夜空を眺めて出発だ
「今夜の夜空は綺麗だな・・・」
「そうねぇ・・・満天の星空ね」
ジョージは、光輝く星空を眺め不意に呟くと。
ミリカも顔を上げ、星空を眺めつつ言った。
「前よりも星空が綺麗ね・・・あの星にも人や魔物が住んで居るのかな・・・!」
「きっと居るんだろうな、あの星の幾つかには色んな奴等が楽しく暮らしてるんだろうな~~」
夜空を子供の様なキラキラとした目で見上げるミリカの問い掛けに対し。
ジョージはそう呟いて答える。
「さあってと・・・もう行きますかぁ」
「もう行くの? まだ少しだけ星を眺めて居ても・・・」
ジョージはそう言って歩き出すと。
ミリカは後少しだけでも綺麗な星空を眺めて居たいと言い。
彼を引き留めようとした。
「ミリカ、俺だってまだまだ星空を眺めて居たいが、早くしないと魔法少女に逃げられちゃうからな、コンビニの季節限定お菓子見たいになっ・・」
「コンビニの限定お菓子ってあんた・・・せっかくのムードがぶち壊しじゃない」
ジョージの無神経な発言に対し。
ミリカは物凄く怒り、顔を真っ赤にしてブチきれ出したが。
「まあ怒っても、しょうがないわね・・・ジョージの言う通り、キャロルちゃんに逃げられちゃったら元も子もないわよね」
「リーダー殿、ミリカ殿、出発ですかな?」
「そうだっ! リュージン行こうキャロルを仲間にする為に、皆出発だっ!」
ミリカもそう言うと歩き出した。
そして、出発かとリュージン聞くと。
ジョージはそうだと答え、みんなに出発だと告げる。
ジョージ達アンデッドのパーティーは東を目指して、明るく照らされる星空の下。
それとは、対称的な暗闇と静寂に包まれる灰色の荒野を歩く。
どこまでも続く灰色の荒野。
その地面の上を、ひたすらに歩くアンデッド達。
やがて彼等の前に、壁の様な崖が見えてきた。
近づくて行くと、それは巨大な崖で、よく見ると谷の入口が有った。
「シャリル、リュージン、これが渓谷への入口なのか?」
「いいえ、リーダー地図によれば渓谷はまだ大分先の筈です」
「左様ですじゃ・・・本物の渓谷はこの崖よりも高い筈ですじゃ」
此処が目的地の入口かとのジョージの問い。
それに、シャリルとリュージン達は、渓谷はまだ先の方だと答えた。
「渓谷は、この場所よりも遥かに遠い東にあるのか?」
「リーダー、そこまでは遠く無いかと・・・この崖を越えると恐らくは渓谷にたどり着けるでしょう」
目的地の渓谷の位置と距離が遠い場所なのかと気になるジョージの問い。
それに、シャリルは崖を越えると直ぐ側ですと答えた。
「そうか・・・なら、入口を進むことにしますか・・・」
「そうね、ジョージ行きますか」
ジョージとミリカ達は、仲間達を連れ。
崖の真ん中に開いた、谷の入口に進んでいった。
「しっかし・・・魔物も何も居ないな?」
「アレリオ、警戒を怠らないでね・・・敵はどこから来るか分からないんだから」
辺りをキョロキョロと見回す、アレリオに対し。
シャリルは、警戒を怠らないように注意を促し、自らも周囲を良く観察した。
「分かってるよシャル・・・警戒はちゃんとしてるよ・・・」
アレリオは、隣を歩くシャリルの方を一瞬見つめて小さな声で呟くと。
再び、周囲をキョロキョロと見回した。
「でも、本当に何も居ないのね・・・魔物やネズミ一匹居ないなんて、この場所は凄くそう言う魔物が居そうなのにね」
ニウは、獣や虫系の魔物が崖や地面に居ない事を考え。
両腕を組み首を傾げて、とても不思議がった。
「弱い魔物を食べる大きな魔物か? それとも、リザードマン見たいに賢い魔物が獲物として弱い魔物を狩っていて、今も僕らを襲をうと、どこかその辺の影から見ているんじゃ」
「だったら面倒な事に成りそうね、リザードマン達見たいに連携取られたりしたら長い戦闘になるわよ」
ビョルンは、そう言いつつ警戒し。
ニウは、魔物との戦闘が長引き此方が疲弊するで有ろう事を心配する。
やがて、七人のアンデッド達は谷の行き止まりまで来てしまった。
谷の間に、隙間なく灰色の巨大な岩石が挟まっており。
ジョージ達は、これ以上は進めないだろうと判断した。
「行き止まりか・・・」
「リーダー? どうやら、その様ですね」
ジョージとアレリオは立ち止まり。
邪魔くさい、巨大な灰色の岩石を見上げて一言呟いた。
「パオーーーーーーン」
その時、突然巨大な岩石が動き出した。
辺りは地震が起きたようにグラグラと揺れ始めた。