そして、彼はミリカ達の前で中身を見せつける。
「このジュースの空瓶の中にドジョウを入れて捕まえて来たんだけど、焼いて食おうか・・・?」
「まあ? ・・・あんたは良く、そんなに大量のドジョウを捕まえて来たわねぇ~~昔からそう言うのは得意だったもんね・・・」
ドジョウの入った瓶を差し出したジョージから、ミリカは瓶を受け取る。
そして、早速中身を取り出して火炎魔法で焼き上げて行く。
「でぇーー捕まえた魔物は基本はロースト肉にするけど? 皮と殻とかは取って置くんでしょう・・・?」
「ああっ! 勿論、後で商人に売るから捨てないで取って置こうか」
ミリカが確認すると、ジョージはそうだと答えた。
そして、パーティーリーダーであるジョージが帰って来た。
それで、その後は皆それぞれが捕まえて来た獲物の肉を食べる。
「はむっ? はむっ!? 美味いわぁーー!!」
「ちょっぴり、生臭いけどな」
「あむ、あむっ? 海老肉は柔らかいな?」
「美味しーーですぅ~~♥」
泥沼大鯰の肉を美味しそうに食べるニウとアレリオ達。
赤ヌマエビーのロースト肉を笑顔で頬張る、ビョルンとキャロル達。
「さてさて、肉を食うのも飽きて来たし、そろそろ出発するか?」
水棲生物のロースト肉を平らげ。
腹が満たされたジョージが宣言すると。
アンデッドの仲間達は荷物を纏め始めた。
「次は街まで行って・・・船を手に入れる前に、商人に手に入れた魔物の皮とか殻を売るか・・・」
「そうして得たお金で、また食料や飲み物を買うのよね・・・じゃあっ皆行くわよっ!」
ジョージとミリカ達はそう言いながら、二人並んで歩き出し。
他の仲間達もそれに続いて行く。
街を目指して歩いていたジョージ達アンデッドのパーティー。
彼等が歩いていると、壊れた馬車が数台ほど目に入った。
馬車の残骸は手酷く壊されていたが、中の商品は無事の様であった。
「人間と馬ちゃん達は・・・」
ミリカは、馬車の残骸の周りに転がっている、無惨な遺体に目を向ける。
それは、十数人の人間と十匹の馬達だ。
「可哀想に・・・どうやら魔物に殺られた様だな?」
ジョージは人間達の死体に手を合わせて合掌する。
幾ら自分達がアンデッドであり、人間達とは敵対しているとは言え。
余りに、酷い殺され方をされたで有ろう人間の遺体を前に、彼は気に毒に思い。
思わず、手を合わせてしまった。
「リーダー・・・彼等を埋葬して上げましょうか?」
「いや・・・単純に埋葬するよりアンデッド化させて地中に埋めてやろう」
シャリルはそう静か提案したが。
ジョージは、アンデッド化させた方が良い気がした。
なので、埋葬ついでのアンデッド化を思い付いたのであった。
「俺達はアンデッドだ・・・人間が死んでいるなら仲間に変えるだけだ・・・だから、みんな? 遺体を集めて穴を掘ってくれ」
ジョージは、自らも人間の遺体を集め始める。
指示を出された仲間達も人間達の遺体を一ヶ所に集める。
そして、地面に墓穴を掘り。
ある程度広い空間を作ると、ジョージ達は次の作業に移る。
十数人にも及ぶ、人間の遺体には、スキル、死体変化が次々と掛けられていく。
そうして、緑色の卵の殻、赤色玉、黒いとぐろを巻いた煙、モワモワとした青い霧。
これ等に包まれた遺体は術を掛けられた後。
先程、地面に開けた穴の中まで運ばれて中に入れられる。
「さあって・・・次はぁーー?」
「次は・・・?」
ジョージがそう呟くと。
ミリカも次はと言って、彼が視線を向けた先に自らも視線を向ける。
そこに有るのは馬の死体であった。
その馬の死体は、腹や背中が食い破られている以外は余り傷が付いておらず。
残った馬肉も、新鮮その物であった。
「これを・・・」
「食うの?」
痛ましい馬の死体を見下ろしながら一言呟いたジョージに対し。
ミリカは、食うのかと気になったので聞いたが。
「いいやっ! 違うよ? ミリカ、このお馬さん達には、こうして俺達アンデッドの役に立って貰うんだよ」
そう言うと。
ジョージは、馬車の側で横たわる一頭の馬の死体にスキル、死体変化を掛け始めた。