夜道を進む幌馬車
一方・・・。
先程の出会ったパーティーが皆アンデッドだと知らない、夜の荒野を走る幌馬車では。
「僕らだけで街まで行く事に成ってしまったね、レア?」
黄茶髪の若い男。
彼は、後ろの荷台の幌の中に敷かれた小型マットの上で寝ている女性に声を掛ける。
彼女は、頭の下で腕を組んでいる。
女性の見た目は、顔はエィンシャン・ゴールド色のウェーブパーマボブの髪型。
美しいローモンドブルー瞳で、肌色は白みがかった薄肌色で体付きは長身。
服装は大きめの紺色のベレー帽を被り。
紺色とオレンジ色模様の入り、袖口と肩の部分が赤色の袖の膨らんだ服を着て。
下もタボダボのズボンを履き。
ブーツまで、同じ紺色とオレンジ色に揃えられていた。
その見た目は、ヴァチカンを守るスイス傭兵の様であった。
「ルチアーノォ~~私達だけじゃあ荷物の運搬車と護衛は出来るかどうか分からいのに、高額報酬に釣られて勝手に依頼を引き受けて・・・」
レアと呼ばれた女性は、体を起こして、不機嫌そうな表情を浮かべ。
ルチアーノと呼ばれた、彼に向けて喋り始める。
「挙げ句の果てに、また勝手に人を乗車させようなんて何を考えているのよっ!」
「いや、乗車料金変わりに襲い掛かって来る魔物から彼等に守って貰おうと思ってさ・・・」
レアはそう言って、手綱を操る若い男であるルチアーノを怒鳴り付けた。
そして、当のルチアーノは、レアの怒りを静めるために言い訳をするが。
「その魔物が彼等だったらどうするのよ? もしかしたら、今の彼等が噂のアンデッドの一団で、私達より強いかも知れないわよ」
「あははっ? そんな訳無いさ・・・もし、彼等がアンデッドだって言うなら僕は君を全力で守るし、それに僕もレアもアンデッドが束で掛かって来ても勝てない位強いだろう・・・?」
巷を騒がす、アンデッドの事を心配するレアの不安そうな言葉に対し。
ルチアーノは、そう言って軽く笑い飛ばす。
「それも・・・そうね・・・」
ルチアーノとレア達の実力はかなり高い。
二人が護衛の人間を欲していたのも、頭数が欲しいからだ。
その理由は預かった荷物にある。
幌馬車の荷物が、大勢の魔物に襲われた時に奪われるのを心配した。
故に、彼等自身は差ほど、アンデッドや魔物を恐れては居なかった。
もし、アンデッドのパーティが、ルチアーノとレア達ペアを襲ったとしたら。
二人は、確実にジョージ達の何人かを軽く葬り去るで有ろう。
それほどの実力を、二人は兼ね備えていた。
「レア、今晩中に街には着くさ・・・そしたら酒場で一杯やった後に宿屋のベッドの上で一晩の愛を・・・『ゴスッ!?』 ・・・」
「冗談は顔だけにして・・・」
冗談ではなく本気で言った、ルチアーノに対し。
レアは、ルツェルン・ハンマーの柄で思い切り頭を叩いて拒否した。
「痛っいなぁ~~」
「文句あるの? ・・・」
痛がるルチアーノ。
彼に、レアは右手を腰に伸ばし、鞘からサーベルを引き抜こうとして脅す。
「もっ! 文句は有りませんっ!」
「なら良かったわ、さあ黙って街まで行きましょう」
怯えて震えるルチアーノを横目にレアは、サーベルを彼の後頭部に突き付け。
無理矢理に黙らせて、馬車の運転をさせて街まで向かって行った。