激戦っ!? アンデッド・人間、どちらが勝つかっ!!
遮蔽物の陰から反撃を行っている傭兵達。
その中には、小柄な魔法使いキャロルの姿も有った。
「師匠どこっ? ・・・」
キャロルが応戦しているのは岩柱の陰に隠れている、二体のアンデッド達であった。
敵のアンデッド達は、こちらと魔法を撃ち合っており。
閃光と音波が向こう側から飛んでくる。
「どこなの? ・・・」
キャロルは、銃声と様々な魔法音がトンネル内に響き渡る中。
アンデッドと化した、師匠のリュージンを探そうと周囲に目を配り。
辺りの暗闇を、キョロキョロと見回す。
一方・・・その頃。
遺跡の陰で静かに身を潜める、アレリオとニウ達は、次の命令が下るまで待機していた。
「武器が切れたぜ・・・」
「どうするの・・・?」
二人が呟いて、遺跡の陰から騎兵隊の様子を伺っていると。
敵が数名、こちらに腰を屈めながら、小走りで近づいて来るのが見えた。
「敵だっ!」
「はぁっ!? 敵ぃーー!!」
アレリオは、モンタンテを両手で強く握り締めて構えると、遺跡の壁に張り付き。
ニウも膝を屈めて、迫り来る敵の顎にダンを打ち込もうと、彼の隣で待ち構える。
騎兵隊員と傭兵の中から白兵戦用の武器を持つ者達が。
遺跡の裏に潜む火焔瓶と煙玉を投げつけて来た敵を倒そうと。
分隊を派遣してきたのだった。
「よしっ! 来たら叩き斬ってやる」
「顎を打ち砕いてやるわ」
アレリオとニウ達は、近づいて来る騎兵隊員と傭兵達に奇襲を掛けようと。
まだ遺跡の壁から動かない。
「もう少し・・もう少しで・・・」
「・・・後、もうちょっと・・・今よっ!」
アレリオとニウ達は、遺跡の角を曲がり。
階段を登ろうと、やって来た騎兵隊員と傭兵達に不意討ちを掛け襲い掛かかった。
「死ねっ! 軟弱な人間共がっ!」
「アタシらに勝てるとでも思ったぁ?」
奇襲攻撃を仕掛けた二人は、そう言うと。
遺跡へと近づいて来た、騎兵隊員と傭兵達の先頭の二人を殺す。
アレリオは、モンタンテを真上から振り下ろし。
剣と楯を装備した騎士の頭を兜ごと叩き潰し。
ニウは、ダンを戦士のこめかみに打ち込み。
戦士は吹き飛ばされて、口から泡を吐き、そのまま動かなく成った。
「まだまだ居るなぁ~~邪魔な奴等がさっ!!」
「本当ね・・・早く死んでくれないかしらね・・・」
あっという間に敵である人間達を仕留めたアレリオとニウ達。
彼等は、残る四人の人間達と戦う。
「くっ! 待ち伏せかっ!!」
「こんな奴等、やっちまえっ!」
四人の分隊はそう叫ぶ。
アレリオとニウ達を、手に構えるスモールソードで攻撃してきた剣士。
奴はアレリオに斬り掛かり。
その横から、重戦士がウォーハンマーを振り回して来た。
「くうぅっ! うわっ!」
アレリオの鎧に、ウォーハンマーが当たり、衝撃で横に吹き飛ぶ。
そして、倒れた彼に追い討ちを掛けようと走って近づく剣士と重戦士の二人。
それを見た、ニウは叫ぶ。
「アレリオッ!? ぐぁっ!!」
ニウの体にも、ラッパ銃の弾が撃ち込まれて彼女は左上半身と左脇腹を負傷し。
そこに、右腕にクロスボウの矢が撃ち込まれ。
彼女は、銃兵と弩兵に挟み撃ちにされる。
その頃・・・リュージンは。
(・・・キャロルの奴目・・・いったい?どこに居るのだ? ・・・)
リュージンは風魔法を放ち。
かつて、人間で有った時の弟子であるキャロルを探す。
彼は奇襲攻撃が始まった時から、風魔法を連続で放ち。
騎兵隊の注意を引く事に成功していた。
「うっ!?・・危なかったわい」
リュージンのこめかみの僅か側を丸くて黒い銃弾が掠める。
騎兵隊員と傭兵達は、彼に対し。
激しく応戦して銃弾と矢、魔法をまるで、シャワーを浴びせる様に撃ってくる。
「抵抗が激しくなって来たのぉ~~」
リュージンは、遺跡の物陰に隠れて敵の装填する時を待つ。
彼は敵の攻撃が弱くなると、装填している頃合いだと思い、物陰から顔を出すが。
『ボゥッ』
「!?」
彼の隠れている物陰の直ぐ側に、火矢が射ち込まれ。
地面に火矢が刺さり、本の僅かな範囲を燃える矢は明るく照らす。
「奴等、ワシを焼き殺そうと言う算段かっ!」
リュージンはそう言うと。
物陰からチラリと火矢を放った弓兵を睨む。
弓兵は二人居て、火矢を放った方は、矢を背中の矢筒から取り出中らしく。
もう一人のベレー帽を被った弓兵は、狙いを定めると次矢を射って来た。
「つっ!!」
リュージンは素早く顔を隠して物陰で敵の攻撃を耐える。
攻撃は段々と勢いを増していき、彼を狙った集中砲火を浴びせる。
一方、その頃・・・。
他の仲間達が善戦する中螺旋状の岩柱に位置するシャリル・ビョルン達はと言うと。