捕まえた人間達は?
リュージンは風魔法を二人の人間に向けて連続で放つ。
風魔法は二人の人間を即座に殺さんと飛んでいく。
「さあっ! ワシの魔法で永眠するが良いっ! エアーストーム、エアーストーム」
放たれた風魔法により、負傷する二人の人間達。
大柄な褐色肌の男は左足を。
明るい金髪の小柄な女性は、右腕に風魔法が直撃してしまう。
「うぐっ!?」
「これっ!? じゃあ・・・」
大柄な褐色肌の男は、左足を押さえて走れなくなり。
明るい金髪の小柄な女性の方も、弓を射てなく成る。
「ここまでか・・・?」
「諦めないで、カブラル」
カブラルと呼ばれた男は、ラッパ銃に火薬を入れて弾を装填し始める。
明るい金髪の小柄な女性は、左手で小型ナイフを構えた。
彼女は、カブラルを守る様にジョージ達アンデッドの前に立ちはだかるが。
「金髪ちゃんたら~~自らの体を張ってまで仲間を守る何て、絶対に私達の仲間にして上げたくなるじゃない~~」
ミリカは明るい金髪の小柄な女性に対し。
目を細めて、獲物である蛙を前にした蛇のような笑みを浮かべた。
「さて・・・あの女と後ろの男に集中攻撃だっ!」
ジョージが指示を出すと、仲間達は全員で一気に襲い掛かる。
突然の一斉攻撃に、二人の人間は抵抗する間も無く取り押さえられた。
褐色肌の大柄な男。
彼は、ラッパ銃を撃つ前に先手を取られた。
吟遊詩人のアンデッドに何発もの音波魔法を体に当てられたのだ。
そうして動きを止められてしまった。
その間に近寄ってきた、沁国人らしき人物。
彼から、首筋に冷たく、鈍い光を放つ長柄武器の刃を突き立てられる。
明るい金髪の小柄な女性。
彼女は正面から、かかってきた、アスア系の女性により。
脇腹と肩に、打撃を打ち込まれた。
次いで、小型ナイフを持つ左手も叩かれて、それも落としてしまう。
更に追撃され、首にラリアットを喰らって地面に倒れ込んでしまった。
「俺達が行く前に皆片付けてくれたな」
「アレリオ、そんな事言って無いで、私達もあいつらを拘束しなければ成らないわよ」
アレリオとシャリル達は、捕まえた人間達に近づいて行く。
二人は、両手を前にリュージンやビョルンを縛った時に使った縄で彼等を縛る。
「リーダーどうしますか? この二人の処分は・・・」
「アレリオ、今ミリカと相談して決めるから待っていてくれ、ミリカ・・・コイツらに新しいスキルを試して見るか?」
アレリオがそう聞くと。
ジョージはスキルを使用して、二人の人間達のアンデッド化を提案する。
「うーーん、それも良いんだけどーー?」
ミリカは唇に人差し指を当てて上目で夜空を見上げると。
パッと何かを思い付いたかのように両手を叩いた。
「貴方達にアンデッド化させる前に良い物を上げるっ、シャリルちゃん(アレ)を持ってきて頂~~戴っ!」
「はいっ! 畏まりました、お姉さま只今ご用意致します」
ミリカに、アレを持って来る様に頼まれたシャリル。
彼女は走って寄って来て、怪しい薬の商人から買い取った薬箱をミリカに渡す。
「お姉さま、この薬は調べてみた所、一応は合法な医薬品で有りますが・・・投薬量を増やしたり、使い方によっては麻薬と同様の効能をもたらす危険な薬品の様です」
シャリルは、ミリカに怪しい薬の商人から買い取った薬品の効能を説明する。
「先ずはこの薬箱の中で一番左の薬、これはモルヒネですね、その隣はコデイン、次はオキシコドン、これ等は鎮痛剤として通常は使われていますね、後の右端のは向精神薬の様ですね」
シャリルは説明し終えると。
ミリカに薬箱を渡し、頭を恭しく下げて一歩後ろへ下がる。
「成る程ね・・・じゃあ早速試しましょうか」
ニコニコと笑みを浮かべてミリカは二人の人間達に近づいて行く。
そして、彼女は地面に落ちている小型ナイフを拾い上げる。
彼女は、木製の柄に彫られた見事な彫刻に目を向ける。
「凄い綺麗ね・・・」
「それを返せっ! アンデッドッ!!」
小型ナイフの彫刻に目を奪われたミリカ。
彼女に、明るい金髪の小柄な女性は大きな声で叫んだ。
「はいはいっ! 返しますよ? 貴女をアンデッドにかえた後にねっ?」
ニコっと笑うミリカ。
彼女は、手に持つ小型ナイフを、アレリオやシャリル達に人間達に向けた。