レプティリアンか? それともレプトロイドか?
「コイツ等、あれだろっ! ユージャンヴォングの子分だろっ!」
「知らないわよっ! ジョージ、そんなのぉ~~」
戦闘中にも関わらず、呑気に冗談を言ってしまうジョージに対し。
怒りの余り、凄まじい形相でぶち切れるミリカ。
「あれだっ? スターウォーズの鉄人を検索しろっ! ダークボール」
「はあっ!? ここは異世界よっ! インターネットも、スマホも有る訳無いでしょっ! こぉのボンクラ男、フレイムボール、フレイムボール」
ジョージとミリカ達は、二人揃って子供の喧嘩のように言い争い。
それぞれの魔法を、バカスカ放ち続ける。
「グァバッ」
リザードマン達も、執拗に弓の玄を引っ張り。
遠方から、ジョージ達を目掛けて矢を射ち込んで来る。
『ヒュッ』
『ヒュゥッ』
不意に静に矢を射ってくるリザードマンの居場所を特定する事は難しく。
ジョージ達、アンデッドのパーティーは苦戦する。
「うわっ!? どこから射ってくるんだ? あいつ等は?」
「ビョルン、早く撃ち返してっ!」
リザードマンの執拗に放つ、遠距離攻撃に焦る、ビョルンとニウ達。
彼等は、直ちに反撃に移ろうとする。
「いえっ! 無闇に撃ち返しては駄目です、返って音と明かりで此方の居場所を晒す事に成りますっ!」
シャリルは、何処から飛んで来るのか分からないリザードマンの矢に対し。
動揺する仲間達に、魔法攻撃を止めるようにと、冷静に指示する。
「じゃ、どうすんだ、シャル?」
アレリオは、自らに向かって跳んできた矢を睨み。
モンタンテを斜めに振るって、矢を弾いて防御する。
「アレリオッ! 皆さんっ! 湧水の流れる溝へ隠れて下さいっ!」
シャリルは、そう言って溝の中に身を隠す。
溝は余り深くは無いが、匍匐すれば身を隠す事は出来た。
ジョージ達も、シャリルに続き、身を隠す。
その間リザードマンは新たに5体の仲間を呼んだらしく。
剣と楯を持ったリザードマンが三体。
投げ矢を持ったリザードマンが二体。
前方から、続々と増援に現れた。
ジョージ達が、塹壕の様に溝に身を隠す中。
三体の剣と楯を持つリザードマンは、突撃して来る。
それを、投げ矢を斜め上方に飛ばして、援護する二体のリザードマン。
「降って来ましたぞ」
リュージンは、そう言って溝から身を乗りだし。
投げ矢を偃月刀を頭上で両手をぐるぐると回し弾く。
そこを狙い、遠方から弓矢を射ち込んで来るリザードマンの弓兵達。
「リュージンッ! 危ないっ!!」
アレリオは、モンタンテを振るって、リュージンを横から飛んでくる矢から守る。
「アイツ等を止めないと」
『ドドドドドドドドドドドドドドーー』
突撃して来るリザードマンを、ビョルンは、音波魔法で牽制する。
その彼も、連中の放つ弓矢に狙われる。
『ヒュッ』
『ヒュッー』
「ビョルン、危ないわよ早く頭を下げて頂戴っ!!」
ニウは走り、ビョルンの背中をドンッと押す。
それで、リザードマンの放った矢による遠距離攻撃から、彼の身を庇ったのだ。
そうして、溝に彼の体を押し込みつつ、自らも溝に飛び込んだ。
「みんなぁーー敵よっ! 後方から来るわよっ!?」
ミリカは、背後を突こうと、後方から現れたリザードマン達の姿を見るなり叫ぶ。
そうしている間に、また増援が現れた。
槍と大楯を装備したリザードマン。
クロスボウを構えたリザードマン。
と言った部隊が、それぞれ三体ずつ、計六体増援として現れた。
「ワヴアーー~~」
何かの指示を出す、リザードマンのリーダーらしき声が聞こえた。
その声が洞窟に響き渡るとリザードマンの攻撃が激しくなる。
ジョージ達を挟む左右のリザードマン弓兵は矢を一斉に放ち。
剣と楯を持った、リザードマンは再び駆け出し始める。
「ヤバイ・・・ヤバイぞっ! どうしよう」
「それを考えるのが、あんたの仕事でしょうがっ! ボンクラーー!!」
ジョージとミリカ達は、こんな非常事態時にも関わらず。
またもや、懲りもせずに喧嘩を始める。
「うるせぇっ! アホッ! いま考えてる所だろがっ!」
ジョージは仕事もしない収入源の無い夫が言う。
何の根拠も無い台詞を、ミリカに言った。
そんなこんなで、バカとアホが言い争っている間。
その最中にも、リザードマンは包囲網を前進させ続ける。
投げ矢を放つリザードマンは投げ矢を連続で投げつけてきた。
反対側の槍と大楯を構えたリザードマン達も動き出す。
奴等は姿勢を低くして、ゆっくりと前進して来る。
その後ろには、クロスボウを装備したリザードマンが居る。
彼等は、楯を持つリザードマンの頭越しに、クロスボウを構えて矢を撃ちながら前進を続ける。
「リーダー、どうしますか? このままでは我々は全滅してしまいますよ」
「んな事言ったって、ん? あのリザードマンは・・・」
シャリルに指示を乞われたジョージは。
彼一匹のリザードマンを注視し、彼等リザードマンの何かに気づいた。