いよいよ始まる決戦っ!?
鈍よりと重たい鉛色の曇り空の下を騎兵隊はトンネルに向かう。
彼等が峠を越えると、目的地のトンネルが見えてきた。
「見えてきたな・・・」
騎兵隊の隊長格の男はトンネルの入口の暗闇を見て呟いた。
馬は蹄の音を太鼓を叩くように響かせ疾走する。
騎兵隊の馬と馬車は、土煙を巻き上げながら前進していく。
その様、を遠くから岩穴に隠れて観察する者達が居た。
「行ったわね・・・」
「これからどうするんだ?」
馬を走らせる騎兵隊と馬車を、監視していた小柄な人物の呟きに対し。
大柄な人物が横から話掛ける。
「どうするもこうするも、私達も後を追わなきゃ・・・太陽の光りも今は曇りで弱まっているし、行くなら今しかないわ」
「それじゃあ行くんだな・・・あの方々の元へ俺達も加勢しに・・・」
謎の人物達はそう言うと。
岩穴から這い出て山肌を下りていく。
騎兵隊と馬車の後を追って。
一方、ジョージ達アンデッドのパーティーはと言うと。
長大なトンネル内の遺跡で騎兵隊を待ち構える。
「早く来ねぇかなーー」
「そんな早く来ないわよぉ~~」
ジョージは暇そうに、リコッタチーズ&カマンベールチーズを貪りながら呟く。
隣では、同様に暇そうな顔をしたミリカが、ソフトロースジャーキーを噛み千切る。
「餡パンと牛乳があれば、張り込みの刑事見たいな雰囲気に成るのにな」
「ジョージ、刑事ドラマと刑事コントの見すぎよ」
ジョージとミリカは下らない話を始める。
コレから直ぐに、激戦が始まるかも知れない同様に言うのに。
「見すぎって程でもないだろ? 小さい頃から刑事ドラマなんて、はぐれ刑事純情派とアブ刑事位しか見てないぞ」
「あんたが何を見ていたか何て、どうでも良いわよ」
ジョージとミリカは二人で暇潰しに、そう言い合って時間を潰す。
その近くの崖の側で、リュージンは胡座をかき。
目を瞑り、聞き耳を立てて、騎兵隊が来るのを警戒して待つ。
「暇だな~~『ゴクゴクゴクッ』」
「暇過ぎて眠いわぁーー『ゴクゴク』」
アレリオは立ち上がり、腕をグルグル回して骨の体をほぐし。
ニウは欠伸をして両手を天に向け。
遺跡の陰の階段で、二人してレモネードとオレンジジュースを飲んで騎兵隊を待つ。
「早く戦いが、始まって来んねえかな~~」
「始まったら、始まったで大変よねーー」
アレリオとニウ達は、愚痴を溢し。
再び、ジュースをゴクゴクと飲んで呑気に構えて居た。
「ふうーー来ないわね・・・・・・」
「シャリルさん、敵が来るまでは休んで居ようよ・・・?」
シャリルは、腰に右手を当て、左手を岩の柱に当てながら警戒する。
そんな、真面目な正確の彼女に対し。
後ろから、神経を逆撫でするような発言を言ってしまうビョルン。
「貴方ねぇ・・・少しは真面目に見張りを続けなさいっ!」
「はいぃっ! ・・すみませんっ!」
シャリルは、ビョルンの発言にぶちギレて怒鳴り。
怒られた彼は借りてきた猫の様に大人しく成り。
その後は、見張りを続けて騎兵隊が来るのを警戒した。
その数十分後・・・。
遂に、待ちに待った獲物である騎兵隊が見えた。
連中は、アンデッドが多数待ち構えて居るとは露知らず、ノコノコとやって来た。
「・・・来ましたっ! 皆様、騎兵隊ですぞっ!」
リュージンは目を開き、急に立ち上がると。
敵が来た事を、ジョージとミリカ達に伝えて、自らは階段を下りて物陰に隠れる。
「来たかっ!?」
「いよいよ戦いねっ!」
ジョージとミリカ達はそう言うと。
シャリルとビョルン達に向けて、手を振って騎兵隊が来た事を伝える。
「遂に来ましたね・・・」
「僕はニウとアレリオに合図を送りますよ」
シャリルは、岩柱の陰に隠れて奇襲の準備を整える。
ビョルンは、騎兵隊が襲撃地点まで、まもなく到着すると手を振り。
アレリオとニウ達ペアに伝える。
「んんーーあっ!? 大変だあっ! 敵が来たぜっ!」
「はひぃ~~! 騎兵隊が本当に到着したのぉ? 武器は武器はっ!」
ビョルンの合図を見た、アレリオはそう言って慌てふためき。
ニウも、慌てて煙玉と火焔瓶を用意する。
火焔瓶を投げつけようと構えるアレリオ。
煙玉を持ち、遺跡の壁に背中をくっ付けて待ち構えるニウ。
やがて、騎兵隊は馬の蹄の足音をトンネル内に響かせ。
ジョージ達アンデッドが、待ち構えているとは知らずにやって来る。