話を聞いて見れば・・・
「あんたらが目指している渓谷は崖崩れで通れない・・・だから更に東のトンネルを通って港町まで行くそうだ」
「そこには、どうやって行けば良い?」
カブラルは、ジョージ達が目指す騎兵隊の向かう行き先を詳しく教える。
そして、行き方をジョージが聞くとカブラルは。
「渓谷のある山脈の石橋へと出る、交通路から東の端へ行けば分かる、海岸沿いの崖の道にトンネルは有るから、そこへ行けば良い」
「そうか、有難うな、じゃあ早速死んでくれよっ!」
ジョージは、腰の鞘からショートソードを抜き取り。
シニッカの胸を押さえ込んでいる足を退け。
カブラルに、ゆっくりと重たい足取りで向かう。
「止めろっ! 殺さないでくれえ」
「殺されるのが嫌なの? じゃあ餌として、シニッカちゃんに食べられてねぇ~~」
殺さないでくれと懇願するカブラルに対し。
無情にも、ミリカはからかいながらそう告げる。
「ジョージ? 勝手に、カブラルさんを殺さないでねぇ~~さぁーー? シニッカちゃ~~ん、ご飯の時間ですよぉーー♥」
ミリカはそう言うやいなや、腐肉の塊化したシニッカの体を立たせ。
カブラルの方へと向かわせる。
「おい、話しが違うぞっ!!」
「あら? 話しってなぁにかな~~?」
カブラルは抗議するが。
ミリカはそう言って、人差し指と顔を天に向けて惚ける。
「餌あぁァァァ『ガブリッ』・・・」
「痛えぇぇぇ~~~~~~このっ! 嘘つき共めぇーーーー!?」
シニッカに体の彼方此方を噛み千切られ、断末魔の絶叫を上げるカブラル。
彼に、ミリカは一言無邪気な笑みを浮かべながら言う。
「ふふっ? 幸せそうね、女性に襲って貰えるなんて色男さん、まぁ性的になら、もっと良かったわねぇ~~♥」
ミリカは、生きたまま御馳走としてシニッカに食べらる、カブラルを見下す。
そして、彼はもう既に何も返事を返す事は出来なく成っていた。
「くそ・・・ぅ・・・・・・・・・」
そう小さい声で一言発すると。
カブラルは何も喋らなく成り、呆気なく事切れたのであった。
「死んだか・・・」
「死んだわね・・・」
ジョージとミリカ達は、短くそう言う。
「じゃあ変えるか?」
「変えましょう」
ジョージとミリカ達は、スキルを使い。
カブラルとシニッカ達を、アンデッドに変えようと呪文を口に出して唱える。
「死体変化」
「死体変化」
ジョージとミリカ達が、カブラルとシニッカ達に人差し指を指し。
スキル、死体変化を唱えると、彼等の体に変化が表れ始めた。
カブラルの体は、卵型の緑色に光殻に包まれていき。
シニッカもまた、紅い宝玉に包まれる。
「これで新たな仲間が増えるな・・・」
「私達のパーティーも戦力アップね」
ジョージとミリカ達は殻に包まれた二人を見て嬉しそうに喜ぶのだが。
その後はと言うと。
「二時間立ったな・・・」
「まだ終わらないのね・・・」
ジョージとミリカ達は呟く。
あの後幾ら時間が立っても、カブラルもシニッカも殻が割れず。
全然、中から姿を現さないのだ。
「リーダー殿、ミリカ殿、もしかしたら? 御二人のスキルはまだスキル自体の使い方に馴れておらず、スキルが不完全なままなのでは・・・?」
リュージンは、困り果てるジョージとミリカ達へ。
もしかしたらと、スキルの事を推測して語る。
「このまま待って居ても日が昇り、ワシ等も、こ奴らも灰に・・・そうなる前に御決断を・・・」
「分かった、穴を掘ってコイツらも入れてやろう、皆穴を掘って今日は寝よう」
リュージンに、言われたジョージは、皆に穴を掘る様に指示を出し。
自らも穴を掘り始める。
「ダークボール」
暗黒球を地面に放ち穴を開けていくジョージ。
その穴をある程度、掘ると。
仲間達と共に横穴を掘り。
それぞれが眠るスペースを作り。
そこに、殻に包まれたままのカブラルとシニッカ達を運び入れる。
「ぐうっ! 重たいなっ!」
「そうですね、リーダー」
「こやつらも早うアンデッドに変わって欲しいもんだわいっ」
「みんな、そう言わないで、ちゃんと運ばなきゃ」
ジョージとアレリオ達は、カブラルの入っている緑色の卵型の殻を転がし。
リュージンとビョルン達は、シニッカの紅い宝玉を転がして、穴の中に入れる。
「みんな、お疲れさまっ!」
ミリカは、玉転がしと言う重労働を行ったアンデッドの男連中を労い。
笑顔で、感謝の意を示した。
「お疲れさまの言葉はいらないから、お前も疲れているだろミリカ・・・だから寝ろ皆も今日は良く働いてくれたな、んじゃ? 穴に入って寝るぞ」
ジョージは穴の奥まで行き、ミニテントの中で眠る。
ミリカや他の仲間達も穴をに入って就寝し。
次の日の晩方までの束の間の休息を取った。