象さん強いっ!? 弱点はどこっ?
「パオーーーーーーーーン」
「クソッ! 魔法が効いてないな、あいつはどうすれば倒せるんだ?」
ホーンエレファントに当たった、ミリカ達の魔法攻撃。
それは、分厚い皮膚にかすり傷程度のダメージしか与えられなかった。
「リーダー、諦めずに攻撃を続けましょう」
「ダメージを何度も与え続ければきっと、アタシ達は勝てますよっ!」
アレリオとニウ達は、ジョージより先に走る速度を上げ。
ホーンエレファントの前足に格闘攻撃を仕掛ける。
「図体の大きい奴めっ! 邪魔なんだよっ!」
「あんた、デカ過ぎるのよっ!」
アレリオは右から。
ニウは左から。
それぞれ、ホーンエレファントの前足に攻撃を仕掛けて行く。
「うらあーー!!」
「はぁっ」
アレリオは、前足をモンタンテで三度斬り付ける。
縦に、横に、斜めに、モンタンテを振るうが。
ホーンエレファントは、びくともしない。
一方、ニウはダンを振り上げ。
そこから、ホーンエレファントの前足の指先を目掛け。
思いっきりダンを振り下ろし、打撃を打ち込むが。
やはり、奴は微動だにしなかった。
「やっぱり効かないか?」
ジョージは、走りながら暗黒魔法を、ホーンエレファントに狙いを定めて放つ。
「ダークボール、ダークボール」
「パオーーーーーーーー」
暗黒魔法ダークボールは、ホーンエレファントの胸元に当たると。
本の少しは、ダメージが効いた様であった。
暗黒魔法が当たった部分は瘡蓋を取った跡のように少量だが血が流れ出ていた。
「やっと、少しはダメージが効いたのか?」
ジョージは、そう呟きながら走り続ける。
一方、後方で援護を任されているミリカ達。
彼女達は戦闘を眺め。
彼の魔法攻撃が、ホーンエレファントの分厚い皮膚を傷付けたのを確認すると。
負傷した部分を狙い、再び魔法を放つ。
「シャリルちゃんっ! ジョージが少しだけ象さんを傷付けたわよっ! ・・・私達もあそこを狙って再び魔法を放つわよ」
「はいっ! お姉さま、リーダーが開いた傷穴を、私達二人がもっと抉じ開けて上げましょねっ!」
ジョージの暗黒魔法が当たり。
傷付けられた部分が痒くて暴れる、ホーンエレファント。
奴に向けて、ミリカとシャリル達は魔法を放つ。
「フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール」
「サンダーショット、サンダーショット」
二人が連続で放った魔法は、ホーンエレファントに向かっていく。
それは、暴れて体を揺らす、奴の負傷した胸元部分に当たら無かった。
だが、その代わり、偶然にも奴の左目にミリカの火炎魔法が命中し。
奴は、あまりの痛みに苦しみながら、叫び声を上げる。
「パオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!?」
遠くまで響き渡るホーンエレファントの叫び声。
それを聞いた、ジョージ達は五月蝿さのあまり耳を塞ぐ。
「ぐぅーー五月蝿いーー」
ジョージを始め。
アンデッドのパーティーメンバーは、頭の中まで響き渡り。
脳を揺らす、ホーンエレファントの叫び声に苦しむが。
「パオーーーーーーーー!?」
突然、何故かは誰にも分からなかったが。
急にらホーンエレファントの周囲に響き渡る程の大きな叫び声は止まる。
「ふぅ~~やっと象が泣き止んだかのぉ~?」
「あたたた、突然に大きな声を出さないでくれよ」
リュージンは、疲れきったかの様に溜め息を吐き。
ビョルンは痛みをこらえ、頭を左手で押さえる。
それは、リュージンとビョルン達が二人で左右から魔法で攻撃し。
ホーンエレファントの胸元の負傷した部分を狙って、動きを止めたからであった。
「パオオォーーーーーーーーーーーー」
痛みと痒みで、ホーンエレファントは苦しみ、完全に怒り狂い。
今までよりも、力強く暴れて巨体を揺らし。
大きな足で地団駄を踏み、ジョージ達を潰さんとする。
「危ないっ! 皆気を付けろ」
「ニウ、早く離れるぞ」
「分かっているわよっ! アレリオ」
怒り狂って暴れる、ホーンエレファント。
奴から離れようと。
ジョージ、アレリオ、ニウ達は走り出す。
「パオォーーーーーーーーーーー」
更に、長い鼻を左右に振り回し岩壁を崩したり。
ジョージ達アンデッドを薙ぎ倒さんと。
地面に擦り付けるように長い鼻を振り回す。
「うわっ! 巻き込まれるぞっ! 早く走るんだっ!」
「追い付かれる~~~~~~!!」
「あーーーーヤバイぃーーーー」
ジョージ、アレリオ、ニウ達は全力を出し。
迫り来る、ホーンエレファントの鼻から逃げようと、必死の表情で走るが。
ホーンエレファントの二段攻撃と地団駄を踏んだ事による地響き。
激しく揺れる地面に、ジョージ達は上手く走る事が出来ない。
更に、奴が左右に振り回した長い鼻が当たって岩石が崩れてきた。
リュージンとビョルン達は、この落石に巻き込まれてしまう。
「うっ!?、危ないわいっ」
「岩が落ちてくるっ!?」
ホーンエレファントの地団駄で地面が揺れる中。
リュージンとビョルン達は谷の上部から降り注ぐ落石を避けようとする。
リュージンは、飛びはねながら回避する。
ビョルンは、落ちてくる落石が自らに当たらない内に走り出す。
「くぅっ! ・・・揺れがっ!?、これじゃあっ! ジョージ達を魔法で援護出来ない!」
「お姉さまっ! とにかく私達は魔法を放ちリーダー達から象の気をこちらに反らしましょう」
後方で、援護を行って居たミリカとシャリル達。
二人は、ホーンエレファントの地団駄による攻撃と妨害。
それにより、魔法攻撃の正確な狙いを定められない、ジョージ達を助けようと。
奴の注意を反らす、その為魔法を放った。