洞窟からの脱出
「リーダー、リーダーー、起きてください」
「リーダー起きてくださいよ」
ビョルンとニウは二人して、ぐっすりと眠っているジョージを起こそうと体を揺する。
「はあ・・・あ・・・あーーーーーー」
「うるっさいっ! 欠伸ね~~~~」
ジョージは二人に起こされると、気だるそうに大きな欠伸をする。
その側で気持ち良さそうに眠っていたミリカも、大きな欠伸の音で目を覚ます。
「えっ何っ? もう交代の時間?」
ミリカは起き上がると。
ビョルンとニウ達の姿が寝ぼけ眼に入ったので、そう言って彼女も欠伸をする。
「はああぁぁーー~~・・・」
ミリカは欠伸し終えると立ち上がり。
身体を解すために、手足をブラブラと動かして体操を始める。
「よっよっよっと? 一、二、一、二」
「ミリカ、お前は体はだるく無いのか?」
軽やかに体を動かし体操を行うミリカ。
彼女に対して、ジョージはまだ眠くて気だるそうな声で質問するが。
「は? ジョージ、ダルいなんて言って居ると、キャロルちゃんに港町まで逃げられちゃうわよ」
「そうだな、掘っ立て安土城も昨日陥落させたし、次は魔法少女を悪堕ちさせるか」
ミリカに言われた、ジョージは立ち上がり、再び欠伸をする。
「ふあ~~~~~~ーー!!」
欠伸をしたジョージは、ミリカと共に見張りを行うため。
ビョルンとニウ達と、交代する。
「本当あんたは、欠伸の五月蝿い男ね」
「ああっ? しゃーねーだろうっ・・・ゾンビになっても出るもんは出るんだから」
ミリカが迷惑そうな顔を浮かべながら文句を言うが。
ジョージは出る物は出ると文句を言い返す。
「では、僕たちはこれで」
「リーダー、お姉さま、お休みなさい」
ビョルンとニウ等は、文句を言い合う、ジョージとミリカ達より先に寝てしまった。
「さてと・・・二人も寝てしまったしこれからどうするの? 子作りでもするっ?」
「アホかっ! んな事、誰がするかっ!」
サラッと飛んでもない冗談を言ってニヤニヤ笑うミリカと。
子作りを即効で拒否する、ジョージ。
「え~~でも、ジョージと凄っくしたいなぁ~~♥」
「冗談はよせっ! アホ女っ! いや、アホガール、俺はあっ君じゃないぞ」
紅く妖艶な唇に右手の人差し指を当てて、ミリカはワザとらしくジョージを誘惑する。
だが勿論、彼はそれを断る。
「あははっ♥ 冗談よっ♥ 冗~~談っ♥」
「どうだかなっ・・・それよりも後、数時間したら先に行くぞ」
冗談だと笑いながらからかうミリカに対して、彼は怪しみながら一言そう言った。
それから、しつこく、しつこく・・・。
数時間立つまでミリカは、ジョージを下ネタでからかい続けた。
「うぅんっ! よく寝たぞーー」
「はあっ! リーダー、お姉さま、御早う御座います」
アレリオとシャリル達が目を開き。
眠りから覚まし身体を起こして、ジョージとミリカ達に挨拶をした。
「リーダー殿、ミリカ殿、御早う御座いますじゃ」
「朝かっ・・・まだ寝ていたいけど起きなきゃ」
「うーーんっ♥ お姉さまぁ~~はっ? もう行く時間っ?」
リュージンも起きる。
ビョルンとニウ達も、次々と眠りから目を覚ます。
彼等は起き上がると此方に来た。
「皆起きたな、んじゃ行こう」
ジョージはそう言うと皆の先頭を歩き出した。
その横にミリカが並び、列を成してアンデッドのパーティーは洞窟内を歩いて行く。
崩れ落ちたリザードマンの掘っ立て張りぼて城の残骸を越えて先に進む事、数十分。
洞窟は先へ進む事に狭くなる。
やがて、巨大な黒い扉がジョージ達の前に現れる。
「前にも有ったな、こんな扉・・・」
「そうね・・・あんま良い想いでは無いけどね・・・」
ジョージとミリカ達は思い出す。
アンデッドの身体が光に焼かれたり眩しさのあまり苦しんだ事を。
この巨大な黒い扉は思い出させるのだ。
「リーダー、いきなり開けたらまたあの時見たいに・・・」
「お姉さま、ニウ、私達、女性陣は端の方へ避難して起きましょう」
アレリオとシャリル達も、前に起きた出来事を思い出し。
二度目の悲劇を避けるために言った。
「前に何が?」
「あーー下がってろビョルン、お前とリュージンは念のために女性を守れ、アレリオは手伝ってくれ」
前に起こった出来事を知らないビョルンがそう呟く。
ジョージは、扉の右側に立つと取っ手を掴む。
「了解っ! リーダーじゃあ行きますよ」
アレリオも扉の左側の取っ手を両手で掴み。
重たい黒い扉を引っ張って開こうとする。
「いっせーーのっせっ!」
「いっせーーのっーー!」
ジョージ、アレリオ達二人は巨大な重たい鉄扉を、ゆっくりと開くと。
直ぐに扉の影に隠れる。
「どうやら、大丈夫そうだな・・・」
ジョージは開いた扉の外から入って来る青い光を見て呟き。
外に出て、強く光り輝く月と綺麗な星空を眺めた。