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餌やり・・・


「何か使える物はないか?」


「こいつの袋の中から地図が見つかりました」


 ジョージが、そう言うと。

 カブラルの懐から、アレリオは夢の島の地図を見つけ取り出した。



「俺達のと変わらないな、他にはないか?」


「他には食い掛けのチーズと、ベーコンと、小さなワインの瓶が一本」


 ジョージとアレリオ達は会話を続けるのだが。

 カブラルは大した物は持ってなかった。



「なら情報を聞き出すか・・・おいカブラルって名前だったよな? お前は騎兵隊を知らないか」


 ジョージが騎兵隊の事を知らないかと問い質すと。

 カブラルは騎兵隊の事を話し始める。



「騎兵隊? ・・・騎兵隊って、この間アンデッドに襲撃されたキャンプ地を救った連中か? まさかお前らがっ!?」


「ああ、そうだ、俺達がキャンプ地襲撃したアンデッドのパーティーだよ・・・」


 驚き大きな声を上げるカブラルに対し。

 そのアンデッドは、自分達だとジョージは告げる。



「キャンプ地を襲撃した時は俺とミリカ、そこのスケルトンのアレリオにシャリル、そして、お前の横にいるリュージンの五人だったんだが・・・キャンプ地に騎兵隊が救援として到着してな、その時は負けてしまったが敗北を反省して仲間を増やして騎兵隊を追ってるんだが」


「何の為に? 復讐の為か・・・?」


 キャンプ地での戦いを語るジョージに対し。

 カブラルは、何の為にそんな事をしたのかと問うが。



「いや、実は少女を追っていてな・・・そいつはキャロルって言ってリュージンの弟子でな、どうやら騎兵隊に今は居るようだし、せっかく師匠がアンデッドに成ったんだからキャロルもアンデッドに変えて上げようかなと」


「イカれてやがるぜ・・・」


 ジョージの話しを黙って大人しく聞いていたカブラル。

 彼は、話しが終わると悪態をついたが。



「おいっ!」


『ガッ』


「うぐっ!?」


 横から突然、ぶちギレたビョルンが右足を前に繰り出し。

 カブラルは、顔面を蹴られた。



「リーダーに生意気な事を言うなっ」


「ビョルン、落ち着け・・・さっき手荒な事はするなと言っただろう・・・」


(・・・コイツらやり過ぎだろう・・・)


 ジョージは捕らえた人間のカブラル一人に対し。

 拷問を加えようとする三人にそう思った。



「はい、リーダー、出過ぎた真似をして申し訳有りませんでした」


「今度からは危害は加えないでくれよ、まだ効きたい事が有るんだからな」


 反省するビョルンに対して、ジョージはそう言うと。

 また、カブラルに話しをする。



「すまないな・・・仲間が暴力を加えてしまって、でっ? 話しの続き何だが、俺達は東の渓谷を目指して旅を続けているんだ・・・勿論、騎兵隊に居るであろうキャロルをアンデッドに変え!? ・・・」


「うぐゥゥ・・・カ・・・ブら? ル・・・」


 ジョージの話しの途中で、横からシニッカの声が聞こえてきた。

 だが、彼女の声は呂律が回らず、低い声で、どこか様子が変であった。



「シニッカ、おいっ! どうしたっ!? 何をされたって言うんだ?」


 カブラルは、シニッカの方を向いて言うが。

 彼女は片目が白眼で、動きがぎこちなく。

 歩き方は、ふらふらとしていて、彼に段々近寄って来る。



「シニッカッ! まさか、アンデッドに?」


「そうよ、今は腐肉の塊だけど、貴方を食べれば、シニッカちゃんは吸血鬼かゾンビに進化するかもね」


 アンデッド化したシニッカを見て驚くカブラルに対し。

 ミリカは、傍らにシャリルとニウ達を引き連れて現れ、告げた。



「さぁ? シニッカさん、貴女の相棒が餌として食べて欲しいと言っておりますよ」


「うんうんっ! そう言っているわねアタシにもそう聞こえるもんっ!」


 シャリルとニウ達も、シニッカに、カブラルを餌として食べさせようとする。



「カブ? ラ・・・ルッ! 食べ・・・タ・・・ィ~~」


「やっ! やめろぉーー!? 止めてくれ~~!! おい、リーダーさんっ! 話しが有るんだっ!」


「何だ、話しって?」


 カブラルは、シニッカに食べられたくない。

 なので、ジョージに話しが有ると言って取引を持ち掛けた。



「あんた等は騎兵隊の少女を目指して渓谷に行くって話をしてたなっ! シニッカを止めてくれたら続きを話してやる、だから早くシニッカをっ!」


「ミリカ、止めてやれ」


「嫌よぉっ! 話しって食べられる時間を先伸ばしにするだけじゃない、それにサクッと殺して仲間アンデッドに変えてから、話して貰った方が嘘はつかないし良いじゃない」


 カブラルに必死に説得されたジョージ。

 彼、ミリカに止めろと頼むが、彼女は頼みを断った。



「まっ! 待ってくれっ!」


「おーーイーー? しそゥ~~・・・カ・・・ブれっ! ル」


 どうにか、縄をほどこうと体を揺らして暴れるカブラル。

 腐肉の塊と果したシニッカは、彼の肉を咀嚼しようと迫る。



「ああぁ~~たったた頼むっ! 渓谷は今は崖崩れを起こして塞がっている、だから騎兵隊はそこを」


 シニッカの餌には成りたくは無いカブラルが、必死の形相で頼み込むとジョージは。



「そこを? 何だっ!」


「シニッカを止めてくれぇ~~~~」


 カブラルの話の内容が聞きたいジョージが彼に問い掛ける。


 カブラルは情報を喋る前に、シニッカを止めてくれと泣き叫ぶ。



「分かった、止めてやる」


 ジョージはカブラルの頼みを聞き。

 シニッカの体を、後ろからコートの襟首を掴むと地面に背中から押し倒し。

 そのまま、足をシニッカの胸の上に置いて動きを止めた。



「助かったぜ~~」


「良いから話せ」


 落ち着いて、安堵の溜め息を吐くカブラルに対し。

 話の内容が気になる、ジョージはそう言った。

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