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大きな象さん?


「パオーーーーーーーーーーン」


 巨大な岩石の正体は何と狂暴な巨像、ホーンエレファントだった。

 その姿を見た、アンデッド達は驚きの余り目を見開いて体が固まる。



「おいっ! 皆隠れろっ!」


 ジョージが叫んで、仲間達に指示を出すと。

 固まっていたアンデッド仲間達は皆、谷の端の岩壁の隙間に隠れる。


 ホーンエレファントは此方に尻を向けていたのだ。

 立ち上がり、尻尾をブンブンと振り回し。

 額から生える二本の猛牛の様な長い角。

 マンモスの様な長い牙を持つ顔。

 その二つを、振り向けるが。

 岩の隙間に隠れているジョージ達には気づかず。

 顔と体を前方に向き直すと、何処かへと行ってしまう。



『ドシン、ドシン、ドシン』


 ホーンエレファントが、一歩づつ歩く度。

 ドシンと地震の様な轟音を響かせ、谷の向こう側へと歩いて行く。


 ホーンエレファントが居なくなり。

 ジョージ達アンデッドのパーティーは、谷の間を通る事が出来るようになった。


 さっきまで、ホーンエレファントが居た場所。

 そこから谷の向こう側は、奴が三体は入れそうな程広かった。



「ほっ? これで邪魔者は居なくなったな」


「はあ~~危なかったわね~~」


 ジョージとミリカは溜め息を吐いて胸を撫で下ろし。

 身体から緊張を解きほぐして言った。



「あいつ、デカかったなーー体長20メートルは有ったな」


「リーダー、どうしますか? あいつの向かった方角は東、我々の目的も東に行く事・・・」


 独り言を呟く、ジョージに対し。

 シャリルが、次の行動指示を下す様に求める。



「リーダー、このまま進みましょう、ここで引き返しても仕方が有りませんよ」


「そうですよぉーー? リーダー今から戻ったら面倒くさいだけですよ」


 アレリオとニウ達は、このまま進みましょう。

 と言って、前進をリーダーであるジョージに勧める。



「ワシは反対ですじゃ、あいつはとても危険な強敵・・・戦えば只では済みますまい」


「僕も反対です、あんなデカい敵と戦えう何て嫌ですよ」


 リュージンとビョルン達は、強敵ホーンエレファントとの戦いを避けたい。

 と、反対の意見を言った。



「って・・・皆は言ってるけどさぁ~~、どうするの? ジョージ」


「勿論行くぞ、ここで止まっているよりはマシだしな・・・だがリュージンとビョルンの意見も間違っていないからな、奴が見えたら速攻で逃げるぞ」


 ミリカに行くか、行かないのか、どうするのか。

 と、問われたジョージは谷の奥へ進む事を決意する。



「リーダーがそう仰有られるなら、ワシは反対しませんじゃ」


「僕も、リーダーがそうと決めたなら反対はしません」


 リーダーであるジョージの決定に素直に従い。

 リュージンとビョルン達は、反対意見を下げた。



「なら行くか・・・」


 ジョージが呟くと、アンデッドのパーティーは東を目指して歩いて行く。

 ホーンエレファントの歩いて行った谷の奥へと。


 谷の奥へ、奥へ、と進むジョージ達。

 その前に火を消された焚き火後と、壊されたテントの残骸が見えた。



「何だろうな、アレ?」


「行って見ましょうっ!」


 ジョージとミリカ達アンデッドのパーティー。

 彼等は、焚き火後とテントの残骸に近づいていく。


 そこには鍋と小さな薬箱他には果物や酒が転がっていた。

 ジョージ達は鍋の中身はらシチューかスープだと思っていたが。

 中身は、謎の茶色い汁が入っていた。



「随分良い匂いがするな、この茶色い汁は?・・・」


「本当ね・・・ああっ? と~~ってもぉ良い香りィーー?」


 ジョージは、怪しみながら汁の匂いを嗅いだが。

 ミリカは茶色い汁に顔を近づけ。

 目をとろ~~んとさせて、涎を垂らして茶色い汁を飲もうとするが。



「あっ! お姉さまの言う通りーー凄く良い感じの香りがぁあ~~」


「この匂いはっ!? ・・・皆さんっ! いけません、危険ですっ!」


 ニウも、そう言いながら良い匂いを発する鍋に近づくが。

 シャリルは匂いの危険性に気づくと、急いで皆を止めた。



「鍋の中身は麻薬汁ですっ、飲むとどんな中毒症状を起こすか分かりません」


 シャリルは鍋の中身が危険性の有る麻薬汁で有ることを見抜いた。


 彼女は、多少薬学に通じている。

 それで、鍋に麻薬が存在する事を匂いを嗅いだだけで見抜けたのだ。



(・・・麻薬汁・・・何故こんな所に・・・こんな物が? ・・・)


「シャル・・・何故こんな所に麻薬汁が有ったんだ?」


 ジョージが頸を傾げて何故と思っていると。

 同じ事を考えたアレリオが、シャリルに質問したが。



「アレリオ、それはたぶん商人か傭兵が麻薬を吸う為にここで野宿を始めて麻薬汁まで作り始めた所をホーンエレファントが、やって来てしまったので慌てて逃げ出したんでしょうね、きっと・・・」


「なら、その人間達は? いったい、どこへ行ってしまったって言うんだ?」


 シャリルは、そう詳しく丁寧に説明すると。

 アレリオは、作った人間達は何処へ行ったのだと言って辺りを見回した。



「あんたらーー」


 その時、谷の左側の岩壁の方から誰か人間の大きな叫び声が聞こえて来た。

 そして、アンデッド仲間達は声の方に目を向けた。

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