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洞窟を抜けると


 第二部、沢山の仲間を得たアンデッドは、更に島からの脱出を目指すのだ。



 仲間を集めたジョージとミリカ達。

 彼等は、夢の島から世界へと出発を始める為に港町を目指す・・・。




「やっと外か・・・洞窟を出るのに既に疲れたな」


「今日は月明かりが綺麗ね・・・まるで黄色く光る宝石見たいに輝いているわ」


 ジョージとミリカ達は洞窟を出ると、二人並んで夜空を見上げ。

 美しい、月明かりに見とれる。



「リーダー、お姉さま、港町はあちらの方角に成ります」


 シャリルは島の北側の方角を指差した。

 その方向に顔を向ける、ジョージとミリカ達。

 二人の視線の先には、かなり遠くに、小さな淡い紫色の光りを放つ場所が目に入る。


 恐らくは、街の橙色の光りが真っ暗な夜空の色と混ざり合い。

 紫色に変色しているんだろうと、ジョージとミリカ達は、ふと街を見て思う。



「きっと、あそこが港町だな・・・」


「あそこに船が・・・」


 ジョージとミリカ達は、そう言って歩き出す。

 それに仲間達も続き、歩いて行く。

 十人ものアンデッドのパーティは、ぞろぞろと行進を続けて荒野をさ迷い歩く。



「ニウ・・・船を手にいれたら、リーダーとミリカ様はいったい? どこへ向かうんだろうね?」


「さあねぇ~~アタシにも分かんないわ?」


 ビョルンとニウ達は何げなく。

 このパーティーが、これからは何処に向かうのかと話し合う。


 ジョージ達アンデッドのパーティが目指す目標は港町だが。

 そこまでの道程は長いので。

 彼等は一先ずは荒野の地を今晩の内に行けるところまで行き。

 そこで、寝泊まりする穴を掘ろうと決めて歩き続ける。



「あれは・・・?」

 

「んっ! 何だ・・・どうしたんだっ! シャルッ!!」


「何事ですかな?」


 前方を警戒するシャリルが、左側の丘の上を見てそう言うと。

 アレリオとリュージン達も、それに反応してそちらに振り向く。


 すると、荒野をさ迷う彼等の行くてには大きな幌馬車が一台。

 丘の左側の上を走るのが見えた。


 幌馬車には、荷台の後ろに、もう一つ小さな荷台が引かれていて。

 向こう側は、こちらの存在に気付いたのか。

 丘の緩やかな下り坂を、下りてやって来る。



「敵かな? それとも商人か?」


「どっちでも良いわよ、私は可愛い子が居たら仲間に加えるだけだから♥」


 ジョージとミリカ達は、此方に向かって来る馬車に視線を合わせるが。


 何時もの、ミリカの言葉を聞いたジョージは。



「はぁ~~お前はいつもそれだよな・・・」


 百合堕ちを狙う、ヴァンパイアであるミリカの発言に対し。

 ジョージは、深く溜め息を吐いて呆れ果てたのであった。



「お二人ともっ! 馬車がこちらに来ますよっ!」


 シャリルが二人にそう告げると。

 馬車はジョージ達アンデッドのパーティに三十メートル位の距離まで近づき。

 直も、馬車はガタッガタッと車輪の音を立てて走る。



「やはり、敵かっ!」


 険しい顔で、シニッカは馬車を睨むと。

 直ぐ様左膝を地面に付き、弓を構えて矢を射る準備を始める。



「そうかも知れないな・・・」


「なら、戦うまでだっ!」


 カブラルは、ラッパ銃を構えて馬車を狙い。

 ビョルンは、ニッケルハルパを馬車に向け。

 いつでも、音波魔法を放てる準備をする。



「君達は街まで向かうのかぁーー?」


「そうだっーー」


 すると、馬車から若い男の大きな声が聞こえて来た。

 その若い男の言葉に、ジョージがそう言い返す。



「なら乗って行かないか? 最近何かと物騒だし、この間もアンデッドの一団が騎兵隊を襲ったって言うし・・・」


 若い男は、ジョージ達を馬車に乗る様に言う。

 彼は、全身を包むフロスティホワイト色の鎧を着ている。

 それは、非常に沢山の細かい模様が彫られた中量級の鎧だ。

 背中には、クロスボウを背負っていた。


 黄茶髪で多少の癖毛の髪で、カシミアグリーンの瞳を持つ。

 イタリア人ぽい、少し濃い顔つきのチャラい雰囲気の男だった。


 遠くから、そう問われたジョージ達は全員で集まり。

 どうしようかと、仲間内で相談を始める。



「誘われたけどさ、どうするよ? ・・・乗って行くか?」


「どうするも? こうするもっ! 幸い向こう側は、そのアンデッドが私達だって気付いていない見たいだし、せっかくだから乗ってかない?」


 ジョージとミリカ達は相談し合うが。

 アンデッドだと、馬車の人間にバレた時の事を心配する仲間達。

 彼等の口からは、反対意見も出てきた。



「御二方っ! 今は暗闇に居りますからアンデッドだと、バレておりませんが馬車まで行くと奴等にアンデッドだとバレますっ!」


「そうですっ! 包帯を巻いている時間も有りませんし、例え包帯を巻いたとしても馬車に乗ってしまえば、何れはバレて終うかも知れません」


 リュージンとシャリル達は、進言する。

 若い男の乗る幌馬車に乗車するのを拒否するよう、ジョージとミリカ達に。



「だよな・・・あいつ等に正体がバレたら不味いもんな」


「そうね・・・二人の言う事を素直に聞き入れましょう」 


 ジョージとミリカ達は二人して考える。

 仲間内において参謀的な立場である、リュージンとシャリルの意見を聞き入れ。

 幌馬車には乗らない事に決めた。



「済まないが、乗せて貰えるのは嬉しいが街まで行く途中に用があって一緒には行けない」


「そちらが、そう言うのなら仕方がない街までは二人だけで行く事にするよ」


 ジョージが済まないと言って、乗車を断ると。

 若い男は幌馬車を街へと走らせて行く。

 それを見届けた、アンデッドのパーティは。



「二人だけか・・・襲えば良かったかな・・・?」


「そうね・・・でも、下手に近づいて正体がバレて馬車に引き殺されるよりは良かったんじゃない?」


 ジョージとミリカ達はそう言って、まだ遥か遠くに存在する街を目指し。

 夜の闇の中を歩き出した。

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