温泉の中で悪墜ち後・・・
「あーーたま~~いたあーーい~~」
ミリカは、地面に敷かれている畳まれたテントの布の上で苦しそうに呻く。
彼女は苦悶の表情を浮かべて体を横たえていた。
「ううっ痛い!? ズキズキするわっ❗」
「頭がクラクラするぅーー?」
「気持ち悪~~いっ!?」
「ぅっ!? ふぅ・・・ふ・・・ふっ!?」
シャリル、ニウ、シニッカ、キャロル達。
彼女等も、同様に悪夢にうなされたように苦しみ悶えていた。
「温泉に入って何をしていたか知らんが長く入り過ぎだぞっ! アホ女っ!」
「うるふぇーー!? バカゾンビ男っ・・・黙・・・うっ!」
ジョージにそう言われたミリカは目を強く瞑る。
そして、苦しそうに呻き真っ赤な唇を大きく開け、白い歯と犬歯を見せる。
「シャル・・・大丈夫かい?」
「ええっ・・・私は無事よ、心配しないで・・・アレリオ」
シャリルの体調を心配するアレリオ。
彼女は笑顔を浮かべるが。
アンデッド化した時から悪そうな白い顔。
それを土気色にして、更に顔色を悪くさせていた。
「ニウッ! さあ水を飲んで・・・」
「ビョルン、有り、難う・・・♥」
ビョルンは、苦しむニウの後頭部を支えた。
洞窟内を流れる川から汲んできた、水筒の水を彼女にそっと飲ませる。
「キャロル・・・だらしがないぞっ! はあ~~仕方の無い奴じゃな」
「師匠・・・ご免なさい・・・」
リュージンは口では厳しい言葉を言っているが。
キャロルの事を心配して、額や首筋に付いた汗を濡らした手拭いで拭いていく。
「シニッカ、ゆっくり寝て休め」
「ええ・・・そうさせて頂くわ・・・」
カブラルは、シニッカの額に川の水を染み込ませた、冷たいおしぼりを乗せる。
今のジョージ達、アンデッドのパーティ。
その様子は・・・。
女性アンデッドチーム全員が温泉に浸かり過ぎた。
その結果、のぼせてダウン状態と言った情況下であった。
「あーー頭いたい~~気持ち悪ーーいっ!?」
「アホ女は黙って寝ていろっ!」
二日酔いした、OLの如く顔を青くして、ダウンしているミリカ。
彼女に対して、ジョージは彼女の側に水筒を置く。
「側に水筒を置いとくから、飲みたく成ったら言えよ、飲ませてやるから?」
ジョージは清らかな水が、ゆっくりと流れる川へと水筒を持ち。
水を酌む為に、歩いて向かう。
「リーダー、これからはどうしますか?」
「これからも何も、このアホと他の仲間達の体調が回復するまで待機だな・・・」
不意に、アレリオが質問してきた。
彼の問いに、ジョージは女性アンデッドチームの苦しむ姿に目を配る。
彼は、彼女達の姿を見て、仕方なく待機の指示を出した。
「まぁ~~暫くは、このままだな・・・」
「リーダー、とにかく時間も時間ですし、食事にしますか?」
ジョージが仕方が無いかと言う表情をしながら呟く。
その後ろから、ビョルンが横から食事にしましょうと言った。
彼は、荷物の中からチーズとベーコン類を取り出す。
「なぁ? リーダーってのは何だ?」
「んっ? あーー? 俺の事を皆ジョージ様って呼ぼうとするけど、様漬けで呼ばれるのが嫌だから、リーダーって呼んで貰っているんだ」
カブラルが質問すると。
ジョージは、何故仲間からリーダーと呼ばれているか、理由を手短に答えた。
「そうか・・・これからは俺もリーダーって呼ばなきゃな」
「って言うか? カブラルとシニッカとキャロルの種族を確認していなかったな、今見てみるか? ステータス確認っと・・・」
『カブラル、死の兵士、レベル1』
ジョージは目の前に立つ、三人を眺める。
カブラル、シニッカ、キャロル。
この順番で、各個人のステータスを確認していく。
『シニッカ、吸血幽鬼、レベル1』
『キャロル、幽霊、レベル1』
次から次へと仲間のステータスを確認したジョージ。
彼は、このアンデッドのパーティーも大分仲間も増えたなと思う。
「リーダー、食事の用意が出来ましたよ?」
「あっ! そうだったっ! 飯の時間だったわ!?」
ビョルンが、再びジョージに声を掛ける。
彼はそう言って、チーズを受け取り食べ始めた。
「うっ! 美味いな、これは!」
ジョージは、マスカルポーネチーズとポークジャーキーを食べる。
口の中で蕩けるチーズの味とジャーキーの塩味を味わって喜ぶ。
「リーダー殿、漬け物に発酵ピクルスとサワークラフトを、魚は鰻・スモークを・・・そして飲み物に葡萄とオレンジのジュースをどうぞっ」
リュージンは、ジョージと他の仲間の為に沢山の食べ物と飲み物を運んで来た。
それを、男アンデッド達全員で食べる。
「うむっ? 美味い、美味いな」
「肉は?本当に美味い」
ジョージとアレリオ達。
二人は、シェーブル・フレチーズとアローム・ド・リヨンチーズを食べる。
バクバクとチーズを食いまくる二人は美味いを連発した。
「スタウトにエール、リンゴジュース、まだまだ飲めるわい」
「うん、このチーズと漬け物は行けるよ、行ける」
「牛肉ハムうんめ~~くぅ~~冷たいビールが欲しーーぜっ!!」
リュージンは飲み物類を手に取る。
そして、ガバガバと腹が膨れる程の勢いで、蟒蛇の如く沢山飲んでゆく。
ビョルンは、アイリッシュポーターチーズと、ケッパーの塩漬け。
この二つを、どんどん口に運んで食べて行く。
カブラルは、牛肉ハムを食べて、ビーツの酢漬けをバクバクと食べる。
「女子連中の分も残して置かなきゃな・・・元気になったら、チーズや肉を俺達の倍以上食うだろうからな・・・」
ジョージはそう呟き、ダウン状態の彼女等に目を向ける。
のぼせて寝ている女性陣の方を見て、彼は苦しそうに呻くミリカを心配した。