白兵乱戦
「死ねぇっ! トカゲマンッ!」
駆け出したミリカは、素早くレイピアを抜き取る。
それを、そのまま、リザードマンの右目に突き刺し。
後頭部から、レイピアの切っ先が突き出る。
その切っ先が突き出たままのリザードマンの体を蹴り倒し。
ミリカは、次の敵に向かう。
「ギィキカッ!?」
「はああーー!」
リザードマンは、自らに向かって来るスケルトンの剣士の頭を狙い、矢を放つ。
だが、それをアレリオはモンタンテを両手で構え、矢を弾き返して高く飛び上がる。
そこから、彼はモンタンテを一気に振るって、リザードマンを袈裟斬りにする。
「ギィカッケェコッ」
「ゲカァキキィー」
「お姉さまとアレリオは殺らせないっ!」
ミリカとアレリオ達を殺そうと。
クロスボウを構え、狙いを定める二人のリザードマン。
その二人を、ニウはダンで素早く殴る。
一匹目のリザードマンは、頭頂部をダンで叩かれて倒れ込む。
それを好機と捉えたニウ。
今度は下から膝蹴りを放ち、まともに二撃目を喰らってしまった奴は動かなくなる。
すると、ニウは体をくるりと回転させる。
今度はもう一匹のリザードマンにダンを頬に打ち込み。
柔らかい脇腹にも一撃を入れる。
脇腹を殴られた、リザードマンは脇腹を押さえてドサリと倒れる。
「また来たわよっ!」
ミリカが、そう叫ぶと。
六匹の剣と楯を装備した、リザードマンが救援に駆けつけて来た。
「これで、また七匹ねっ!」
ミリカは視線を、残る一匹の弓を構えるリザードマンと。
救援に駆けつけて来たリザードマン六匹に向ける。
「ミリカッ! 援護に来たぞ、ダークボール、ダークボール」
ジョージは暗黒魔法をリザードマンに向け放つ。
放たれた暗黒球は、一匹の剣と楯を装備したリザードマンの胸に当たる。
その胸に、大きな風穴が開いた奴は絶命する
「ジョージ、遅いわよっ!」
ミリカは駆け付けて来たばかりのジョージに対して、真剣な表情で文句を言った。
「ギケックク」
リザードマン達と、ジョージ達は白兵戦に突入する。
五匹のリザードマンは剣と楯を巧みに使い、アンデッド達を苦戦させる。
更に、一匹だけ生き残ったリザードマンが、クロスボウを構え。
ジョージ達を執拗に狙う。
「ぐっ! 強いっ!?」
「強いわねっ!」
ジョージとミリカ達は、リザードマンの剣の技量に苦戦させられる。
更に、一本の矢が何処からか飛んでくる。
『ヒュッ』
「ああっやべぇーーーー殺られる・・・かあ~~はっ!?」
ジョージはリザードマンに押しきられ倒されてしまう。
奴から剣で頭部を真正面から斬られてしまいそうになる。
しかし、彼は必死で反撃してリザードマンを足で蹴り飛ばした。
その時、遠くから矢が飛んで来て地面に刺さり。
間一髪のところで、偶然にも遠距離攻撃を回避した。
「そういや、まだ一匹だけ飛び道具持ちのリザードマンが残っていたな・・・」
ジョージは乱戦の最中、弓を構えた一匹のリザードマンを注意して探す。
すると、弓兵のリザードマンは容易に発見出来た。
「居たっ! 彼処だっダークボール」
リザードマンにジョージの放った暗黒球が当たり、奴は後方に吹き飛ばされる。
「殺ったか? いやっまだ他の奴等が残っているな」
ジョージは、剣と楯を装備した他のリザードマンと戦う仲間達を援護するしようと。
周囲に目を配り、戦闘の様子を確かめる。
すると、アレリオとニウ達の姿が目に入った。
「ダークボール、ダークボール」
ジョージは、アレリオとニウ達の背後から不意討ちを狙う、リザードマンを見つけ。
即座に、右手をかざして暗黒魔法で奴を吹き飛ばす。
「リーダー、有り難うっ!」
「リーダー、おかげで助かりましたっ!」
二人とも、リーダーであるジョージに対し。
それぞれ、礼を言いながらリザードマンと戦う。
「くっ・・・コイツらまともに戦うよりは魔法で倒したほうが早いわねっ! フレイムボール」
ミリカはそう言って、火炎魔法をリザードマン達に放つ。
放たれた魔法を回避するリザードマン達。
だが、ミリカは、セミオートマチックピストルのように魔法を連射する。
そうして、次々と放たれる火炎球で奴等を追い詰めて行く。
「フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール、フレイムボールッ」
「ギィカ!?」
「グキィクエ!?」
二匹のリザードマンがミリカの火炎魔法に当たり体が燃え上がる。
その身を、炎に焼かれ悶え苦しむ、リザードマンにミリカは追撃を掛ける。
「これで止めよっ! フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール」
「ギカケッ!? エェェ・・・」
「ゲキカガーー!?!!!!!?」
ミリカは、更に何発も火炎魔法を悶え苦しむ、リザードマン達に撃ち込んだ。
彼女は、奴等の悲鳴が聞こえなく成るまで完全に焼き尽くす。
「殺ったわね・・・他は?」
ミリカは回りを見回す。
アレリオとニウ達と、戦って居た残り二匹のリザードマン達は逃げ出していた。
「待てよっ! 逃げんのかっ? 腰抜けっ!」
「待ちなさいっ! アタシがあんたの頭を潰してあげるわよっ!」
「お前等こそ待てっ!! 下手に追いかけると、また伏兵に殺られるぞ」
ジョージは追撃に向かうアレリオとニウ達を呼び止めた。
言葉の通り、下手な追撃は帰って此方が形勢不利な状況に陥るかも知れぬからである。
「取り合えず、シャリル達を呼ぶぞ」
ジョージはそう呟いて、シャリル達、援護組の方に視線を向けた。
すると、援護組は・・・。
楯持ちリザードマン達。
クロスボウと弓を構えるリザードマン達。
と、援護組は連中と魔法で撃ち合っていた。