倒したぜ、後は・・・
「あぐっ!?」
『バタ』
前のめりに倒れた、シニッカは胸から血を流して、灰色の地面を真っ赤に染める。
「シニッカッ!!」
「お黙りっ! うーーんと、『ペロペロッ♥️』」
シニッカを心配した、カブラルは思わず叫んだ。
カエルのような姿勢で、手足を縛られたまま倒れている彼女を見て、咄嗟に声が出たのだ。
だが、そんな彼を前にして、ミリカは自らのレイピアを顔の前で横にして見る。
銀色の切っ先は、紅い血で濡れていたが彼女は、その表面を舐めった。
「く・・・シニッカ?」
(・・・クソッ! あの女ヴァンパイアめっ! 絶対に殺してやるっ! ・・・)
相変わらず、心配したままのカブラルであるが、今の彼には何も出来ない。
「さあ~~て、彼女もアンデッド化しようかしら~~」
「その前に、飯でも食わねーーか?」
ミリカの後ろから、ジョージが現れた。
彼は、猫背に成りながら腹を擦っている。
「はあ? この大事な時に腹が減ったですってぇ~~」
『グゥ~~』
と、ミリカも怒ったは良いが自らも何故か、お腹の音が鳴ってしまった。
「え? なんで、鳴るのよ~~」
「アレだ、さっきの戦いで体力を擦り減らしたからじゃあないか?」
「お姉さま、リーダー・・・交易所から持ってきた食料品が幾つか有りますから、一口どうです?」
「イチジクやレーズン、リンゴ何かのドライフルーツが各種ですが」
恥ずかしそうに、両頬に手を当てつつ真っ赤な顔を隠す、ミリカ。
彼女が腹を空かせた理由を、両腕を組んで考察する、ジョージ。
そこへ、シャリルとアレリオ達が並んで、ドライフルーツを入れた幾つかの小袋を持ってきた。
「おっ? それ、食うわ」
「有り難うね、二人ともっ♥️」
ジョージとミリカ達は、礼を言いながら二人に近づく。
そして、二人から小袋を受け取ると、その中に手を突っ込んだ。
「バクバクモグモグ」
「はむっ! あ♥️」
イチゴやレーズン等のドライフルーツが口に入る度、ジョージとミリカ達は幸福を感じる。
「んで、腹も膨れたし次は何するべよ?」
「そりゃあ~~? 何しようかしらね?」
ジョージとミリカ達は、次の行動を考えておらず、未定のままだった。
いや、お前ら・・・早くキャロルを追わなきゃ物語が進まないだろう。
「 (|||´Д`) はぁ~~?」
と、作者も読者も思っているのだが、肝心の二人は腹が膨れた事で気が揺るんでいた。
「あ? そうだ、コイツ等から戦利品を漁ろうか」
ジョージは、満たされた腹を擦りながら呟く。
ようやく、頭が回り始めたのか彼はアンデッドらしい事を思いついた。