温泉発見?
「あの後・・・仕方が無いから、カブラルを餌にして、シニッカちゃんのお腹が膨れ上がった所で・・・スキル、死体変化を使って、二人共アンデッドに変えて上げたのよね~~?」
ミリカは二人を騙して殺害した時の回想の内容をシニッカに語る。
その話を聞かされた、シニッカは。
「はいっ! 私も、お姉さまのお陰で進化する事か出来ました」
「そう・・・そして、これからはシニッカちゃんも皆と一緒に旅する仲間よっ!」
シニッカが嬉しそうに言うと、ミリカも笑顔で答える。
「ええ・・・これからは私達は・・・」
「うふふっ♥ 安心してっ! シニッカちゃん・・・シャリルちゃん、ニウちゃん、そして、私が可愛がって上げるわよっ! 勿論キャロルちゃんも一緒にねっ♥」
ミリカとシニッカ達。
完全に、二人だけの世界。
女の子同士の世界に浸っているミリカとシニッカ達に、呆れた眼を向けるジョージ。
(・・・あいつら二人は幸せそうで凄く羨ましいぜ・・・敵がこの川が流れる洞窟の奥から出て来るか分からないってのにな・・・)
ジョージはそう思いながら、前方から緩やかに流れる川の先を見つめて歩く。
すると、淡い緑色の光が洞窟の奥にボワーーと。
街灯が灯っている様に光っているのが見えた。
それを発見した彼は。
「おいっ! 二人とも、黙ってあれを見ろ・・・」
ジョージから不意にそう言われ。
楽しい会話を途中で止められた、ミリカとシニッカ達の反応は。
「えっ? 何でよっ!」
「いったい、どうしたと言うのですか?」
ミリカとシニッカ達は、邪魔をされて不機嫌そうな顔をする。
そんな二人に対して、ジョージは淡い緑色の光を指差して何かがあると教える。
「あれを見ろ・・・あれが何なのか見に行って来るから、それまでは黙って居てくれよ」
「分かったわよ、それなら仕方無いか」
ジョージは洞窟の遠い奥の方に見える淡い緑色の光を指差す。
それを調べると伝えると、仕方が無いとミリカも機嫌を直す。
「アレリオ、ついてきてくれ」
「了解っ! リーダー偵察ですね」
二人は淡い緑色の光の元へ静かに腰を屈めて歩いて行く。
アレリオが先導して、ジョージが手をかざす。
こうして、いつでも魔法を放てる様に態勢を取り、二人は警戒しながら進んで行く。
すると、そこには体育館ほどの空間が広がっていた。
緩やかに流れる川の水。
そこに、左側の坂から淡い緑色の光る液体が流れて混ざって来ていた。
「アレリオ・・・俺が右側から」
「リーダー、俺は左から・・・」
そう言うと、二人は坂の上を目指して一気に掛け登る。
坂の上からは蒸気が上り妖しい気配を漂わせていた。
「なんだ・・・これは温泉?」
「見たいですね・・・敵だと勘違いしましたね?」
ジョージとアレリオ達は、発見した緑色の光を放つ物が温泉で有った事を確認した。
そして、彼は待機している仲間達に向けて叫ぶ。
「皆あぁ~~来ても良いぞーーーー」
ジョージが叫ぶ。
それから、ミリカを先頭に他の仲間達もぞろぞろと歩く。
そうして、彼等は洞窟の暗闇の奥からホラー映画のゾンビの様に現れる。
「ジョージ、どうしたの? 結局あれは・・・?」
「リーダー、緑色の光の正体は敵では?」
ミリカとシャリル達が体育館ほどの空間にたどり着く。
二人は、緑色の光が何なのかとジョージに聞いてきた。
「温泉だよっ! 温泉・・・」
「温泉っ!? 久しぶりに熱いお湯浴びて体を洗えるのねっ! やったあぁーー♥」
ジョージが緑色の光の正体は温泉だと教える。
その言葉を聞いて、ミリカは子供のように元気良くはしゃぎ、笑顔でとても喜んだ。
「温泉ですかっ! 暖かい湯船に浸かると体を癒せますよね~~」
「アタシも早く温泉に入りたいわぁ~~お湯に浸かってお肌を綺麗にスベスベ♥」
シャリルとニウ達も温泉と聞くと。
二人して、笑顔で喜び子供の様に嬉しそうに、はしゃぎ始める。
「温泉って、サウナ見たいに暖かみのある湯に浸かるのですか・・・?」
シニッカだけは、何故か不思議そうな顔をして一言呟いた。
その一言を聞いた、ミリカは。
「えっ! シニッカちゃん温泉に入った事無いの?」
「故郷じゃあサウナに何時も入って居ましたので・・・」
ミリカに聞かれた、シニッカは素直にそう答えた。
彼女の故郷では、風呂に入るのでは無くサウナに入るのが一般的なのだ。
「サウナかあーー温泉も気持ち良いよぉーー? あっそうだ! ここで一緒に女の子だけで温泉に浸かりましょう」
ミリカは何時もの如く、またしても身勝手で変な提案を出した。
そして、勝手に話を進める。
「シニッカちゃんも、一緒に入れば温泉の良さが分かるわよっ!」
「はいっ! 是非とも御一緒させて下さいっ♥」
ミリカが笑顔でそう言うと、凄く嬉しそうにシニッカも笑顔で答える。
二人が仲良くする光景を、後ろから眺めるシャリルとニウ達は、嫉妬して怒り出す。
「まあっ! 新入りの癖にお姉さまは前で生意気な」
「本当よねっ! 私達のほうが先輩なのにぃ~~」
二人は羨望と嫉妬の余り、そう呟いてしまった。
その会話を、ミリカ聞かれてしまい。
「二人とも、良くない事を考えていると、お相手しないわよ~~?」
嫉妬の炎を燃やして、新入りであるシニッカを睨みつける、シャリルとニウ達。
そんな二人を、ミリカは釘を刺して注意した。
すると、二人の女性アンデッド達は。
「お姉さまっ! それだけは御勘弁をっ!」
「どうか御許しをっ! お姉さまぁ~~」
シャリル&ニウ達は、二人揃って勘弁して下さい。
と、ミリカに謝るが、当の彼女はと言うと。
「ふふっ? 冗談よっ! 冗~~談っ・・・でも本当に新入のシニッカちゃん、キャロルちゃん達を苛めたら駄目だよっ! 二人ともねっ♥」
ミリカは元から二人を罰して相手をしないと言う気は無い。
勿論、シャリルとニウ達を、からかっただけなので当然二人を許した。