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戦いは面倒だから避けたいよ・・・


 この島の東端にある海岸のトンネルを目指すジョージ達アンデッドのパーティー。


 彼等は夜の闇の中をさ迷い歩く。


 時刻は深夜。

 月明かりは雲に隠れ。

 数時間前まで、明るく薄青色に照らされた夜空。

 それも、今は真っ暗闇の帳に包まれている。


 この場所の冷たい空気の辺りに時折。

 湿った風が、顔を撫でる様にどこからか吹いてきて混じり合い。

 本の少しだけ、温度を上げる。



「敵影は無しか・・・」


 ジョージ達は、あれから直ぐに移動した。

 ホーンエレファントやカブラル・シニッカ達の猟師コンビ。

 彼等と戦った、谷間の底から大分離れた距離を歩いていた。


 ジョージ達が今歩いている所は、谷間と東端のトンネルの中間程の場所だ。

 辺りには、無限にも思える程の茶色い土の地面が広がっているばかりで有った。



「敵の魔物や人間達は居ないな、スーパーミュータント、そしてドイツ兵も居ないよな? ローカストにヘルガスト、ゾンビゲーが懐かしいぜ・・・あっ!」


 ジョージは一人何気なく呟く中。

 とある事実に気がついたのであった、それは彼自信の事である。



「今・・・俺はゾンビだった・・・」


「何をブツブツ、ブツブツ一人でバカ言ってるのよ?」


 ジョージの呟いた一人言。

 それを、ずっと聞いていたミリカは五月蝿いと思い。

 遂に横から声を掛けたのであった。



「何でもないよ・・・!? それよりあれは?」


「はぁ? ・・・何かしらあれは!!」


 二人が視線を向ける遥か先。

 そこには、盛り上がったなだらかな丘。

 それと、その上に並ぶ三台の馬車。

 そして、二つの大きなテントが見えた。



「人間達のテントか・・・?」


「避けて通りましょうよっ!」


「リーダー殿、買い物でもしますか?この機会に前の時の様に、ワシらの食料と飲料を購入してはいかがですかな」


「そろそろ爆弾でも買っておきましょう、大型の魔物との戦いや沢山の人間との戦いで必用になる筈です」


 ジョージとミリカ達が避けて通ろうかと提案すると。

 リュージンとシャリル達は、食料や武器の購入を進める。



「そうだな、食料と爆弾の他にも、何か使えそうな物が有ったら、買って来てくれ」


「リーダー、お姉さま、あそこから戦力拡充を行う為に、人間達を騙して連れて来ましょうか?」


「リーダー殿、ミリカ殿、何人の人間を生け贄に連れて来ましょうか」


 ジョージは、そう二人に買い物を頼む。

 すると、シャリルとリュージン達は人間達を拉致。

 または、殺害して連れて来ましょうかと進言するが。



「いや・・・止めておこう、今は余計な波風を立てたくない、争いは避けて必用な物と情報だけを集めて来てくれ」


「そうよ、面倒な戦いはやりたくないわよ、私達は東端のトンネルにキャロルちゃんを迎えに行くのよ・・・ここで、いつまでも戦っては居られないわ」


 

 ジョージとミリカ達が、そう言うと。

 二人は素直に指示に従い、拉致の実行を中止する。



「そうですね・・・分かりました」


「では・・・ワシらは購入に行って参ります」


 丘の上の馬車へと、リュージンとシャリル達は、歩いて行く。

 勿論、彼女は人間の僧侶に変装しながら向かう。



 一方、テントでは大勢の人間達が就寝していた。

 その中で、少数の者は警備の為にと、馬車の上やテントの周囲に歩哨に立っていた。



「あん? ・・・誰か来るな、おいっ誰だっ名を名乗れ」


 警備に立っていた歩哨の一人が構えていたフリントロック銃を振り回し。

 暗闇に紛れて、丘の下から上がって来る謎の人影へと向ける。



「私達は敵ではありません、物資を購入したいだけです・・・旅の途中で、ここのテントを見つけてやって来ただけです」


「左様・・・ワシらは旅の者でワシは沁国から参りました学者でレイフォンと申す者でして、こちらの者はフレンシューヌ王国から参りましたレーヌと名を申しまして旅の僧侶に御座います」


 嘘を言って、人間達の歩哨を騙す、シャリルとリュージンの二人組み。


 そして、歩哨と二人のやり取りが聞こえたのか。

 馬車の幌の被されている荷台から、商人が下りて来る。



「いったい、どうしたのですかな?」


 身なりの良いスーツ姿のフェドーラ帽子を被った商人。

 彼は、アンデッド達二人と保哨の前に姿を表す。



「こんな夜更けにお客さんですか? 貴方らは魔物猟師、それとも傭兵かな・・・何れにしてもお客様なら歓迎しますよ」


「商人である貴方が、そう仰有るなら良いでしょう・・・さあ、二人ともこっちへ来るんだ」


 丘の上から商人と歩哨に言われた、二人。

 シャリルとリュージンだは、丘のなだらかな斜面を、ゆっくりと登って行く。

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